月例経済報告「需給ギャップがプラスに転じた」は嘘である その理由を高橋洋一が解説

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数量政策学者の高橋洋一が9月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。政府による9月の月例経済報告について解説した。

月例経済報告「需給ギャップがプラスに転じた」は嘘である その理由を高橋洋一が解説

※画像はイメージです

9月の月例経済報告 ~景気は緩やかに回復を維持

政府は9月26日に関係閣僚会議を開き、9月の月例経済報告をまとめた。それによると、国内の景気判断を「緩やかに回復している」との表現で据え置いた。個人消費や設備投資の持ち直しが続いており、同様の表現は5ヵ月連続となる。

飯田)一方で住宅建設は建築費の高止まりで、着工戸数が減ったため判断が引き下げられています。

コロナ対策の100兆円がいまも効いている

高橋)少しずつ伸びているのは間違いありません。(安倍・菅政権で)コロナ対策として100兆円を出したので、繰り越してずっと使っているのです。その効果がかなりありますね。

飯田)そろそろ使い切るという感じですか?

高橋)あと数兆円はまだ残っていると思います。100兆円を出し、最初の年に70兆円ぐらい使って、30兆円ほど残りましたが、また10兆円ずつくらい使っている感じです。「不正受給が多い」と言われていますが、とにかく急いで出し、「事後的な検証をする」ということで行ったので、予定通りではあります。

飯田)とにかく早く出した。

高橋)結果的に日本は100兆円レベルの対策をしました。GDP比20%くらいですが、先進国ではトップレベルです。その効果がいまもあるのです。

「需給ギャップがプラスに転じた」は嘘

飯田)いまは個人消費や設備投資も持ち直しており、需要と供給のバランス、「需給ギャップがプラスに転じた」というようなことも書かれていますが。

高橋)あれは嘘ですね。

飯田)嘘。

内閣府では潜在GDPを計算する際、2%低く見積もる ~実際より2%高くなる

高橋)需給ギャップというのは潜在GDPと実際のGDPの差を言うのですが、潜在GDPをどのように計算するかと言うと、いままでの内閣府の計算では、いつも2%ぐらい低く見積もるのですよ。だから、ときどき需給ギャップの数字を見ていると、プラス2%ぐらいまでいくのです。

飯田)プラス2%ぐらい。

高橋)でも、本当はいくわけがありません。

飯田)プラス2%ぐらいになっていたら、物価はもっと伸びるし。

高橋)大体プラス2%で、物価が2%ぐらいという感じなので、失業率がいちばん低くなるのはそんなところですけれどね。ずっと「2%」くらいサバを読んでいるのです。

飯田)そうなのですか。

高橋)いままでも。ただ、今年(2023年)の最初にGDP改定があり、需要の方の計算を少し変えて1%くらいサバを読んだから、いまはGDPギャップの計算において3%ほどサバを読んでいるのです。

需給ギャップは回復せず、まだ3%くらい残っている

高橋)3%サバを読んでいるので、「需給ギャップが回復した」というのは嘘です。まだ3%ぐらい残っていますね。

飯田)「3%」と言うとあまり多くないように思えますが、GDP全体だと550兆円ぐらいです。

高橋)だから15兆円~16兆円レベルのギャップですね。このくらい埋めないと失業率が下がらない。そうすると、賃金は持続的にずっと上がらないという状況になります。

飯田)なるほど。経済対策の規模について、世耕さんの「次の補正で15兆円ぐらいは必要」という発言と符合する数字が出てきました。

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