キャスターの辛坊治郎が6月22日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。岐阜市の陸上自衛隊射撃場で男性隊員3人が撃たれた小銃発射事件で、『週刊新潮』(22日発売)が、自衛官候補生の男(18)=殺人容疑で送検=の実名や顔写真を掲載したことを巡り、「少年法の改正前とは事情が異なる」と解説した。
岐阜市の陸上自衛隊射撃場で男性隊員3人が撃たれた小銃発射事件で、22日発売の『週刊新潮』が、殺人容疑で送検された自衛官候補生の男(18)の入隊までの経歴などを特集した記事で、実名や顔写真を掲載した。『週刊新潮』編集部は「無差別大量殺人の惨事になる恐れもあり、社会に与えた衝撃はすさまじい。自衛隊への国民の信頼を揺るがしかねない問題で、重大性に鑑み、実名・顔写真を含め、背景を探る報道をすることが常識的に妥当と判断した」とのコメントを出した。
辛坊)『週刊新潮』は少年法の改正前も、20歳未満の少年少女による凶悪犯罪について、他のメディアが実名を一切伝えない中、何度も実名で報道してきています。今回も、その延長線上です。ただし、今回はいささかニュアンスが変わってきています。
今回、小銃発射事件を起こした自衛官候補生の男の実名について、現状ではどのメディアも実名報道はしていません。実名報道したのは『週刊新潮』だけです。
ただ、今回の事件は少年法の改正後ですから、自衛官候補生は「特定少年(18歳、19歳)」に当たり、起訴されると氏名や顔写真などの報道が可能になり、検察が公表する場合もあります。起訴された場合、他のメディアも実名報道に切り替えるでしょう。それを考慮すると、『週刊新潮』が将来にわたって実名などが表に出ないから、伝えることに意味があると実名報道にこだわっていた少年法の改正前とは事情が異なります。したがって、かつての実名報道による効果と、現在の効果は少し変わってきているといえます。
一方、自衛官候補生の精神鑑定は行われる可能性が高いです。1984年に陸上自衛隊射撃場で当時20歳の隊員が射撃訓練中に同僚の隊員に向けて銃を発射し、4人が死傷した事案では、発砲した隊員は心神喪失状態だったとして不起訴処分になりました。今回も同様に心身喪失状態だったとして不起訴処分となれば、実名は公表されないことになります。
そもそも、18歳は民法上で成人なのに、少年法では少年とされていることに、私は納得がいきません。ちなみに、世界を見渡すと、少年犯罪だからといって実名を伏せる国は珍しいです。日本で当たり前だと思っていることが、世界でも当たり前だと思ってはいけないという認識を持ったほうがいいです。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)