衆参補選 自民1勝1敗 「解散」で勝てるか不透明に
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ジャーナリストの須田慎一郎が10月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。10月22日に投開票が行われた衆参2補欠選挙について解説した。
衆参2補欠選挙、与野党対決は1勝1敗
与野党が対決する構図となった衆参2補欠選挙は10月22日に投開票が行われ、衆院長崎4区では自民党の新人で公明党が推薦する金子容三氏が当選。一方、参院徳島・高知選挙区は無所属で野党4党が支援した広田一氏が当選した。
飯田)2つの補欠選挙は、内閣改造後に初めて行われた選挙として注目が集まっていましたが、1勝1敗でしたね。
接戦だった長崎4区の衆院補欠選挙 ~何とか残った自民党
須田)参院徳島・高知選挙区の補欠選挙に関しては、自民党の国会議員が問題を起こし、引責辞任したことを受けての選挙なので、当初から野党有利と言われていました。その通りの結果になったわけですが、問題は長崎4区の補欠選挙でした。激しいデッドヒートだったのです。
飯田)長崎4区の方は。
須田)ここでも自民党が落として2敗になったら、場合によっては一気に党内政局につながりかねない。「岸田さんでは選挙に勝てないのではないか」ということで、岸田下ろしの動きも起こりかねないような情勢だったのです。1勝1敗になり、徳俵に足がかかりましたが、何とか残ったのかなという感じがします。
飯田)特に長崎4区に関しては、自民党は組織も強いし、事前調査では有利かと言われていましたけれど、大接戦でしたね。
須田)事前投票の出口調査を見ても、ほとんど均衡していましたから、投開票日の当日まで「抜きつ、抜かれつ」の状況だったのだと思います。
岸田総理の人気の低さが長崎4区の補欠選挙の接戦に影響したという見方も
須田)加えて、長崎4区に関しては岸田派、つまり「宏池会丸抱え」の選挙戦を展開したのです。宏池会の番頭格である林芳正さんは、現地張り付きという状況で陣頭指揮を執った。昨晩(10月22日)は、宏池会事務所に「可能な宏池会所属の国会議員はみんな集まって選挙結果を見守ろうではないか」というぐらい、緊迫ムードが漂っていた状況でした。「ほっと一息」というところだと思います。
飯田)金子さんのお父様も、そのおじい様も確か宏池会の方で、「うちでやらなければ誰がやるのだ」という感じになっていたわけですものね。
須田)そうですね。
飯田)陣営の話も新聞に載っていますが、「岸田さんの人気の高くないところが選挙にも影響したのではないか」というような指摘もされています。
須田)投開票日の直前になって、岸田さんが減税を唐突に打ち上げたのも、選挙戦の苦しさの表れという感じがします。
1勝1敗の結果をどう受け止めて、今後、どのように展開していくのか
須田)1勝1敗を受け、臨時国会で早期解散が打てるのか、あるいは年明けに解散が打てるのかどうかが焦点になります。
飯田)臨時国会での解散は難しくなってきましたか?
須田)できないわけではないけれど、国民の受け止め方がこういう状況にあるなか、解散を打って「本当に勝てるのかどうか」が不透明になってきました。きちんと臨時国会で経済対策の手を打ち、年末までに減税を決めて成果を出していかないと、「国民世論の支持は回復しないだろう」という見立てもあります。「この1勝1敗をどう受け止めて、今後、どのように展開していくのか」が1つのポイントでしょうね。
2025年7月の参院選の際「ダブル選挙」という可能性も
飯田)スケジュール的に言うと、11月半ばにアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議があり、補正予算も審議することになると、日程的には窮屈になってきます。
須田)日程的に考えると、事実上できないという状況です。それでも0%ではない。ただ、問題なのは年明けです。通常国会が始まりますが、冒頭解散もないわけではないですからね。
飯田)年明けに。
須田)冒頭解散せずに予算案の審議を始めてしまうと、総裁選の前に選挙を打てると考えたら、予算案の成立以降になってしまう。4~6月で実施しないといけません。そうすると一種の「追い込まれ解散」的な状況にもなりかねない。であれば、いっそのこと総裁選前の選挙をすべて飛ばし、2025年7月には参議院選挙があるのだから、そこで「ダブル選挙」をやればいいということで、「しばらく選挙はできない」という状況も見え隠れしているのです。
自民党内の調整で総裁選では「岸田総理続投」でしばらく選挙がないということも
飯田)でもその前に、2024年9月には自民党総裁の任期が切れますよね? そこを選挙なしで、どう岸田さんが乗り切るか……。
須田)それは党内の調整になります。有権者とは関係ないところですから、有力候補が出てこなければ、「岸田さん続投」という流れになります。党内調整、水面下の調整で決着をつけるのか、それとも正面切って……。
飯田)信を問うということで。
須田)「戦いを挑んで支持を得るのか」というところに入っていくのだと思いますね。
一方で、次期総裁選に出ることを半ば表明している高市早苗氏
飯田)選挙なしで総裁選を乗り切るために、内閣改造も「いろいろなところに恩を売る形の人選にした」という解説も聞かれます。
須田)ただ、一方で経済安全保障担当大臣の高市早苗さんは、来年(2024年)の総裁選に出ることを半ば表明しています。
飯田)無投票にはならない。
須田)閣内にいるからと言って、「出ない」ということにはなりません。
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