パレスチナ情勢が日本経済に「深刻な影響」を与える可能性も
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元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が10月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。イスラエルのネタニヤフ首相と米ブリンケン国務長官の会談について解説した。
アメリカのブリンケン国務長官がイスラエルのネタニヤフ首相と会談
アメリカのブリンケン国務長官は11月12日、イスラム組織ハマスとの戦闘を続けるイスラエルを訪れ、ネタニヤフ首相と会談した。ブリンケン氏は会談後の記者発表で「我々はいつもあなたの側にいる」と述べ、イスラエルを支持する姿勢を改めて鮮明にした。
飯田)ハマスに拉致されて人質になった方のなかには、アメリカの方もおり、その辺りも協議したのではないかと言われています。一連の戦闘が起きていますが、驚きましたね。
高度な情報網があるのに、なぜハマスの攻撃を事前に察知できなかったのか
松井)イランがどこまでサポートしていたのかはわかりませんが、「鉄壁」とまで言われているアメリカやイスラエルの高度な情報網があるなかで、攻撃が入念に計画され、しかも不意打ちで行われた。
飯田)なぜ事前に察知できなかったのか。
松井)システムの安定性を疑わなければいけないのかも知れません。衝撃でした。強力だと言われていた防御システムが崩されてしまい、沽券に関わりますから、イスラエルは必死です。
飯田)ハマスを殲滅すると言っています。
松井)岸田さんは「最大限の自制を求める」と発信しましたが、日本がそう言ったところで収まるような話ではありません。
飯田)今回の日本のアプローチは、当事者として何かすることが難しいので、あのようなメッセージの出し方になったのでしょうか。
松井)仕方ないとは思います。このタイミングで何ができるかと考えても、あまりないと思います。しかし、特にイランがどこまで背後で支援しているのか、未だによくわかりません。
ブリンケン国務長官が「いつもあなたの側にいる」と言うだけで収まるのか
飯田)今後、地上戦が始まるのではないかと言われていますが、いまのところは原油価格等々も落ち着いています。1バレル=83ドルぐらいなので、ハマスによる大規模攻撃が始まる前に戻してきた感じですか?
松井)そうですね。今後、最悪の状態になってしまい、また中東が混迷して、世界経済に大きな打撃が及ばないように願っています。ただ、ブリンケン国務長官が「いつもあなたの側にいる」と言うだけで収まるのでしょうか。また、アメリカにどこまでその力があるのか。
飯田)影響力が落ちていると言われるなかで。
松井)急接近するイスラエルとサウジアラビアの関係に対し、ハマス側に焦りがあったわけですが、そういうものを「どう戻していくのか」も注視する必要があると思います。
日本経済に深刻な影響が及ぶ可能性もある
飯田)他への飛び火が気になるところですが、イスラエルがシリアの首都ダマスカスと、北部アレッポの空港に対してミサイル攻撃を行ったのではないかという報道もあり、シリア当局はイスラエルからの空爆と見ているようです。こうなると……。
松井)そうならないことを願いますが、火薬庫に火がついてしまうことになりかねない。だからと言って、日本に何ができるのかと言うと、できることも限られるし、難しいところですね。
飯田)こうなると「G7議長国だから」などというレベルではなくなってきます。
松井)いまは外務大臣も東南アジア諸国連合(ASEAN)の方に行っていますが、「中国に関し、アジア全体でどう対峙するか」ということは日本にとっても大事なことです。
飯田)プライオリティが高い。
松井)中東の問題は、日本に何ができるかはともかく、経済に対する影響が深刻になり得るので、注視していくしかないと思います。
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