筑波大学教授で国際政治学者の東野篤子氏が9月21日、ニッポン放送「辛坊治郎　ズーム　そこまで言うか！」に出演。国連不要論について「極論すぎる」と指摘したうえで、「国連総会に代わる場は他にはない。もっと興味をもっていい」と解説した。

国連総会議場で一般討論演説を行う岸田総理　2023年年9月19日（現地時間）　～首相官邸HPより　https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202309/19usa.html

東野）国連を巡っては、「不要だ」「役に立っていない」という声があります。しかし、こうした指摘は極論すぎると思っています。やはり、国連はまだまだ生かしていかなければなりませんし、国連を生かすリーダーとして日本が先頭に立っていく必要があると考えています。

確かに、安全保障理事会が機能しなくなって長いです。とはいっても、国連は安保理だけではありません。総会もあります。加盟国全てが集まる総会で、各国の考えをそれぞれ述べることは大切なことです。例えば、現在開かれている総会でも、ロシアから侵攻を受けているウクライナに金銭や武器の支援をしていなかったり、ロシアに対して制裁を加えていなかったりする中立の立場をとる国々の中にも、ロシアによる侵略はよくないと主張している国があります。こうしたことは積み上げが大切です。

各国の見解をしっかりと聞いていく機会として、国連総会に代わる場は他にはありません。ですから、「国連は不要だ」「国連なんて解体してしまえ」と言う前に、国連をどのように生かし、各国の意見をどのように吸い上げていくのかということに知恵を絞っていくべきです。そして、国連でいったい何が話され、どのような提案が出されたかなど中身について、私たち日本人はもっと興味をもち、アンテナを張り巡らせてもいいのではないかと考えています。