経済アナリストのジョセフ・クラフトが11月7日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。イスラエル・パレスチナ情勢について解説した。
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イスラエル中部テルアビブの空港に到着し、同国のネタニヤフ首相(左)に出迎えられるバイデン米大統領=2023年10月18日(ロイター=共同)
米バイデン大統領とイスラエル・ネタニヤフ首相が電話会談
飯田)アメリカのバイデン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が電話会談を行いました。ここの関係はどうですか?
クラフト)国務省の幹部から聞いた情報では、アメリカが激怒しているようです。ネタニヤフ首相は極右派の思想で、バイデン大統領は左派です。もともと折り合いがつかないなかで確執がありました。
飯田)もともと。
クラフト)アメリカとしては、ハマスの奇襲は許されるものではないため、当初はイスラエル支援の立場を取りました。しかし、イスラエルのガザ地区空爆でパレスチナ市民の犠牲者が多く出てしまった。それにバイデン大統領は相当悲しんでいて、ネタニヤフ政権に対して自制を求めたのです。ネタニヤフ政権の優先順位は「ハマス壊滅」、次に「人質解放」、3つ目が「パレスチナ人の安全・人権」です。対するアメリカは「人質解放」がトップで、次に「パレスチナ人の人道支援」、最後に「ハマスの壊滅」なので、折り合いがつかないわけです。
飯田)なるほど。
クラフト)しかもバイデン大統領とネタニヤフ首相の信頼関係が薄い分、言うことを聞かない。そこに米政府は憤りを感じています。
飯田)その上、バイデン政権はこれまで、アラブ諸国と密接な関係を積み上げているわけではありません。
クラフト)バイデン政権の中東外交、あるいは中東政策は失敗しています。トランプ政権時代のアメリカとサウジの関係は良好でした。アラブ首長国連邦(UAE)やバーレーン、カタールとの関係もよかった。ところがバイデン政権になってサウジとの関係が崩れ、イスラエルとも確執が生じました。アメリカの影響力は著しく低下している状況です。