アルコール消毒が効かない「ノンエンベロープウイルス」の予防方法
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東京都医師会理事で「ささき眼科」院長の佐々木聡氏が7月12日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。アルコール消毒が効かない「ノンエンベロープウイルス」について語った。
コロナ禍では眼科の受診を控える人が多かった
飯田浩司アナウンサー)新型コロナウイルスの分類が5類に移行してから、眼科の受診状況はいかがですか?
佐々木)緑内障など、眼科の病気は症状が出にくいので、新型コロナの流行時期は「眼科に行くのは控えよう」という患者さんが多くいらっしゃいました。コロナ禍では、病気の進行が心配でしたね。
飯田)いまはだいぶ戻ってきたのでしょうか?
佐々木)5類になって人流が戻ってきたため、眼科のクリニックに来る患者さんも増えています。
アルコール消毒が効かない「ノンエンベロープウイルス」 ~アデノウイルス、ノロウイルス、ロタウイルスなど
飯田)いまはどんな病気で受診される方が多いですか?
佐々木)コロナ禍で受診控えをしており「心配だったけれど、やっと来ることができました」という方もいます。また、現在はRSウイルスやヘルパンギーナなど、小児の感染症が増えていますが、いろいろなウイルス感染症も多くなっている印象があります。
飯田)注意することは何でしょうか?
佐々木)新型コロナの予防として、アルコール消毒が慣例化されましたが、アルコールが効かないウイルスや微生物もたくさんいることを忘れないでいただきたいですね。
飯田)アルコールが効く、効かないというのは、ウイルスによって性質が違うのですか?
佐々木)ウイルスのなかには「エンベロープウイルス」という殻を持ったウイルスと、「ノンエンベロープウイルス」という殻を持たないウイルスの2種類があります。
飯田)エンベロープは「封筒」というような意味ですね。
佐々木)ウイルスのDNAが包まれているかどうかです。
飯田)封筒に入っている方が強いのですか?
佐々木)エンベロープウイルスは、エンベロープがアルコールでやられてしまうので、アルコール消毒が効くのですね。
飯田)なるほど。封筒を取り去ってしまえば、ウイルスそのものは弱いから不活化されてしまう。
佐々木)そうです。
飯田)封筒に入っていない方はどうですか?
佐々木)もともと別の仕組みで守られているので、アルコールは効きません。
飯田)そういう違いがあるのですか。
新行市佳アナウンサー)私たちが知っているノンエンベロープウイルス、封筒に入っていないウイルスには、どんなものがありますか?
佐々木)ノンエンベロープウイルスは、アデノウイルスや、胃腸炎で下痢を起こすノロウイルス、ロタウイルスなどが代表ではないでしょうか。
石鹸での手洗いが有効
飯田)特性に合わせた予防策を行わないといけないのですか?
佐々木)まず殺菌するには、次亜塩素酸ナトリウム、塩素系の除菌剤が効きますので、ノンエンベロープウイルスに対しては塩素系の殺菌剤を使ってください。ただ、塩素系の殺菌剤は金属など使えないものも多いですので、やはり石鹸での手洗いが有効だと思います。
調理器具などは塩素系の消毒剤で消毒する
新行)ノロウイルスに関しては、食品を扱うときに注意しなければいけない印象ですが、どんなところに気を付けたらいいですか?
佐々木)食品を扱う方は、手指をよく洗浄することです。
飯田)例えば煮沸するなど、熱を加えるのはいかがですか?
佐々木)煮沸で効くものもありますし、効かないものもありますので、煮沸しただけで安心するのもよくないと思います。
飯田)つまり、組み合わせて使うのですね。
佐々木)そうですね。塩素系の消毒剤で消毒できるものは消毒する。
飯田)調理器具などですね。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます