数量政策学者の高橋洋一が6月28日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。返礼品の基準が厳格化されることになったふるさと納税について解説した。
ふるさと納税、経費厳格化へ
飯田)ふるさと納税の基準が見直され、また厳しくなるようです。「経費厳格化」という新聞の見出しも出ていますが、総務省は年を追うごとに引き締めてきますね。
高橋)もともと官僚が嫌いな制度なのです。
飯田)官僚が嫌いな制度をつくったわけですか?
高橋)菅さんが総務大臣時代に提唱して、私は法律などに関して携わりました。菅さんの趣旨を生かすために、「どこかに納税できないか」と言われたのですが、「それは難しいです。寄付してください」と提案しました。
「寄付」と「税額控除」の2つを組み合わせた制度
高橋)「寄付した分だけ税金を安くすることは簡単です」という言い方をしました。「寄付」と「税額控除」の2つを組み合わせた制度をつくっただけなのです。
飯田)寄付と税額控除。
高橋)当時、返礼品がこれだけ大きくなるとは予想していませんでした。ただ、まったく予想していなかったわけではなく、返礼品をどう処理するか考えたとき、私の最初の理解ですが、返礼品はそれぞれの自治体の財政支出になるわけです。
返礼品は自治体の財政支出だから自治体に任せればいい ~自治体に任せるために財政支出については規制を入れず
高橋)だから、「それは自治体に任せればいい」というのが基本です。
飯田)返礼品が豪華になり、入ってきたもののほとんどが手元に残らないとしても、それは自治体の判断だと。
高橋)自治体の判断に委ね、「細かいところも自治体に任せる」というのが基本です。最初、財政支出について何も規制を入れなかったのは、そういう趣旨があったからです。
持ち出しになっても地方議会や自治体が「それでいい」と言うならばOK ~中央政府がとやかく言うべきではない
飯田)それに対して、「自治体の手元にお金が残らなければ意味がないではないか」というような話になった。
高橋)私は当時、「余計なお世話でしょう」と言っていました。そもそも持ち出すことなど、わざわざ自治体がやらないでしょう。
飯田)わざわざ損するようなことはしないだろうと。
高橋)地方議会や自治体が「それでもOKだ」と言うのであれば、「中央政府の方からとやかく言わなくてもいいでしょう」ということも言いました。
飯田)箸の上げ下げまで指導するような時代でもないですし。
高橋)一律の規制などもそぐわないので、地方にそれぞれお任せしたらよろしいのです。そうすると競争が生まれますよね。
有権者に選択肢が生まれる ~足による投票
高橋)ある意味で有権者から見ると、選択肢が生まれるのです。政治学の言葉では「足による投票」と呼びます。
飯田)足による投票。
高橋)通常は手による投票ですが、そうではないから「足による投票」という言い方をするのです。民主主義の国でも「(寄付文化を)根付かせるにはいいやり方である」という文献もありました。そのような考え方で制度設計しています。
ポイントは税金の使い方を国民が決められる珍しい制度であること
飯田)ところが総務省が言っているのは、「足による投票」ではなく、「競争が過熱してしまっている」と。
高橋)官僚は嫌なのですよ。税収が入った場合、それを差配するのは官僚の仕事だったのですが、税収の一部を納税者が決められるからです。だから制度設計するときにポイントになったのは、「何に使ってください」とみんなに書かせることです
飯田)確かに選択肢がありますね。「教育に使ってください」とか、「インフラに使ってください」など。
高橋)それがポイントであり、「何に使ってください」と言える珍しい制度なのです。「取られた税金がどこで使われるかわからない」という不満を、みんな持っていたのですよ。
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