埼玉知事選 大野氏再選 「少子高齢化対策と危機管理が柱となる」
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埼玉県知事選で再選を果たした大野元裕氏が8月7日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。今後の県政について訊いた。
埼玉県知事選挙、大野元裕氏が再選
現職と新人3人による争いとなった埼玉県知事選挙は8月6日、投開票が行われ、無所属の現職・大野元裕氏が再選を果たした。大野氏は急速に進む少子高齢化に対応したコンパクトな街づくりや、持続可能な経済政策などを訴えた。
一方では熱中症対策として「あまり外出しないでください」と言いながら、「投票に行ってください」と言わなければならなかった
飯田)当選おめでとうございます。7月20日に告示され、17日間の選挙戦がありました。暑い最中だったと思いますが、いかがでしたか?
大野)本当に暑かったのですが、多くの方々と触れ合えましたし、首長として普段、なかなかお会いできない方からご意見をいただくことができ、とても有意義な17日間でした。
飯田)知事の仕事として熱中症対策等があり、またご自身も熱中症対策をしながらの選挙戦は、体力的に大変だったのではないですか?
大野)体力だけは自信があるのですが、辛いのは熱中症対策として「あまり外に出ないでください」と言っておいて、「投票に行ってください」とも言わなければならない。県の立場としては微妙なところがありました。
全国の知事選史上、最も低い投票率だった
飯田)投票の呼びかけに対する難しさについて、リスナーの方からもメールをいただいています。足立区の“ホマレッツ”さん、50歳の会社員の方からです。「全国の知事選史上、最も低い投票率でした。大野さんにその捉え方、また今後の県政について聞いてみたいです」といただきました。投票率は23.76%でしたが、これについてはいかがでしょうか?
大野)これまでもワースト5のうち、3つが埼玉県の知事選なのです。もともと関心が低く、それに加えて争点が希薄だった。あるいは非常に暑かった。こういったことがマイナスに響いたのではないかと考えています。県としても、投票率を上げることに結びつかなかったのは残念だと思っています。
コロナ対策など、「やらなければならないこと」が多かった4年間だった
飯田)大野さんは今回で2期目となります。1期目は2019年8月からで、ほとんどコロナ対策への対応だったと思いますが、1期目を振り返るといかがですか?
大野)豚熱(CSF)や令和5年の東日本台風、ご指摘のコロナなど、やらなければならない災害対策が本当に多かったと思います。
飯田)そうでしたね。
大野)もう少し具体的に言うと、災害対策では、例えば6月に台風2号の影響で大雨が降りました。その際には、静岡県と並んで埼玉県だけが、市町村で負担しきれない災害を支援する体制を構築する災害救助法の適用を行いました。ソフトもそうですが、1000億円以上の公共事業費を増額するハードなどに費やしました。
飯田)災害救助法の適用を行った。
大野)またコロナ禍では、飲食店の前に貼られているステッカー、専門家による介入チームや一般向けのワクチン集団接種センターなど、埼玉発の試みがいろいろできたと思っています。極めて厳しいなかで国民の皆さん、県民の皆さんのご協力に感謝したいと思います。いずれにしても、こうしたコロナ対応をはじめとして、やりたいことよりも「やらなければいけないことが多かった4年間」だったと思います。
コロナ禍では、「国の言うことが正しい」という前提に立たないことが必要だった ~埼玉県独自の分析で第5波に自宅療養者5万人分の体制を構築
飯田)就任直後に豚熱の話が出て、当時も大野さんにお話を伺ったことを覚えています。大野さんは民間にいらっしゃったときから、危機管理を専門としていた部分があったと思いますけれど、何が肝になりますか?
大野)本来は想像力と準備、つまり訓練が大切なのですが、コロナの場合は、どんなウイルスかということがわかりませんでした。このようなときには、自分たちが持っているリソースをしっかりと配分するとともに、可能な限り早めに体制を構築し、なおかつ、それを徹底して周知するために明確な戦略を打ち出す。何もわからない場合には、これができる対応だと思います。
飯田)その上で危機管理、特に災害などは国とも連携しつつ、各市町村とも進めなければならない。この意思疎通の部分は難しいですか?
大野)国・県・市でやらなければいけないのですが、実は共通言語がないのです。コロナの場合は特に、お互いに理解している共通の部分が少なかったですよね。
飯田)国・県・市で。
大野)例えば国との対応で言うと、第5波のあと、国は埼玉県の自宅療養者を1万9000人と想定して準備するように言ってきました。
飯田)第5波のあと。
大野)ところがオミクロン株が海外で先行したので、それを独自に分析しました。その結果、国は1万9000人と言いましたが、県としては「1万9000人では足りないだろう」ということで、5万人分の体制を独自に構築しました。
飯田)国は自宅療養者を1万9000人と想定したけれど。
大野)医師会のご協力もいただいて、やっと何とか大きな波を乗り越えることができます。必ずしも「国の言うことが正しい」という前提に立たない。あるいは国に言うべきことを言っていくということが、今回のコロナ禍ではこれまで以上に必要だったと思います。
危機管理にはファクトが必要
飯田)ある意味、悲観的に準備することも大事なのですか?
大野)悲観的に準備するということもありますが、ファクトも必要なのです。実はそのときに言ってきた病床数は、国が言ってきた数そのままなのです。つまり、オミクロン株は、それまでと比べて致死率・重症化率が低い。でも感染力が強いということがわかったので、そのような体制をつくりました。
「少子高齢化対策」と「危機管理対策」 ~コンパクトな街づくりをめざす「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」の推進
飯田)2期目の県政の目玉、あるいはやりたいことは、どんなことでしょうか?
大野)少子高齢化対策と危機管理対策、この2つが柱になると思います。
飯田)少子高齢化対策について、埼玉県はベッドタウンの部分もありますが、これも対応していかなければならないところではありますか?
大野)人口も減り始めますので、コンパクトな街づくりを行う。これが私たちの目指している方向です。
飯田)「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」を掲げていらっしゃいますよね。
大野)まさにそれです。コンパクトな街づくりで交通難民や買い物難民を出さない。社会で高齢者や子どもの見守りを行う。こういったことを進めたところ、4年間で29市町村が入りましたので、今後は63市町村すべてに参加して欲しいと思っています。
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