自公の関係悪化の根本にある問題は「公明党の力の衰え」

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ジャーナリストの鈴木哲夫が6月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。今後の自民党と公明党の関係について解説した。

自公の関係悪化の根本にある問題は「公明党の力の衰え」

自公党首会談後に記者団の取材に応じる公明党の山口那津男代表=2023年6月27日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

自民・公明両党、東京以外は相互推薦で合意

岸田総理大臣と公明党の山口代表は6月27日に官邸で会談し、次期衆院選の協力維持を確認した。東京都内の候補者調整をめぐって両党の関係は悪化したが、東京以外での相互推薦で基本合意となった。自民党としては東京での協力復活を引き続き働きかける方針。

飯田)合意文書が交わされましたが、一連の流れはどうですか?

鈴木)いろいろな見方もありますが、問題の捉え方を整理した方がいいと思います。どうしても東京での協力など、「東京」というキーワードが出てくるでしょう?

公明党のポイントは東京よりも大阪 ~維新の台頭で苦しい公明党

鈴木)確かに東京は東京で揉めていますが、公明党の問題は東京ではありません。公明党そのものが置かれている立場や、いまの党の勢いを考えたときに、非常に大きな節目にきているということです。「ここで頑張らなければならない」という状態にあります。

飯田)現在の公明党の状況が。

鈴木)国政選挙でも比例票が減ってきて、統一地方選挙でも苦戦しました。そういうなかで、むしろ東京というよりも、公明党のいちばんのポイントは大阪だと思います。ここはご存知のように維新が躍進しました。維新は大阪市議会でも単独過半数を獲ってしまった。やりたい放題できるわけです。

飯田)市議会・府議会の両方で過半数を獲りました。

鈴木)いままで関西は公明党の牙城だったのです。

飯田)「常勝関西」と言われていました。

鈴木)大阪で4つ、兵庫で2つ、衆議院議員は6議席を持っているわけです。

飯田)小選挙区で。

関西以外の全国に選挙区を持っておきたい公明党 ~そのなかで「東京28区」も欲しい

鈴木)でもおそらく、ここまで維新の調子が上がってくると、維新のなかにも選択肢を示すべきだという主戦論があるのでしょう。つまり、候補を立てて公明党と戦うべきだという意見があります。

飯田)維新のなかでも。

鈴木)統一地方選のあとに吉村さんと直接話したり、馬場代表とも番組で話しましたが、「そういう声はあるので考えたい」と既に言っていました。

飯田)考えたいと。

鈴木)維新の勢いがあれば公明党は苦しいのですよ。そういう意味では、どうなるかわからないなかで、選挙区は他にも全国でいくつか持っておいた方がいい。だから、例えば東京28区も少し欲しいという話が出てきたのでしょう。

飯田)練馬の辺り。

瀬戸際に追い詰められている ~単に東京での話ではない

鈴木)また、これから維新などとも戦っていくなかで、水面下では高度な交渉もあるのではないでしょうか。

飯田)水面下で。

鈴木)そういう動きをするためには、公明党は存在感を大きく示す必要がある。本当に頑張らなければならない瀬戸際だと思います。そういう意味でも、公明党は支持者を含めて強気で結束しなければならない。そういうものが背景にあるわけです。

飯田)なるほど。

鈴木)だから単に東京で揉めている、揉めていないという話ではありません。

大阪市議会でも過半数の議席を獲った維新の会 ~「公明党の選挙区には候補を立てない」というバーターも必要なくなった

飯田)もともと維新が、なぜ大阪で公明の候補が出るところに立たないかと言うと、国政の話というより大阪府議会・市議会の話だったのですよね。

鈴木)府議会は維新が過半数を獲っています。でも市議会では過半数が獲れず、例えば都構想など、いろいろなことを行うには協力して貰わなければならない。そこで協力を求めていたのが公明党です。

飯田)そうですね。

鈴木)だから公明党は協力する。その代わり「公明党の選挙区には候補を立てない」という、ある種のバーターが続いてきました。しかし、大阪市議会で維新が過半数を獲ってしまったから、もう公明党に頼む必要はないわけです。

飯田)気を遣う必要がない。

鈴木)そうすると「主戦論」ということになりますよね。公明党は苦しい戦いです。

全体が絡んでいるなかでの「自公の東京での問題」として捉えるべき

鈴木)当然、そこでは公明党だけでなく、自民党も「公明党、一生懸命応援してくれ」という。逆に大阪では、公明党は自民党の応援が欲しいわけです。そういうことが全部絡んでいるなかでの東京の話として見ないといけません。「東京だけが」という話ではないのです。

飯田)東京だけではない。

東京「29区」と「12区」の自公の狭い範囲での揉めごと

鈴木)ただ、東京は東京で1つ揉めごとがあります。28区を「譲る、譲らない」と言われていますが、そうではなく、そもそも選挙区が増えたときに公明党は12区……。

飯田)北区の辺りですね。

鈴木)そこに太田昭宏さんがいたのですが。

飯田)前の代表の。

鈴木)これをどうするかという話になったとき、結局はもっと公明党が強い29区に……。

飯田)足立区の辺りの。近くではあるのですが。

鈴木)そこで、岡本三成さんが行こうという話になった。足立などに公明党が立てると、自民党が出せなくなってしまうでしょう? だから「反対だ」「受け入れない」「選挙協力はしない」など、自民党側からの声が出てきた。ここでやはり公明党はカチンときているわけです。

飯田)その声に対して。

鈴木)この辺りの、かなり狭い地域でのトラブルがあって、それがまだ解決されていない。だから東京の問題は東京の問題で、大元である12区からどこへ移すかという話のときに、少し嫌な関係になっているのです。それがいまも尾を引いている。

飯田)しかも地元ではなく、幹部の人がそういう発言をしてしまったりすると、「何をやっているのだ」となります。

鈴木)知っている方は知っていると思うのですが、幹部が「選挙協力しない」と言ったとか言わないとか。ツイッターでもやり合っていますよ。公明党からすると、自民党の東京都連に対して「なぜまとめてくれないのだ」と幹部は反感を持っています。

飯田)自民党の東京都連に対して。

鈴木)自民党からすると、「足立は足立だ」「自分たちでしっかりやりたかったのになぜ」という話もあり、個別のところで揉めています。でも、自公の問題はいまの公明党の勢いや、置かれている立場から動いているのです。全体的にはそういう捉え方をしなければならない。だから大阪が片付けば、東京も片付くかも知れないのです。

飯田)そういうロジックになるのですね。

鈴木)「では大阪は、維新と公明でコソコソやるのか?」など、この辺りがポイントになると思います。

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