全銀ネット障害が象徴する、複雑化した社会システムでの「リスク分散」の課題

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元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が10月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。全銀ネットのシステム障害について解説した。

全銀ネット障害が象徴する、複雑化した社会システムでの「リスク分散」の課題

三菱UFJ銀行に掲示されたシステム不具合を説明する張り紙=2023年10月11日午後、東京都台東区 写真提供:産経新聞社

全銀ネット、不具合から丸2日で復旧

飯田)全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)のシステムの不具合が起きて丸2日、金融機関で他行宛ての振り込みができませんでしたが、10月12日にようやく復旧しました。「5・10日」にも重なって、影響を受けた方も多かったようですが。

松井)以前、みずほ銀行のシステム問題がありましたが、全銀ネットは長年の安定性があったようです。原因については、まだ全容がわかりませんが、金融はまさに経済の血流ですので。

飯田)そうですね。

松井)アップデートしてソフトウェアを変えていかなければならないときに、こういう問題が起きたのはショックですよね。

社会システムに対するメンテナンスがどこまでできているのか

飯田)いまのところサイバー攻撃等々ではないことも発表されていますが、だとしたら、なぜ起きたのか。

松井)そうですよね。すべてを一緒にしてはいけないと思いますが、日本の鉄道に対してもいろいろな問題が指摘されています。人身事故については防止能力が必要だけれど、ある程度は仕方ないところもあります。しかし、架線故障や車両故障など、社会が複雑化するなかで、社会システムに対するメンテナンスがどこまでできているのか。そういう問題として捉えることもできます。

飯田)社会システムに対するメンテナンスが。

松井)金融庁も含めて、どういう構造問題があったのか調べようとしているところですから、きちんと調べて欲しいですね。みずほ銀行の場合は、システムに関わる方々から言うと、銀行の統合によって、それぞれ違うシステムがある。

飯田)どうすり合わせるかというような。

松井)そういうことを言われていますが、全銀ネットの場合、そういう話は聞きませんでした。

「どのようにリスクを分散してバックアップするか」が今後の課題

飯田)今回も3連休の間にソフトウェアを更新しようとして、不具合が起こったと言われています。インフラに対するメンテナンスが言われるようになったのは、ここ10年ぐらいでしょうか。

松井)業界は大量のSEを抱えているわけですが、システムの構造が諸外国とどう違うのか。日本的なシステムや情報技術者の構造の問題でなければいいと思います。

飯田)そうですね。

松井)最近は連休などを使って「ATMを停止します」というやり方が多くなっています。それだけシステムが複雑になっているのでしょう。銀行関係の友人に話を聞くと、ATMの機械自体も値段がかなりするそうです。

飯田)とても高いと言いますよね。

松井)ですから、ATMを減らしている銀行もあります。

飯田)ATMではなく、ネット上の決済を使う。

松井)でも、ネット決済も同じ情報システムを使っているわけで、そこにトラブルがあったら怖いですよね。

飯田)センターのサーバーが全部を担うようなやり方で、果たしてどこまで維持できるのか。そのためのコストは誰が負担するのかという問題もあります。

松井)どうリスク分散していくのがいいのか。メインフレーム型の大きいコンピューターシステムなわけですが、いざというとき、どのように分散型のものでバックアップするのかも含めて、課題なのではないでしょうか。

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