外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が9月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。開催が予想されるプーチン大統領と金正恩総書記の首脳会談について解説した。

夕食会で乾杯する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長（左）とロシアのプーチン大統領＝2019年4月25日、ロシア・ルースキー島（タス＝共同）写真提供：共同通信社

ロシアと北朝鮮が首脳会談を開催か

韓国の国家情報院は9月7日、北朝鮮の金正恩総書記がロシアのウラジオストクで9月10日～13日に開かれる東方経済フォーラムに合わせ、ロシアのプーチン大統領と首脳会談を行うとの分析を明らかにした。

北朝鮮から遠くないウラジオストク

飯田）また、ウラジオストクへ向かうルートについて、「予想外の経路を通る可能性もある」との分析を示しています。

宮家）ウラジオストクへは何度か行きましたが、実はあそこは北朝鮮に意外と近いのです。南の方に走って行くと、中国の国境と北朝鮮の国境、ロシアの国境が1つになっている場所があります。ここまではウラジオストクからバスで2時間ぐらいで行けます。

飯田）国境まで。

宮家）金正恩はおそらく線路を使うのでしょうけれどね。でも、そのくらい近いのです。

ロシアは北朝鮮から武器・弾薬を提供してもらい、北朝鮮はエネルギーの他、軍事技術をもらうことができる　～双方にメリット

宮家）「東方経済フォーラム」には昔、日本の首相も参加しましたが、ウクライナで戦争が行われているのですから、いまや行く人はいないでしょうね。

飯田）東方経済フォーラムへは。

宮家）逆に、いままでであれば、ロシアも北朝鮮に頼ることなど考えてはいなかったと思いますが、ウクライナ戦争が1年以上も続いてしまった。本当は中国にもっと支援して欲しいけれど、中国も賢いですから、迷いながらも「支援したり、しなかったり」するわけですよ。

飯田）中国は。

宮家）だから今ロシアに対して堂々と武器を供与できるのは、北朝鮮などの変わった国しかないわけです。そういう意味で最近、急速に両国関係が改善されてきたと言われます。

飯田）ロシアと北朝鮮の関係が。

宮家）首脳会談を行うということは、双方ともにメリットがあるのですよ。ロシアは北朝鮮から武器・弾薬などの提供を受ける。北朝鮮製の武器はロシア系だから、相互運用性はあるでしょう。

飯田）そもそも。

宮家）キャッシュをもらえるかどうかはわかりませんが、北朝鮮もロシアからエネルギーをもらい、何よりも軍事技術をいただくことができるのです。双方ともにメリットがあるので、これから関係が進んでいく可能性は十分にあると思います。

ICBMの最新技術の他、北朝鮮のロシアに対するショッピングリストはいろいろとある

飯田）北朝鮮が何度も発射している短距離弾道ミサイルも、変則軌道の部分はロシアの技術と言われています。

宮家）いままでもいろいろとテストしていますが、あまりうまくいっていないわけですから、ロシアの最新技術は当然、欲しいわけです。ICBMの最新技術など、ショッピングリストはいろいろとあるような気がします。

ロシア・ショイグ国防相が北朝鮮との合同軍事演習を検討か

飯田）ロシアのショイグ国防相が北朝鮮を訪問した際、北朝鮮との合同軍事演習を検討しているという報道があります。

宮家）我々に対する威嚇の意味もあるでしょう。それで驚くような我々ではないけれど、何をしでかすかわからない人たちなので、相手の出方はよく見ておかなければなりません。

飯田）軍事演習や技術の供与は安保理決議違反ですよね。

宮家）もちろんです。しかし、彼らも「背に腹は代えられない」のではないでしょうか。