韓国の大統領が誰になろうとも「日米韓の枠組みは変わらない」という米のメッセージ 日米韓3ヵ国首脳会談を毎年開催へ

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が8月11日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。毎年開催する方針で合意された日米韓首脳会談について解説した。

韓国の大統領が誰になろうとも「日米韓の枠組みは変わらない」という米のメッセージ 日米韓3ヵ国首脳会談を毎年開催へ

2023年5月21日、日米韓首脳間の意見交換~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202305/21g7summit_outreach.html)

日米韓3ヵ国首脳会談を毎年開催へ

飯田)日米韓首脳会談の定例化が決まりました。

宮家)キャンプデービッドで開かれる首脳会合というと、1978年にイスラエルとエジプトによるキャンプデービッド合意がありましたが、それを思い出します。カーター大統領がサダト大統領とベギン首相を長期間缶詰にして両者の和解を即しました。

飯田)イスラエルとエジプトの。

宮家)キャンプデービッドはワシントン近郊にある大統領の山荘ですが、米大統領にとって、これは切り札だと思います。日本の首相がキャンプデービッドに呼ばれたケースももちろんありますが、2人の外国の首脳を呼ぶとなるとなかなか例がありません。

東アジアで中国に現状を変更させたくない ~日韓関係の不安定さを改善させなければならない

宮家)日米韓3ヵ国で開催することになりましたが、アメリカが何をしたいのかと言うと、ズバリ、日韓のさらなる関係改善だと思います。

飯田)日韓の。

宮家)なぜ日韓のさらなる関係改善が必要なのかと言うと、大きな流れとしてアメリカが考えているのは、ロシアとウクライナの戦争が長く続きそうだということです。そのなかで中国が力をつけてきている。アメリカにとってロシアはもちろん嫌なのですが、中長期的に最も怖いのは中国です。

飯田)アメリカにとって。

宮家)ヨーロッパでいまロシアがやろうとしているように、東アジアで中国に現状を変更して欲しくない。そのために必要なのは抑止です。米軍は存在していますが、中国は強いので、抑止にもいろいろ穴が空いているのです。そのうちの1つが日韓関係です。日米韓でしっかりと固められないところに大きな弱点がありました。

台湾方面の動きと朝鮮半島は一体として見なければならない ~そこに穴を空けないためにも日米韓の連携を強める

宮家)台湾で何かあるときには、陽動作戦で北朝鮮が何かしてもおかしくはありません。台湾方面の動きと朝鮮半島は、常に一体として見ていかなければなりませんし、そこに穴が空いてはいけません。

飯田)朝鮮半島に。

宮家)日韓関係が悪くなると、そこに穴が空く可能性が高い。そうならないために、アメリカは日米韓の連携を強めようとしている。共同演習の毎年の実施や、ミサイル関連情報の即時共有の推進で一致するなど、これは推測記事ですが、おそらくはエマニュエル大使がそのように話しているのでしょう。

韓国の大統領が誰になろうとも「日米韓の枠組みは変わらない」という米のメッセージ 日米韓3ヵ国首脳会談を毎年開催へ

2023年5月21日、日米韓首脳間の意見交換~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202305/21g7summit_outreach.html)

韓国の政権が代わっても「日米韓の枠組みは変わらない」ことを表すアメリカのメッセージ

宮家)非常に上手くメディア対策を行っていますが、あれほど活発に動く駐日大使を見たのは初めてです。すごい人だなと思います。

飯田)読売新聞の記事では、アメリカのラーム・エマニュエル大使のコメントも掲載されています。

宮家)このようなことは普通ありません。普通であればワシントン発、あるいは日米外交筋などから出るではないですか。

飯田)そうですね。

宮家)アメリカがこの動きを定例化するということは、私が見るところ、メッセージとして、韓国で次にどのような大統領が就任しようとも、これは定例化しているのだから「日米韓の枠組みは変わらない。変えてはダメだ」ということだと思います。

飯田)政権が代わっても。

宮家)そのくらい、アメリカは日韓に穴が空いてはいけないことを痛感し、一生懸命手を打っている。「ヨーロッパと東アジアの大きな流れを見ながら、打つべき手を打っている」というのが私の印象です。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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