東京都医師会理事で「鳥居内科クリニック」院長の鳥居明氏が9月20日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。ピロリ菌と胃がんの関係について解説した。
胃がんの9割以上はピロリ菌が原因 ~スキルス胃がんにもピロリ菌が影響
飯田浩司アナウンサー)ピロリ菌がさまざまな病気の原因になるということですが、どんな病気になるのですか?
鳥居)最も多いのは胃潰瘍、十二指腸潰瘍ですね。胃潰瘍は90%以上、十二指腸潰瘍は100%に近い方からピロリ菌が見つかると言われています。
飯田)十二指腸潰瘍では100%近くから。
鳥居)また、胃がんの9割以上はピロリ菌が原因ではないかと言われています。特に、ピロリ菌に感染すると萎縮性胃炎になるのですが、そこからなる高分化型腺がんという割とタチのいい胃がんがあり、こちらはほとんどがピロリ菌によるものだと言われています。
飯田)高分化型腺がん。
鳥居)また、いまは一気に進んでしまうスキルス胃がんもあります。これに関しても直接粘膜にピロリ菌が付いて、それがどうも悪さをしていると判明しつつあります。
単体でピロリ菌を検査する場合は自己負担
新行市佳アナウンサー)自分がピロリ菌を持っているかどうか、知りたい方も多いのではないかと思います。検査を受けるためにはどうすればいいのでしょうか?
鳥居)単体でそれだけを行うとなると、検診の形になります。病気に付随していろいろと調べる場合には、保険が適用されます。調子が悪い場合は内視鏡検査をしていただき、その結果、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどが見つかった場合、その原因を調べるためにピロリ菌の検査をすることができます。
飯田)単体で調べようとすると検診になるので、基本的には負担が掛かるのですね。
鳥居)自己負担になります。
ピロリ菌が見つかった場合は除菌療法を行う
新行)検査でピロリ菌が見つかった場合、どのような措置があるのでしょうか?
鳥居)基本的には除菌療法を行います。抗生物質を飲んでいただく形です。
飯田)錠剤を飲むのですか?
鳥居)そうですね。ピロリ菌がいることが確認されたら、酸を抑える薬と、2種類の抗生物質が一緒になったパック製剤を朝・晩、1週間飲んでいただきます。通常、1回で8割~9割の方が除菌できるようになりました。上手く除菌できないときも、二次除菌があります。抗生剤の種類を少し変えることによって、ほとんど100%の方が除菌できるようになっています。
新行)「除菌ができた、できない」というのは何で判断するのですか?
鳥居)ピロリ菌がいるか、いないかという検査に戻りますが、内視鏡を使う検査と使わない検査があります。簡単にできるのは血液による抗体検査です。
飯田)簡単なのは。
鳥居)一度ピロリ菌に感染すると抗体ができるので、それを調べます。また、便のなかに菌がいるかどうかを調べる方法や、あるいは患者さんに息を吹いてもらい、そのあとに錠剤を飲んでいただきます。ピロリ菌と薬が反応すると息が少し重くなるので、質量分析を行う方法もあります。「変わらなければ菌がいない、少し息が重くなれば菌がいる」という尿素呼気試験です。これが最も鋭敏で、最終的な診断になります。
飯田)最終的な診断になる。
鳥居)それ以外には、組織を直接採って顕微鏡で調べる内視鏡検査もあります。また、ピロリ菌はアンモニアを出すので、それを見ることで陽性かどうかを判断する方法もあります。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます