経済アナリストのジョセフ・クラフトが10月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。10年3ヵ月ぶりの高い水準まで上昇した長期金利について解説した。
長期金利が一時0.855%まで上昇 ~約10年3ヵ月ぶりの高水準
飯田)日本の長期金利が、約10年3ヵ月ぶりに一時0.855%まで上昇しました。10年物国債の利回りが上がってきており、また日銀が政策を変更するのではないかとも言われています。どう見たらいいのでしょうか?
クラフト)日本の長期金利が上がっている背景には、まずアメリカの金利が上がっていて、それに追随している感があります。10月31日に日銀の金融政策決定会合が控えているので、注目度が高いです。金利が上がると、「日銀が金利の修正策に打って出るのではないか」という憶測が出てきます。
飯田)金利の修正策に。
クラフト)3ヵ月おきに経済物価の展望レポートが発表されるのですが、私の予想だと、10月末の会合では、日銀が出している消費者物価指数の予想見通しが上方修正されるのではないかと思います。
飯田)上方修正される。
クラフト)2023年は前年度比2.5%から3%近くに上方修正される。より注目されているのが2024年度の物価見通しで、これが1.9%から、2%超えの2.2%辺りに引き上げられるのではないかと言われています。
YCCの枠組みは残したまま、マイナス0.1%の金利を0%に戻すのでは
クラフト)そうなると、ほぼ2年で2%なので、正常化に向かうという憶測が出てくる。マーケットは長期金利が上がっているので、「1%が上限になっている長短金利操作をさらに引き上げるのではないか、あるいは枠組み自体を撤廃するのではないか」という憶測が出ています。
飯田)なるほど。
クラフト)私はイールドカーブ・コントロール(YCC)の枠組みは残したまま、それには触らず、12月にマイナス金利を解除すると思います。いまはマイナス0.1%の金利を0%に戻すのではないかと推測しています。
飯田)日銀の当座預金の部分ですね。
クラフト)もともとマイナス金利と言っても、マイナス金利を払っている人はいませんし、経済への影響も限定的なので、植田総裁は異次元緩和から従来型の緩和に移行しよう、普通に戻そうとしているのだと思います。緩和は緩和なのですが、異次元から従来型にする。異次元緩和の象徴の1つがマイナス金利です。これをまた「普通のゼロ金利に戻そう」と考えているのではないかと思います。
植田日銀総裁「物価上昇に確信を持った段階で、マイナス金利の解除も選択肢に」
クラフト)マーケットの順番はまず「YCCの枠組みだろう」というのがいままでの定説でしたが、9月9日の読売新聞のインタビューのなかで、植田総裁がいろいろとヒントを出しているのです。彼は「物価上昇に確信を持った段階で、マイナス金利の解除も選択肢に」と言っています。この辺りでマイナス金利を動かしてくるのではないかと思います。
飯田)メッセージはもう出しているのですね。
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