理解に苦しむ「日本を除くG7共同声明」への松野官房長官のコメント

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経済アナリストのジョセフ・クラフトが10月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。仏マクロン大統領のイスラエル訪問について解説した。

会見する松野博一官房長官=2023年10月23日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

会見する松野博一官房長官=2023年10月23日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

仏マクロン大統領がイスラエル訪問

フランスのマクロン大統領は10月24日、イスラエルのテルアビブを訪問し、ネタニヤフ首相と会談する。イスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃で、フランス人7人が行方不明となっており、うち女性1人は人質と確認された。

飯田)イスラエルをめぐって23日、日本を除いたG7の6ヵ国首脳が電話会談を行い、共同声明も出しています。国際社会としても、「どのようにアプローチしていくか」ですが。

中東との関係が構築できている日本が中東に出向くべき

クラフト)このような国際問題があると、フランスは必ず出てきて存在感を示すのですが、今年(2023年)のG7議長国は日本なので、この6ヵ国だけで会談するのはいかがなものかと思います。やはりG7として、まとまった見解が必要なのではないでしょうか。日本は原油の約95%を中東から輸入しているので、他国よりも依存度が高いのです。

飯田)そうですね。

クラフト)一方、中東との関係も他国より構築できている国でもあります。フランスだけでなく、日本も中東に出て行き、イランなどの国々と外交するチャンスでもあります。

「この6ヵ国は誘拐・行方不明者などの共通点があるから」という松野官房長官のコメントは理解できない

クラフト)イギリス、アメリカ、フランス、ドイツは、私から見るとイスラエル側に寄っているように見えます。日本はG7議長国として、それを中道に戻す役割もできますので、存在感を見せてもいいのではないでしょうか。松野官房長官による「この6ヵ国は誘拐・行方不明者などの共通点があるから」というコメントの趣旨が、私にはわかりませんでした。

日本人が誘拐されていなければ、日本は何もやらなくていいのか

飯田)共同声明が6ヵ国で出されたことについて、「この6ヵ国は誘拐・行方不明者などの犠牲者が発生しているとされる国々だ」と指摘しています。

クラフト)「日本人が誘拐されていなければ、日本は何もやらなくていいのか」ということにも聞こえるのです。

飯田)裏返すと、そのように聞こえてしまいますよね。「我々は関係ない」という。

クラフト)やはりG7議長国として各国をまとめ、「G7として何ができるのか」を日本が率先して模索できるのではないでしょうか。

日本こそユダヤとアラブの間の中立的な立場を示せる国

飯田)岸田総理は、G7の前には「法の支配」を強調し、その後は国連総会や所信表明のなかでも「人間の尊厳」という概念を使っていました。この概念自体は悪くないと思ったのですが、このような場面でこそ出すべきだと思います。

クラフト)日本こそ、ユダヤとアラブの間の中立的な立場を示せる国なので、法の支配を強調し、G7としての姿勢や結束を見せるいいチャンスだと思います。

バイデン政権が誤った「イスラエル対アラブ」の対立軸を日本が「ハマス対世界」に修正する

飯田)パレスチナの支援なども含め、中東に関して独自にやってきたことはいろいろありますからね。

クラフト)水面下で動いているのかも知れませんが、そこはもう少し表立ってアメリカやイギリス、その他の国々と連携していくべきだと思います。バイデン政権の最大の問題は、本当は「ハマス対世界」の対立軸にしなければいけなかったのを、「イスラエル対アラブ」の対立軸にしてしまったことです。それを日本が正すことが大事です。

飯田)しっかりとハマスのテロ行為も批判して。

クラフト)批判はしているのですが、「6ヵ国をまとめる」ということが、日本にできる最大の貢献ではないかと思います。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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