数量政策学者の高橋洋一が9月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。北朝鮮・金正恩総書記のロシア訪問について解説した。

2023年9月10日午後、平壌を出発する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記 朝鮮通信=時事 写真提供:時事通信
北朝鮮がロシアに求めるのは衛星やロケット技術
飯田)北朝鮮の金正恩総書記が専用列車でロシアに入りました。宇宙基地でプーチン氏と会談するのではないかと言われています。ウラジオストクでは「東方経済フォーラム」が行われており、そこにプーチン氏もいるというなかでの出来事だそうです。
高橋)ウラジオストクで会談を行うのは少し寂しいと思っていました。金正恩氏がロシアのどこまで入るのかが注目されています。金正恩氏の移動は列車だし、北朝鮮とロシアでは線路の幅が違うのですよね。
飯田)そうですね。
高橋)だから乗り換えが大変で時間が掛かるのです。軍事関係の話だと宇宙がいちばん大きいので、金正恩氏はそこに釣られてしまったのではないでしょうか。「宇宙ロケットを見に来い」と。要するに、軍事衛星やロケット技術の話に釣られたのではないかと思います。
北朝鮮はロケットと潜水艦の技術が欲しい、ロシアは弾薬が欲しい
飯田)北朝鮮は2度、「衛星」と称するロケットの打ち上げに失敗しています。これは弾道ミサイルの技術と表裏一体ですよね。
高橋)表裏一体だけれど、うまくいかない。あと、宇宙の話とは違いますが、おそらく潜水艦の話をしたのだと思います。「技術をくれ」ということではないでしょうか。ロシアの方は「弾をくれ」ですよ。ウクライナ戦争での。
飯田)弾薬を。
高橋)ロシアが「弾をくれ」と言っているときに、金正恩氏の方はロケットと潜水艦の「技術をくれ」と言っているのでしょう。そのロケット技術の裏付けとして、宇宙基地まで行くのではないですか。
これで日本はついに「三正面」になってしまった ~防衛費はGDP2%では足りない
飯田)韓国メディアの報道によると、金正恩氏に同行して科学技術者あるいは軍事関係の担当などが来ているようです。一方、ロシア側もショイグ国防相が同行しているのではないかと言われています。
高橋)ショイグさんは以前も北朝鮮を訪問していますからね。
飯田)7月に訪問した際、軍事演習の話もしていたということです。でも全部、国連の安保理決議違反ですよね?
高橋)間違いなく違反です。日本はついに三正面作戦になってしまいました。だから、防衛費は国内総生産(GDP)比3%まで伸ばさなくてはダメですね。
飯田)2%でも足りない。
高橋)絶対に足りません。