国会はスキャンダル追及の場ではない 問われる野党の「質問力」

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防衛研究所・防衛政策研究室長の高橋杉雄が8月4日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。国会での与野党の議論の在り方について解説した。

国会はスキャンダル追及の場ではない 問われる野党の「質問力」

歳費法などの改正案を可決、成立した参院本会議=2023年6月21日午後、参院本会議場 写真提供:産経新聞社

国民民主党の代表選

国民民主党は8月3日、代表選の立候補を受け付け、玉木雄一郎代表と前原誠司代表代行が届け出て、両氏の一騎打ちが確定した。代表選は21日告示、9月2日投開票となる。

国会のなかでの与野党の議論でも、安全保障政策の論点を整理することはできる

飯田)国内的には、維新などの野党連携をどうするのか。また自民党との距離感なども言われていますが、ある意味での日本における政軍関係というか、与党の場合は、政権と議院内閣制のなかで一体のような形になっています。もちろん個々の議論はありますが、政策に対してのコミットも事前審査という形でもできる。

高橋)そうですね。

飯田)一方で野党側は国会での質問等々になるのですが、いま夏休みで外交に出ている野党幹部などもいます。アプローチにはどのくらいの効果があると思いますか?

高橋)立法府のなかについては、お話ししにくいこともあるのですが、かつて前原誠司さんが、いまで言う反撃能力についてどのように考えるのか、当時の石破大臣と国会で議論したことがあります。

飯田)石破さんと。

高橋)非常に見応えのある議論でした。あるいは北朝鮮が核実験を行った直後だったと思いますが、これも前原さんのご質問で、「日本はなぜ核オプションを取らないのか」という内容についても重厚な議論をされたことがあります。

飯田)核について。

高橋)国会のなかでの質問と、それに対する政府の応答についても、安全保障政策の論点を整理することはできるのです。それは当然、共通の基盤に立った上でという形になるのですが、十分にあると思います。

自民党・岩屋氏の非核三原則「持ち込ませず」に関する質問に「将来、必要となれば、そのときの政権が命運をかけて決断するべき」と答弁した当時の岡田外相

飯田)かつての55年体制のように、一方は自衛隊そのものも否定しているような状態だと、なかなか議論にならない。そこでスキャンダルが取り上げられたりもします。かつて民主党時代の長島昭久さんが質問の前に、「安全保障には与党も野党もない。あるのは国益のみ」と発言していたのが印象深かったのですが、そのような国会の議論も徐々に出てきているのでしょうか?

高橋)あまり目立たないので報道されないことが多いのですが、例えば、非核三原則の「持たず、つくらず、持ち込ませず」の「持ち込ませず」について、いま若干の留保が掛かっています。かつて民主党政権時代の岡田外相は、「将来そのようなことが必要になったとすれば、そのときの内閣が命運をかけて決めればいい」という答弁を国会で行っています。

飯田)ありましたね。

高橋)それは当時、野党だった自民党の岩屋毅さんの質問に対する答えなのです。このように、国会でのやりとりで政策の枠組みを決めることもできます。それは大事なことなのではないかと思います。

国会での議論が後世、政策決定に重要な意味を持つこともある

飯田)大臣の答弁となると、公式の発言であり、議事録にも残っていく。その発言そのものが後世、政策決定のところで重要な意味を持つ可能性もある。

高橋)国会はスキャンダル追及の場ではないので、新しい政策を引き出すようなやり取りがなされると、1人の国民としてはすごくいいなと思います。

飯田)当然、質問に至るまでの間には、省庁側と「このような問題意識があるが、どうなっているのだ」などのやり取りがある。そのなかで、「いままではこうだったけれども」ということが省庁側にも出てきて、それが大臣にも上がったりするわけですよね。

高橋)「ここは新しい方針を出す機会だ」と思えば、そのような調整を役所のなかでもしていくわけです。その意味では、質問する側の質問力も問われる場所だと思います。

飯田)まさにそれが国権の最高機関たる国会の本来の役割ですね。

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