不動産価格高騰の背景にある、高額マンション購入者の「4パターン」

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不動産評論家でオラガ総研代表の牧野知弘氏が7月5日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。不動産価格高騰の理由について解説した。

不動産価格高騰の背景にある、高額マンション購入者の「4パターン」

※画像はイメージです

路線価が2年連続上昇、不動産価格高騰の背景とは ~人の動きが活発になると不動産価格は上がる

相続税などの基準となる土地の価格、「路線価」が7月3日に公表された。全国の調査地点の平均は2年連続で上昇し、上げ幅も大きくなるなど、新型コロナの影響からの回復傾向が鮮明となった。一方、マンション価格など不動産価格も高騰が続いている。

飯田)路線価が2年連続で上昇しましたが、どう見ればいいでしょうか?

牧野)ある意味、当たり前の値上がりと捉えています。

飯田)当たり前の値上がり。

牧野)人の動きが活発になれば、不動産価格は上がると言われています。つまり、人がたくさん出たり入ったりすると、物件を売ったり買ったり、あるいは貸したり借りたりする動きが出てきます。コロナ禍で経済が停滞していたなか、一気に回復すると「不動産が上がるな」ということは、理解しやすい現象だと見ています。

マンション価格が異常に上昇している理由

飯田)マンション価格について、これは素人の感覚なのですが、コロナ禍の最中も高くなったという話があった気がします。

牧野)マンション価格は非常に上がっており、東京都内だと15年ぐらい前は大体、新築マンションの平均価格は4000万円後半ぐらいだったのです。ところが最近では23区内だと、8000万円を超えています。

飯田)ほぼ倍ですか。

牧野)その期間中の消費者物価の上がり方と比較しても、異常に上がっているのは明らかだと思います。

不動産を金融商品として考える人が増えている ~投資目的で国内外から投資マネーが入っている

飯田)どうしてですか?

牧野)15年前~20年前だとマンションを買うのは、ほとんどが家が欲しい人でした。ところが最近は、家を買う人のプロフィールが変わっているのです。不動産を金融商品として考える人が増えています。

飯田)投資目的ということですか?

牧野)そうです。そういった意味では、国内外の投資マネーが入っている。それから、日本人のなかでも裕福になった人たちが増えています。

飯田)日本のなかでも裕福な人が増えた。

牧野)マンションは一軒家に比べて売買しやすいので、これから値上がりするかも知れないと考え、富裕層からのお金も相当入っています。

1億円のマンションの相続の場合、評価額が3000万円~4000万円になるため、節税として購入する

牧野)もう1つ大きなポイントが、節税です。

飯田)節税。

牧野)現金で1億円を持つよりも、1億円のマンションを買った方に相続が起こった場合、評価額が現状では大体3000万円~4000万円になるのです。

飯田)1億円のマンションが。

牧野)そうすると、不動産価格が保たれている限り、1億円の現金を持っていて相続が起こると大変な税金がかかるのですが、同じ1億円の価値でもマンションであれば、3000万円~4000万円で評価されてしまう。そのため、マンションを持つ方が得だというような動きがあります。

世帯年収が2000万円を超えるようなパワーカップルが購入

牧野)パワーカップルと言われているような、世帯年収が2000万円を超えるような夫婦共働きの方々が新築マンションを買う。概ねこの4種類がマンションを買っている方々です。そういった意味では、一般の方々からすると指をくわえて見ているような状況が続いてしまっています。

中国の富裕層が、所有権が守られている日本の不動産を持つ

ジャーナリスト・佐々木俊尚)最近、中国の富裕層が習近平政権に対する不安、また中国経済の先行きが不透明なところから、日本に流入してきているという話もあります。そういうこともマンション価格を押し上げている1つの要因なのですか?

牧野)そうですね。中国をはじめとしたアジア諸国では、いま富裕層が増えています。とりわけ中国の富裕層の方々は、不動産が国に接収されてしまうのではないかという危機感を持っているのです。

飯田)不動産が国に接収されてしまうのではないかと。

牧野)日本は地理的にも近く、しかも日本の不動産の所有権は守られている権利なのです。国は日本の不動産には手を出さない。そういった意味でも、資産ポートフォリオのなかに一部、日本のプロパティを持っておこうという動きが強いです。

アジアの富裕層の購入が続くため、この先もマンション価格は上がることはあっても下がる可能性は低い

佐々木)今後も中国をはじめ、アジアの富裕層が日本に財産を求めてやってくるという流れが続くと、当分の間、マンション価格が下がる見通しはないのでしょうか?

牧野)彼らも投資家ですので、都心まで距離のあるような不動産まで買いあさるかと言うと、そうではないと思います。東京都心や大阪の中心部など、不動産として価値があるところに集中して投資します。そういった意味では、都心部のマンション価格は今後、さらに上がることはあったとしても、下がる可能性は少ないのではないかと見ています。

飯田)上がっても下がることはない。

牧野)彼らにとっては完全に金融商品なので、買ってすぐ売る、あるいは子息などが日本に留学するための家として、取り敢えず買っておこうという方も多いですね。

外国人の住民が多く、マンション内でのさまざまなトラブルも

飯田)一方でマンションに住んでいる人にとっては、「持ち主がわからない」というようなことになると、理事会も開けないような状況になってしまいませんか?

牧野)それは既に問題になっています。例えばタワーマンションで、日本人の世帯が半分ぐらいしかないところもあります。

飯田)他は外国の方。

牧野)そうすると、管理組合の理事会が管理組合総会を開いても、まったく議案がまとまらない。最もまとまらないのが修繕積立金なのです。

飯田)修繕積立金。

牧野)外国の方々には、そもそも管理費や修繕積立金という概念がありません。

飯田)ないかも知れませんね。

牧野)修繕積立金をなぜ積み立てなければいけないのだと。つまり、自分たちは新しいマンションを買っているので、修繕は必要ないではないかという考え方です。さらに、のちのち自分は売ってしまうので、そのときに修繕積立金を返してくれるのかと言うのです。

飯田)返せと。

牧野)しかし、修繕積立金は返されません。それは納得いかないということで、管理組合のなかで相当もめる事例になっています。価値観の違いも当然あるでしょうね。もちろん、日々のごみの出し方などもあります。

飯田)そういうトラブルも。

牧野)アジアの方などは、共用の廊下にどんどん私物を出してしまう傾向にあり、それもトラブルの原因となっています。

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