「宇宙にも日常があるのです」 宇宙飛行士が語る国際宇宙ステーションでの生活

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黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(10月9日放送)にJAXA宇宙飛行士の金井宣茂が出演。宇宙での生活について語った。

「宇宙にも日常があるのです」 宇宙飛行士が語る国際宇宙ステーションでの生活

金井宣茂

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。10月9日(月)~10月13日(金)のゲストはJAXA宇宙飛行士の金井宣茂。1日目は、宇宙空間での生活の実態について---

黒木)宇宙に行かれたのですね。

金井)1回だけですが、行ってまいりました。

黒木)1回だけとおっしゃいますが、ほとんどの方は行けませんよね。

金井)まだ残念ながら。しかし、民間宇宙旅行の話も始まってきています。

黒木)と言っても、まだ高額ですものね。昔の人で、宇宙に出て行く人間が出るなんて、誰が想像したでしょうね?

金井)飛行機が開発されてまだ100年と少しですし、宇宙飛行自体もまだ60年ほどしか歴史がありません。そのような浅い歴史のなかで、宇宙飛行士は現在も宇宙ステーションのなかで生活しています。人類は既に宇宙のなかでも仕事をしているのです。

黒木)金井さんは2017年12月から168日間、約5ヵ月半に渡って国際宇宙ステーションに長期滞在なさったという宇宙飛行士でいらっしゃいます。ここ(地球)も宇宙、星ですが、実際に宇宙に行ってみていかがでしたか?

金井)黒木さんが「地球も宇宙」とおっしゃった通り、宇宙空間も我々人間が普通に生活する生活空間だということが、私自身、宇宙に行ってみて、いちばんの驚きであり、納得感としてもありました。普通の日常が宇宙でもあるのです。

黒木)「普通の日常がある」というのは、具体的にはどのようなことですか?

金井)昔ですと、スペースシャトルやアポロのロケットに乗って1~2週間宇宙に滞在し、そして帰ってきて、「宇宙に行ってきたね、おめでとうお疲れさま」という話でした。

黒木)そうですね。

金井)いまは「国際宇宙ステーション」という宇宙の実験室が飛んでいて、そこに約半年間、宇宙飛行士が滞在します。そこでは毎日、さまざまな宇宙実験や宇宙ステーションのメンテナンスの仕事をして、夜には寝て、また翌日は仕事をする、という普通の毎日を送っているのです。

黒木)毎日。

金井)私はいま、筑波宇宙センターというところで毎日、オフィスワークをしているのですが、同じような日常を宇宙でも過ごしてきました。

「宇宙にも日常があるのです」 宇宙飛行士が語る国際宇宙ステーションでの生活

金井宣茂

黒木)地球はどうでしたか?

金井)窓の外を見ると、青く大きな地球が眼下に広がっているというのは、本当に素晴らしい光景でした。

黒木)月はどうでしたか?

金井)残念ながら、宇宙ステーションは地上から約400キロという近いところを飛んでいるので、お月様は小さかったです。ただ、空気の層がないので、はっきりと綺麗に見えます。

黒木)宇宙にはいろいろな星がたくさんあるのですよね?

金井)星も空気の層を通さないので、瞬きません。はっきりと星が光るのが見えます。

黒木)しかし、まだ銀河系ですから、銀河系のなかでの範囲ですよね?

金井)地球の近くの範囲を飛んでいるので、星座などは地上で見るのと変わりません。しかし、それがはっきりと見えます。あとは地球を回るうちに、北半球の上を飛んでいたり南半球の上を飛んでいたりするので、宇宙では、夏の星座が見られたり、冬の星座が見られたり、1日のなかで見える星座が次々と変わっていくのがダイナミックでした。

黒木)宇宙人はいると思いますか?

金井)よくその質問をお受けするのですが、やはり、地球以外に生命体はいてもおかしくないと思います。我々宇宙飛行士や宇宙を探査する無人ロボットの目的の1つは、「アストロバイオロジー」と言って、地球以外で生まれた生き物の痕跡を探すことなのです。

黒木)私たちも地球人ではありますが、宇宙人ですからね。

金井)そうですね。地球は大切な星ですが、「そこだけにしか生き物がいない」と言ったら、それは少し寂しいですね。

「宇宙にも日常があるのです」 宇宙飛行士が語る国際宇宙ステーションでの生活

金井宣茂

金井宣茂(かない・のりしげ)/ JAXA宇宙飛行士

■1976年、東京都生まれ。
■防衛医科大学校医学科を卒業し、海上自衛隊に入隊。
■防衛医科大学校病院や自衛隊大湊病院、自衛隊呉病院、海上自衛隊第1術科学校衛生課外科医師・潜水医官として勤務(※潜水医学は、長期閉鎖環境下での潜水艦乗組員の健康や精神状態についての研究などを行うもの)。
■2005年、アメリカ海軍の潜水医学研究施設に留学した際、潜水医学専門医が宇宙飛行士になったことに驚き、宇宙飛行士を志すようになった。
■2009年9月、JAXAから宇宙飛行士候補者として選抜される。
■2011年7月に宇宙飛行士に認定され国際宇宙ステーション(ISS)搭乗。
■2017年12月からISS第54次/55次長期滞在クルーとして宇宙に168日間滞在 。
■現在は、ストレスのなかでどうやって元気に過ごすかなど、閉鎖環境下における宇宙飛行士の精神心理サポートを中心に宇宙医学を研究する他、月面探査車(ローバー)の開発にも尽力されている。

番組情報

黒木瞳のあさナビ

毎週月曜〜金曜 6:41 - 6:47

番組HP

毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

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