90年代の自民党を彷彿させる岸田政権の「危うさ」

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ジャーナリストの有本香が6月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。マイナンバーカードのトラブル以降支持率が落ちる岸田政権について解説した。

90年代の自民党を彷彿させる岸田政権の「危うさ」

2023年6月21日、挨拶する岸田総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202306/21shinkin.html)

支持率が落ち続ける岸田政権

飯田)次の衆議院選挙に向けて、動きが活発になっています。今国会の最終盤で「解散か」などと一時期言われました。その風は収まったようですが、このような動きを見ると、まだ近いのではないかと思いますよね。

有本)いつ選挙をしたとしても、衆議院は特に「常在戦場」と言われます。常に準備しておく必要があるのでしょう。でも、最近の支持率の落ち方を見ると、今国会の最後で選挙をしておいた方がよかったのではないかと思います。

飯田)どの調査でも支持率が落ちています。

有本)6月中旬くらいから、各社で発表されている調査はほとんどマイナスです。

飯田)直近だと日経がマイナス8%、読売がマイナス15%です。

有本)6月10日前後に発表されたNHKの調査ではマイナス3%くらいでしたが、いま行ったらもっと落ちている可能性があります。

飯田)確かにそうですよね。

有本)それから、どの調査でも不支持率が上がっています。

飯田)支持と不支持が逆転しているところが多いですね。

支持率低下のきちんとした分析ができていない ~幹部が言うのは「マイナンバーカード」のトラブルの影響だけ

有本)これから先にいい要素があるとも思えませんし、支持率が下がっている理由の分析もきちんとできていないのではないでしょうか。

飯田)政権内で。

有本)幹部はみんなマイナンバーカードのトラブルの影響を口にしていますが、それ以外のことを分析できているかと言うと、そんな感じも見えません。その程度の要因分析だとすると、支持率が上がっていく要素はありません。

飯田)分析できていなければ。

有本)多少「バラマキ」をしたとしても、支持率が戻ってくる流れにはならないでしょう。

支持率の高かったG7広島サミットの直後に解散すべきだった ~マイナンバーカードよりも支持率低下に影響していること

有本)5月の段階ではG7広島サミットがあったので、とてもよかったのです。おそらく多くの日本国民が岸田政権を最も評価した瞬間だったと思います。本来ならば、そこからあまり時間を空けずに選挙を行うべきでしたが、そこで決断できなかった。

飯田)解散しませんでした。

有本)ここに来て、いろいろな要素があります。もちろんマイナンバーカードのこともありますが、それよりも私は物価高だと思います。

飯田)物価高の影響。

有本)電気料金の高騰はみんなが感じています。また、社会保険料を上げる話もあります。さらに価値観の問題で言うとLGBTです。

安倍政権から自民党を支持し、「保守としての自民党」に期待してきた人たちを失望させたLGBT理解増進法

有本)これによって、安倍政権のときから自民党を支持してきた思想を持っている人たち、「保守としての自民党」に期待してきた人たちは相当、失望したと思います。

飯田)保守としての自民党に期待してきた人は。

有本)政治に関心があり、その種の思想を持っている人や支持層は、よほどのことがない限り戻ってくることは難しいでしょう。その辺りを軽く見ているのではないかと思います。

強引だった党内手続き ~岩盤支持層とも言われた人たちを失った危機感を持たない幹部

飯田)確かに今回の批判に関しては、もちろん法の建て付けの部分や文言、また党内手続きも強引だったのではないかと思います。

有本)強引でしたよね。

飯田)特に、自民党を支持してきた人たちほど、「手続き論はしっかりやらないと筋が通らないではないか」という人が多いですよね。

有本)そういう点では、岩盤支持層とも言われた人たちを失ってしまったことに対し、幹部たちに危機感が感じられません。

外交は安倍・菅路線を踏襲するも中身は「宏池会」の岸田政権

飯田)それが薄々あるので、逆に公明党の票をあてにすることになるのでしょうか?

有本)それもはっきり言って間違いですけれどね。公明党に寄っていくと言われていますが、いまの政権を見ていると、確かに外交などの外形的な部分では安倍・菅路線を踏襲しています。でも中身については、やはり宏池会だなというところが見えます。

飯田)外交以外では。

有本)中国・韓国との関係も、徐々に過去の形へ揺り戻っているように思います。

飯田)「平和、友好」のような方向でしょうか?

岸田総理「宏池会」、茂木幹事長「平成研究会」の政権 ~90年代の自民党を彷彿

有本)そうです。岸田総理は宏池会で、茂木幹事長は平成研究会です。この組み合わせでの政権は、私たちの世代だとわかるのですが、要するに90年代の自民党を彷彿とさせる中身なのです。外形的には安倍路線を踏襲しているのですが、中身の精神としては、やはり当時の部分を相当引きずっているのだと思います。

飯田)霞が関との関係も「90年代」という感じがしますね。

有本)財務省などとの距離の近さも、そんな傾向があります。小泉政権以降の自民党とは少し違うのでしょうね。

飯田)20年以上前の話になってしまいますね。

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