ジャーナリストの須田慎一郎が7月10日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田総理が出席するNATO首脳会議について解説した。
岸田総理、NATO首脳会議に向け11日に日本を出発
7月11日~12日にリトアニアで行われる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席するため、岸田総理大臣は11日に日本を出発する。岸田総理は首脳会議で、ロシアによるウクライナ侵略や中国の覇権主義的な行動を念頭に、日本とヨーロッパの安全保障面での連携強化について演説する見通し。
飯田)7月に入り、国会も閉じています。岸田外交ではNATO首脳会議、また「日・EU定期首脳協議」にも参加する予定です。
中露関係が安定したためにインド太平洋地域で影響を強めることができるようになった中国 ~今後の中露関係によってインド太平洋地域、ヨーロッパ情勢が変わってくる
須田)2022年2月のロシアによるウクライナ侵略の影響を受けて、国際情勢は「権威主義国家VS民主主義国家」という構図が緊迫の度合いを増し、情勢が流動化しつつあります。そのため今後は、日本とヨーロッパが連携を深めていこうということです。
飯田)日本とヨーロッパが。
須田)基本的な構図からすると、なぜ中国がインド太平洋地域で影響力を強めてきたかと言えば、中露関係が安定したからです。
飯田)中露関係が安定したから。
須田)ロシアに対して長い国境線を接しており、ソ連時代は緊張していた中露関係ですが、その緊張感がなくなったために、中国は安心してインド太平洋地域に出てくることができた。そこでさまざまな軋轢を生んでいるのです。
飯田)なるほど。
須田)ロシアによるウクライナ侵略でロシアの影響力が低下するなか、中露関係がどう動くかによって、今後のインド太平洋地域、あるいはヨーロッパ情勢が変わってくるのは間違いありません。それを踏まえて見極めるために、日米欧が連携を深めていこうという動きなのだと思います。
欧米にある大前提「中国は法の支配が成立していない国」 ~経済的に中国に進出する際も間接投資で直接投資はしない
飯田)ヨーロッパの国々もある意味、中国の危険にようやく気付き始めたのですか?
須田)もともと意識はありました。松野官房長官は今回の訪問の意義に関して、「法の支配に基づく自由で開かれた」というワードをわざわざ使っています。法の支配とは「ルール・オブ・ロー」であり、アメリカやヨーロッパが最も大事にしている、物事の大前提とされる概念です。日本ではなかなかピンと来ませんが、「中国は法の支配が成立していない国」だという大前提があるのです。
飯田)中国は法の支配が成立していない国。
須田)成立しているかどうかわからないのではなく、「成立していない」という前提を置いています。ですので、欧米は経済的に中国へ進出する際も、ほとんど直接投資をしないのです。
飯田)もうしていないのですね。
須田)間接投資で、ワンクッション置くのです。だから進出もしやすければ、撤退もしやすい。なぜ間接投資なのかと言うと、やはりルール・オブ・ローが成立していないからです。牙を剥かれた際は、すぐ撤収しやすいようにする。それに対して日本は直接投資をしてしまうのです。
飯田)日本は。
須田)ですので、すぐに引き上げることができません。その辺りの温度差があります。日本がこれを言ってきた以上、「価値観の点でも欧米と共有化していきましょう。日本もルール・オブ・ローを大前提として中国と向き合っていきましょう」という認識になったのだと思います。
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