立憲民主党の泉健太代表が12月6日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。衆参両院の予算委員会で開かれる集中審議について語った。
衆参の予算委員会、12月8日に集中審議 ~「政治とカネ」議論
自民・立憲民主両党は12月5日、衆参両院の予算委員会で集中審議を8日に開くことで合意し、岸田総理と関係閣僚が出席する。野党は自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる疑惑など、「政治とカネ」の問題について追及する。
飯田)「政治とカネ」について、川崎市高津区にお住まいの“小田”さん(50歳・主婦)からのご意見です。「政治家のパーティー券の裏金、ふざけるなと言いたいです。国民にはインボイス制度で手間とお金を払わせているのに」といただきました。集中審議では、この話がメインになりますか?
派閥や集金システムは自民党以外にない
泉)例えば高校受験で先生が裏金を貰っていたら、果たして公正な受験になるでしょうか。病院の入院ベッドでお医者さんが裏金をもらっていたら、きちんと順番が回ってくるのか……。そのような裏金が、政治の世界で広くつくられていたとしたら、公正・公平な行政など望めないわけです。あらゆる規制、あらゆる予算が業界や企業とも深く関わっているなかで、なぜ政治資金規正法が制定されているかと言うと、「国民の皆さんに監視していただく」ことを目的に情報公開しているのです。その政治資金規正法に基づく収支報告書に、パーティー収入を載せていないとすれば、規正法に真っ向から反することですので、許してはいけません。
飯田)収支報告書に載せていないのであれば。
泉)本当に許してはいけない。よく「政治家は」と言いますが、自民党のような立派な派閥や集金システムは、他党にはありません。今回の場合、「自民党の政治家は」と言ってもいいぐらいだと思います。
パーティー券収入など4000万円を超える収支を記載せず、議員辞職した薗浦元衆院議員
ジャーナリスト・佐々木俊尚)各社の報道を見ていると、長年に渡ってある種、慣習的に常態化していたのだと思います。もちろん政治資金規正法違反なのですが、「脱法」くらいの意識しかなかったのではないかという印象も受けます。これが他の政党、つまり野党に波及する可能性はないと思われますか?
泉)可能性と言えば、あらゆる可能性はあるのですが、他の政党には派閥はほとんど見られません。そこが政治団体登録を行い、パーティーを開いて多額の収入を得るのですが、実は収入として記載されていたのは一部で、あとは記載されていなかった。個人によるものだと、かつて自民党の薗浦健太郎議員が4000万円を超えるパーティー収入を、ほとんど遊ぶ金に使っていたことがわかりました。収入を記録していなかったから、どれだけ収入があって、何に使ったかは出てこない。そのために彼は議員辞職をしましたが、それぐらいの問題なのです。絶対に許される話ではないと思います。
佐々木)立憲民主党からは出てこないですか?
泉)それはわかりませんよね。誰がどういうパーティーをいつ行って、それが不記載であるという可能性は。ただ、1つ区別しなければいけないのは、ケアレスミスのような「3万円の記載が漏れていた」という話と、「3年、4年と長年続けていた」という話では、全然違いますよね。自民党の議員であっても「ミスで起きたものなのか、それとも意図して行われたのか」は明確に区別できると思います。
現行法を守ることが大事
佐々木)この状態を改善するためには、政治資金規正法を改正するしかないのではないかという声が自民党から出ています。どう思われますか?
泉)それは違います。現行法を守ることがまず大事です。何でもそうですが、現在の法律も守れない人たちが、「法律を改正しよう」と言ってルールを変える話に入るのはおかしいと思います。「ルールを守るために法律を変えた方がいいのではないか」などと言ったら、法律はいくらでもゆるくなります。そもそも献金は少額でも記録しなければいけないのに、「パーティー券は20万円まで記載、報告しなくていい」というルールになっていること自体、抜け道だと言われていました。さらにゆるくして違法ではなくなるというのは、本末転倒ですね。
佐々木)逆に「20万円以下も記載する」という改正だったら、あり得るのではないですか?
