賃上げベースアップは「4%超の賃上げが必要」 専門家が指摘

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元日本銀行政策委員会審議委員でPwCコンサルティング合同会社チーフエコノミストの片岡剛士が11月28日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。金属労協によるベア要求について解説した。

賃上げベースアップは「4%超の賃上げが必要」 専門家が指摘

※画像はイメージです

金属労協が来年の賃金ベースアップ「1万円以上」要求へ

自動車や電機など主要製造業の労働組合が加盟する全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)は、2024年春の労使交渉で賃金を一律に引き上げるベースアップ(ベア)の要求を「月額1万円以上」とすることで最終調整に入った。3%以上の引き上げに相当する。ベア要求は11年連続で、1万円以上の要求は、過去最高だった1998年の7000円を超える。

飯田)大きな労組だけに、インパクトがあるでしょうか?

片岡)金属労協がリード役にならないと全体のベアが上がらないので、いいニュースではないかと思います。ただ、1万円以上という金額は1つの象徴ではあるのですが、ベースアップは率が問題なのです。

7000円をさらに超えないと3%以上は維持できない

片岡)去年(2022年)は引き上げているので、その分、今年(2023年)もたくさん金額を上げないと率は維持できません。去年は定昇を含めて3.6%を少し切るくらいのベアでしたが、今年は7000円を超えるような感じにならないと、3%以上は維持できないわけです。

定期昇給も含めて4%上げることが大事

片岡)私個人としては、定昇も含めて4%を掲げたいと思います。

飯田)賃上げ全体で、定期昇給も含めて言えば。

片岡)全体感で言うと、ベアでは2%台後半くらいが射程圏内に入ってくるので、定昇含めて4%上がるのは大事だと思いますね。

飯田)最近の物価上昇率の総合の数字を見れば3%台ですから、3%に留まれば、「行って来い」でほとんど変わらないのですね。

片岡)ベアが2%台だと、実質賃金で負けてしまうわけです。来年(2024年)以降は原材料価格の停滞もあり、物価自体が3%台から2%台に下がる可能性があります。ベアが仮に2%台半ばになると、実質賃金としてはゼロないし、ややプラスという展開になるため、この辺りが1つのターゲットになるでしょう。そのためには、「定昇含めて4%超の賃上げ」が来年度は大事だと、あえて高めの球を投げたいと思います。

「1万円以上」の要求は「最低ラインはクリアできる」というレベル

飯田)今年は高めの賃上げ水準になりましたが、その部分の効きが半年以上経って、ある意味で息切れしているような状況です。もう1段の加速がいまこの時期に必要ですし、来年の春はもう1回加速しなければ、ジリ貧になっていきますね。

片岡)補正予算も含めて可処分所得を上げ、民間もそれに応える。物価は海外要因でやや軟調になるため、実質賃金の停滞ではなく、イーブンくらいになるでしょう。経済としては底上げされていくと思うので、そのような流れをつくらなくてはいけません。その意味では、今回の金属労協の話は必要条件ではあるけれど、とりあえず「最低ラインはクリアできるのではないか」と思うので、「一安心」というニュースですね。

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