政策アナリストの石川和男が11月25日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のエネルギーリテラシー」に出演。自動車業界に詳しい経済ジャーナリストの井上久男と日本メーカーのEV(電気自動車)戦略のあり方について議論した。そのなかで井上は、今後、世界のEV市場において日本メーカーが生き残るには「ホンダと日産が合併するくらいの気持ちじゃないと勝てない」と指摘した。
世界的に脱炭素社会実現へ向けた動きが加速するなかでEVの普及が進んでいる。昨年、日本国内で販売されたEVは、前年比2.7倍の5万8813台となり、過去最高を更新した。また、乗用車全体に占める割合も1.71%と初めて1%を超え、今年に入ってからは2%を超える月が続いている。ただ、EV比率が10~20%台で推移する欧州や中国と比べると、日本のEV市場や自動車メーカーによるEV開発の出遅れは明らかで、今後の生き残り策に注目が集まっている。
井上)実は今、日本の自動車産業は絶好調。トヨタ自動車、ホンダは過去最高益。各社とも乗用車メーカー、みんな売上高が2桁増。コロナで前年が悪かったことや円安の影響もあるが、大きな理由はEVをやっていないから。
11月のトヨタの決算発表では、EVを早くやっていたら、こんなに儲かってないですよみたいな資料を出してきた。EVに向けて、これからさらに投資していくときには、これまでハイブリッド車で儲かってきたから、それをこれからEVに向けますよと。あまりにも早くEVに取り組んでいたら、次のEVに投資するお金は、もしかしたら出ていなかったかもしれませんねみたいな説明をCEOがした。
メディアが日本の自動車メーカー大丈夫かと言っているのは、長中期的な視点。2030年、2040年になったときに、今のような自動車の売れ筋なのか。明らかにEVシフトになっていくが見えている。そうなった時に日本メーカーは対応できるのか、今やっていないと中国メーカーやテスラにも追いつかない。
テスラや中国のEVメーカーに比べると、日本メーカーはEV分野で2周くらい遅れていて、対抗できるのはトヨタだけ。ホンダや日産は経営原資的にもなかなか対抗できない。私は業界の再編がいると思う。ぶっちゃけ言うと、ホンダと日産が合併するくらいの気持ちじゃないとEVで勝てないと思います。
番組情報
政策アナリストの石川和男が、暮らしに欠かせないエネルギー問題の様々な“見方”を提起。
日ごろ、テレビや新聞などで報じられることが少ない専門家ならではの視点やデータを駆使して、歪んだ情報を正し、あなたのリテラシー向上をお手伝いします。
※2024年4月6日(土)までは『石川和男のエネルギーリテラシー』