泉)それは十分ありますね。ただ、いままでのものが免責されることは絶対にないでしょうね。許される話ではないし、仮に記載が20万円以下から5万円以下になったところで、裏金をつくっている人たちからすれば、裏金である限り何も変わりません。何のルール遵守にもならないわけです。裏金をつくってきたという歴史、体質が問われていることは間違いありません。
真相は国会会期中には明らかにならない
飯田)もともと政党助成金と政治資金規正法の話は、「お金を渡して政策を変えてもらおうとするのはおかしい」という観点から始まっています。ある意味、民意の吸い上げ方、業界団体や霞が関などからの吸い上げ方において、いままでの自民党のシステムでは制度疲労が起きてしまうのでしょうか?
泉)「企業献金も自由がある」などと言いますし、団体献金もあるかも知れませんが、その業界から少なくない献金があれば、「その業界に悪いことはできない」という構図はいまもあるわけです。
飯田)献金を受けた業界には。
泉)公平・公正な行政に関して、国民から大きな疑念が持たれている。現に、ただ単に多額のパーティー収入を得るだけではなく、それを裏金にして見えないようにしている状況は、国民の信頼を真っ向から裏切るものです。絶対に許されることではない。ただ、予算委員会で自民党や大臣が本当のことを言うのであれば、それほど楽な話はないわけです。いま検察が捜査していますが、永田町のなかでは「国会が終わらなければ検察の本格的な動きは始まらない」と言われています。「真相は国会会期中には明らかにならない」という話もあるのです。
飯田)答弁も「捜査中の案件ですので、お答えは控えさせていただきます」と。
泉)いつもの決まり文句で答弁逃れをするでしょう。国民の皆さんには、国会閉会以降の検察の捜査にも関心を持っていただきたいと思います。
内閣不信任案については総合的に判断して決める
佐々木)これに絡んで、内閣不信任決議案は出されるでしょうか?
泉)これに絡んで出すかどうかは最終的に判断します。不信任案を出しても、例えば自民党が「解散する」となったら、捜査が止まってしまうのではないか。また、解散したことでうやむやになり、「けじめがついた」などと言われかねない問題もあるので、我々は総合的に判断し、最終的に決めなければいけないと思っています。
飯田)(内閣不信任案を)出さなければ出さないで、「弱腰だ」と言われることもありますよね。
泉)いまの自民党の裏金体質は異常だと言わざるを得ないし、企業側で献金してきた皆さんも、出したものは記録しているのに、派閥の方で記録していなかったというズレが今回の発覚につながっているのです。ぜひ会社側の立場で献金した方々も、現状を一掃するという意味で、真相を語っていただきたいと思います。
環境産業、脱炭素産業、AIインテリジェンスを伸ばしていくべき
佐々木)内閣不信任案を出さないと弱腰だと言われ、出すと否決される。その繰り返しですが、拳を振り上げているとメディアが喜ぶ傾向にあります。でも、メディアだけではなく、立憲民主党の支持者のなかにも、そういうことを期待する人が多い。結果的に「拳を振り上げるポーズ」をすることになるけれど、コアの支持者ではない人たちから見ると、その状況を異常に感じてしまうところがあると思います。立憲民主党は今後、支持率を増やしていくことについて、どんなビジョンをお持ちなのでしょうか?
泉)まじめにコツコツと、まともなことをやり続けるということです。今回、経済政策もつくりましたが、私は立憲民主党として「産業を伸ばす」と明確に訴えるべきだと思います。これまでも人への投資は行ってきましたが、特に環境産業、脱炭素産業、あるいはAIインテリジェンスなど、さまざまなものをもっと伸ばしていく必要がある。こういう攻めの姿勢は、立憲民主党としても堂々と言っていきたいですね。
佐々木)今回の経済対策は連合からも評価されています。特にいま、岸田政権の経済対策が不明瞭なので、経済中心に立憲民主党が攻めていく方向性は正しいのではないでしょうか。
泉)COP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)も開催されましたが、本来であれば、この10年で環境産業に投資し、エネルギー転換を図るべきだった。化石燃料の輸入を抑えるのは温暖化対策でもありますが、国富の流出を防ぐことにもなるので、石油を買い続けるこの国の構造を変えたい。そういうことをきちんと言う立憲民主党でなければいけないと思います。
飯田)一方で、現在の状況を急に変えてしまうと「電力が不安定になるのではないか」とも言われますが、そこは漸進的に変えるという感じですか?
泉)そうですね。原子力について立憲民主党が主張するならば、再生可能エネルギーと省エネと蓄電、そして安定的に供給できる体制。これが絶対に必要だと、党内に対しても言っています。
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