東京都医師会広報委員で国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター(ACC)病院広報管理部門長の菊池嘉氏が7月26日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。HIV感染を防ぐ暴露前予防内服「PrEP(プレップ)」について解説した。
医療関係者のHIV感染を防ぐ「曝露後予防」
飯田浩司アナウンサー)HIVウイルス自体は弱いものだということですが、感染後、初期段階では一定量のウイルスがあります。医療関係者の方々も感染には気を遣うところですよね。
菊池)手術をしなければならないこともありますし、そういう時期に針刺しなどが起きると、それだけ感染する確率が高くなるわけです。
飯田)そうですよね。
菊池)職業的に手術などを行ってウイルスに感染した可能性が高い状況にある場合は、「曝露後予防」と言い、3種類の薬の合剤ですが、治療薬を飲むと感染しないことが証明されています。
飯田)曝露後予防。
菊池)抗ウイルス剤が1剤しかないときから証明されていたのですが、3剤になってからは長い間、医療現場から感染者が出ないことがわかったので、予防できるだろうという考え方があります。
飯田)暴露後、ある意味「陽性ではない人が薬を飲んで防ぐ」ということですか?
菊池)そうですね。
HIV感染を予防することができる「PrEP(プレップ)」
新行市佳アナウンサー)どういう人が服用するのでしょうか?
菊池)陽性の方と性交渉する可能性がある人です。その場合は「PrEP(プレップ)」と言って、曝露前の予防になりますが、不特定多数の方と性交渉するような人が対象です。基本的にはコンドームを推奨しますが、どうしてもできないという場合には、薬で予防できるのではないかと。
飯田)暴露前予防内服、英語では「PrEP(プレップ)」と言うのですね。
菊池)そうですね。暴露前予防内服の“Pre-exposure prophylaxis”の頭文字を取り、「PrEP(プレップ)」と呼んでいます。
毎日継続して服用する「デイリーPrEP」
新行)毎日飲むものなのですか?
菊池)感染リスクがある方は予防します。毎日継続して服用する「デイリーPrEP」と呼ばれる方法があります。
飯田)飲める人の条件はありますか?
菊池)これは抗HIV薬のなかでもB型肝炎にも効いてしまう薬の成分なので、HIVにもB型肝炎にも罹っていないことが条件になります。
飯田)HIVにもB型肝炎にも罹っていない人。保険適用ですか?
菊池)アメリカやオーストラリア、ヨーロッパでは承認されていますが、残念ながら日本では認可されていません。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます