子ども世帯数 初の1000万割れ マイナンバーカードが必要な今後の社会設計 佐々木俊尚が持論

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ジャーナリストの佐々木俊尚が7月5日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。加速する少子化問題について解説した。

子ども世帯数 初の1000万割れ マイナンバーカードが必要な今後の社会設計 佐々木俊尚が持論

※画像はイメージです

子ども世帯数、初の1000万割れ

厚生労働省は7月4日、「2022年国民生活基礎調査」の結果を公表した。18歳未満の未婚の児童がいる世帯数、いわゆる「子育て世帯」は991万7000世帯で、初めて1000万世帯を下回った。全世帯に占める割合も、19年の前回の大規模調査から3.4ポイント低下し、18.3%と初めて20%を下回った。

飯田)新聞には「少子化の加速が改めて示された」という見出しも出ています。

結婚している夫婦が子どもをつくらないのではなく、経済的余裕がなくて結婚もできない人が多い

佐々木)当然、減っていくだろうと思います。この調査でさらに驚いたのは、子育て世帯の平均所得と全世帯の平均所得の違いです。全世帯の平均所得は約545万円ですが、子育て世帯の平均所得は約785万円なのです。

飯田)そんなに差がある。

佐々木)1.4倍です。785万円というのは、いまの時代においては収入が多い方です。

飯田)そうなりますよね。

佐々木)少子化の原因はいろいろ言われていて、いまの岸田政権も「異次元の少子化対策」を進めていますが、この数字からもわかるように、結婚している夫婦が子どもをつくらないのではありません。子どもをつくるような経済的余裕がなく、結婚もできないような人が多いのです。

収入が少なく、子どもをつくれない ~子どもを多く持つ家庭は経営者同士の夫婦などの「パワーカップル」

佐々木)いくつかの要因があるのですが、1つは平均所得から見えるように世の中が貧しくなっており、子どもがつくれなくなっていることです。

飯田)収入が少なくて。

佐々木)昔のように第一次産業が中心の時代は、子どもをつくれば即労働力になっていました。だから「貧乏子だくさん」という言葉があるように、貧困層の方が子どもが多い傾向だったけれど、いまは第三次産業が中心で、頭脳労働の時代になってきている。子どもがたくさんいても、単に教育費がかさむだけで、子どもが労働力になるわけではありません。当然、教育を受けるため、お金に余裕のある家しか子どもを持たなくなります。

飯田)そうなりますね。

佐々木)実際、私の周囲でも30代~40代ぐらいのカップルを見ると、子どもが多い家庭は経営者同士の夫婦など、パワーカップルが多いです。

飯田)父母両方とも働いている。

佐々木)2人とも弁護士や大学の先生など、そういうカップルが多いです。

「経済的に結婚できない」「子どもをつくれない経済問題がある」人たちに対する支援は異次元の少子化対策には入っていない

佐々木)もう1つは、結婚しているけれど保育園がなかなか見つからない。または親が遠くにいて子育てしにくいなどの問題があり、子どもをつくれない夫婦がいます。しかし、いまの岸田政権による異次元の少子化対策は、ここしか対応していないのです。

飯田)異次元の少子化対策は。

佐々木)結婚できない、あるいは子どもがつくれないような経済的な問題がある人たちに対する支援は、少子化対策のなかに入っていません。それを底上げしない限り、少子高齢化問題は止められないと思います。

都市化が進み、子どもの減少は世界的傾向に ~フィンランドでさえも出生率は下がっている

佐々木)3つ目の要因ですが、そもそも近代化、都市化が進んで脱工業化していくと、自動的に子どもが減っていくのです。これは全世界的な傾向でもあります。

飯田)先進各国を見ると、どこもそういう傾向ですよね。

佐々木)増えているのはアメリカですが、アメリカは移民が多いからです。ヨーロッパでも一時期は増えていたけれど、それも移民が多かったからという話に片付きつつあります。

飯田)移民が多いから。

佐々木)みんなが大好きな北欧も、「子育て支援をしているから子どもが増えている」と言われていましたが、最近だとフィンランドでも出生率が下がっているのです。

飯田)見渡してもせいぜい1.5程度で、2まで達している国はありません。

佐々木)韓国や中国は日本よりも低いですからね。

飯田)韓国では1を割っているという話です。

世界人口は90億人ぐらいでピークアウトするだろうと言われている ~世界的に子どもが少ない異次元の時代がやってくる

佐々木)女性の権利が守られて、子どもを持たなくても普通に暮らせるようになり、なおかつ自分で仕事ができて各自が自立するという、いわゆる都市化が進んだ国では、子どもをつくるモチベーションが生まれにくい。それは世界的な傾向だと思います。

飯田)子どもをつくるというモチベーションが生まれにくい。

佐々木)このまま進むと間違いなくアフリカ以外の国、グローバルサウス以外の国は、みんな子どもが減っていく状況になると思います。さらに言うと、アフリカも経済成長が進みつつあるので、中流階級が増えていくと何十年か先には、アフリカでも子どもが減っていく時代がやってくるでしょう。

飯田)アフリカでも。

佐々木)世界人口は2090年、あるいは2100年ごろにピークアウトするなど、いろいろな説があるのだけれど、90億人ぐらいでピークアウトするだろうと言われています。

飯田)90億人でピークアウト。

佐々木)そこから先は、世界的にも子どもが少ないという、異次元の時代がいずれやってくると思います。

飯田)そこから先は。

佐々木)我々が考えなければいけないのは、そもそも少子高齢化で子どもを増やすこと……保育園が充実するよう支援するなど、やるべきことはやってもいいけれど、難しいところもあるのではないかと考えなければならない。

AIなどで代替し、人口減を前提とした社会設計に向かっていくしかないのではないか ~そのためにもマイナンバーカードが必要

佐々木)人口減を前提にした社会設計に向かっていくしかないのではないかと思います。それこそAIやロボットで代替するなど、そういう方向に進まざるを得ないかも知れません。

飯田)人口減を前提として。

佐々木)デジタル化して効率を高め、人が少なくても社会が回るようにする。そのためにはマイナンバーカードが必要です。

飯田)そこにつながっていくのですね。

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