都市防災研究の第一人者である東京大学先端科学技術研究センター教授の廣井悠氏が9月4日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム スペシャル ~関東大震災から100年 都市型震災に備える~」に出演し、辛坊と対談。「日本の街は耐火ではなく難燃。同時多発で起きる地震火災のリスクを認識すべきだ」と解説した。
100年前の関東大震災など過去の地震の教訓を生かし、さまざまな対策が進んでいるが、近代化した日本だからこそ懸念される新たな問題も浮上している。いつ訪れるか分からない大地震を前に、我々はどのように現実を確認し、そのうえでどのような心構えをしておく必要があるのか―。
辛坊)関東大震災では、火災によって多くの人が犠牲になりました。現在も、木造密集住宅が想定される被害としては大きいのでしょうか。
廣井)そうですね。ただ、木造密集区域に指定されていない所も燃えます。結局、日本の家は燃えやすいんです。日本では昭和30年頃、火災被害を防ぐ戦略が立てられました。この戦略は難燃化の街づくりです。日本はお金がなかったため、海外のような不燃化の街づくりを目指すのは難しかったのです。
難燃化とは文字通り燃えにくくすることです。つまり、時間稼ぎをするわけです。また、時間を稼ぎつつ、消防力で何とか対応しようという戦略を立てました。この戦略がかなり奏功し、1976年の酒田大火(山形県酒田市)以降、日本では3万3000平方メートル以上が燃える都市大火は発生していません。
ただし、この戦略では地震火災は想定外です。地震火災は同時多発で起きますから、この戦略では通用しないわけです。消防車が足りなければ、結局は燃えてしまいます。日本人は、日本の家屋は燃えるという現実を認識する必要があります。
辛坊)関東大震災クラスの地震が東京の直下で発生した場合、どうしたらいいですか。
廣井)重要なのが火災対策です。良くも悪くも結局は消防が火を消してくれるので、都市火災のリスクはないと思っている人が多いのですが、火災に対するリスク意識をしxcつかりと持つべきです。関東大震災で多くの人が亡くなった原因は、やはり避難に失敗したからです。ですから、避難場所や避難方法の確認は最低限しておくべきです。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)