「NTT法見直し」議論するべきは株売却ではなく、「天下り」と「情報公開」の問題 高橋洋一が指摘

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数量政策学者の高橋洋一とジャーナリストの須田慎一郎が8月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。NTT法の見直しについて解説した。

「NTT法見直し」議論するべきは株売却ではなく、「天下り」と「情報公開」の問題 高橋洋一が指摘

NTTの本社が入るビル=2020年9月29日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

NTT法見直しへ、総務省が議論開始

総務省は、政府によるNTT株の保有義務などを定めたNTT法の見直しを視野に議論を始めた。自民党内では、政府が保有する約5兆円分のNTT株を20年以上かけて売却し、その収入の一部を防衛財源として活用することが検討されている。今後、審議会としても株の売却に向けたNTT法の改正などについて議論する見通しで、来年夏に答申の取りまとめを目指す方針。

飯田)防衛費の財源については、増税なども言われますけれど、いろいろなところからひねり出そうとしていますね。

須田)NTTがどのように位置付けられているのか。もちろんNTT法の見直しで想定される論点のなかに、経済安全保障は入っているのだけれど、あまり優先順位が高いように思えないのです。

飯田)経済安全保障の優先順位が。

須田)実は、経済安全保障において、NTTが中核企業を担っているのです。この場合は通信……半導体を含めてデータという意味ですけれども。NTTの下に、かつての電電御三家である富士通やNEC(日本電気)が終結しているという構図があるわけです。

飯田)集結している。

須田)経済安全保障のなかで、NTTをめぐる法律、あるいは株式売却について位置付けなくてはならないと思います。

株を売却する場合、売却先に一定の制限を掛けなければならない

飯田)NTT法のなかで、固定電話を全国に展開する「ユニバーサルサービス」がありますが、これが莫大なコストになっていると指摘されています。

須田)コスト負担も含めてNTTを守ること自体が、経済安全保障の全体像をどう位置付けていくのかにつながっていきます。

飯田)株を売却するにしても、売却先については……。

須田)一定の制限を掛けなければいけないと思います。

約5兆円のNTT株を20年間かけて売るのであれば、配当金と大差ない

飯田)高橋さんは、総務大臣の補佐官も務めていらっしゃいました。今回の話をどうご覧になりますか?

高橋)ピントがずれた話がたくさん並んでいますね。約5兆円分のNTT株を20年以上かけて売却し、収入の一部を防衛財源として活用すると言われています。一時金で、5兆円ほど入るのは間違いないのだけれど、配当も確か3%だから、1500億円ぐらい入るのです。20年間かけて売ると言っているけれど、それだと配当収入と大差がないのですよ。なぜこのような議論をするのかと、まず思います。

「NTT法見直し」議論するべきは株売却ではなく、「天下り」と「情報公開」の問題 高橋洋一が指摘

NTTの本社が入るビル=2020年9月29日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

問題は天下りと情報公開 ~「研究成果を公開する」という規定が入っている

高橋)配当収入が高いから、それで十分なのです。世界の通信業者でも政府が持っているものは少ないから、売るのはわかりますが、どんな弊害があるかと言うと、天下りなのです。

飯田)天下り。

高橋)天下りが行われているという弊害がある。また、NTT法で私が時代錯誤だと思うのは、昔つくった法律で中核企業だったから、「研究成果を外に公開する」という規定が入っているのです。いまの時代ではあり得ません。直さなくてはいけないと思います。

飯田)そうですよね。

高橋)でも、この話は全然出てこないでしょう。いろいろな技術を持っているのに、「あまねく公開する」という規定があるから公開してしまうと、中国の人間はそれを使ってしまう。そちらの方が問題です。

飯田)問題ですよね。

高橋)株式の話についても、防衛費の財源は他にたくさんあるではないですか。そうではなく、天下りと、情報を外に無償で公開するという規定の方が問題だと思います。それを議論するべきではないでしょうか。

飯田)天下りと情報公開の問題について。

高橋)それなら安全保障の話にもきちんと対応できると思います。このような話はどこにも書かれていないので、不思議で仕方ありません。

飯田)株を売っていくらになるとか、そういう話ばかり。

高橋)それについては、いま言ったように配当金とほとんど一緒です。長期間で売るのであれば。

飯田)技術の話で言うと、私の出身である横須賀には「通信研究所」があって、昔は一般公開もしていました。携帯電話のプロトタイプのようなものや、テレビ電話などが公開されていました。いまはすべて実用化されているけれど、「どうして私が子どものころに見ていたものが、全部アメリカなどに取られてしまっているのだろう」と思っていましたが、そういう背景もあるのですね。

高橋)約40年前に中核の国有企業だったから、国の持っている情報を公開するという原則で法律をつくってしまったのです。

飯田)40年くらい前に。

高橋)でも、それは違うでしょう。公開した情報が悪用されているのです。そういう議論をするのであれば、私は意味があると思います。株式売却、財源ということで考えれば、似たような話は他にもあるのではないでしょうか。

経済安全保障の議論が進むなか、6G時代の半導体をどうつくっていくか

飯田)経済安全保障において、半導体や先端技術は焦点の1つですよね。

須田)特にこれからは、6Gの時代を前提に経済安全保障の議論が進んでいきます。今後、6G時代の半導体をどうつくっていくのか、どういう規則にしていくのかと言うと、認証の問題があります。メーカーサイドが「安全ですよ」と認証する仕組みをつくる。

飯田)安全であると。

須田)そうしないと、今度はアメリカに対して半導体を輸出できません。

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