黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(12月11日放送)に小説家の凪良ゆうが出演。第20回本屋大賞を受賞した著書『汝、星のごとく』について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。12月11日(月)~12月15日(金)のゲストは小説家の凪良ゆう。1日目は、著書『汝、星のごとく』と『星を編む』について---
黒木)凪良さんは2020年に『流浪の月』で全国の書店員が最もお客様に薦めたい本に投票する「本屋大賞」を受賞。これが1回目で、さらに今年(2023年)、『汝、星のごとく』で2度目の本屋大賞を受賞されました。おめでとうございます。
凪良)ありがとうございます。
黒木)受賞の一報を聞かれたとき、泣いたのですって?
凪良)驚いてしまって、言葉が出ないまま涙がボロボロと。
黒木)どうしてですか?
凪良)これまで「本屋大賞」を2度受賞された方は恩田陸さんだけだったので、自分と恩田さんを一緒になぞらえて考えることがまず、できませんでした。ノミネートだけで本当にありがたいなと思っていたので、驚きすぎて言葉が出なかったですね。
黒木)凪良さんは書店の方を本当に大切にしていらっしゃるではないですか。だから嬉しい賞でもありますよね。
凪良)いま、リアルタイムで本を読んでいる方にいちばん近い書店員の方々が選ばれる賞なので、そういう意味でも、書き手としては嬉しい賞です。
黒木)本屋大賞のニュースが出ると、私はすぐに買って読むのですよ。『流浪の月』もそうですし、この度の『汝、星のごとく』もすぐに買いました。
凪良)ありがとうございます。
黒木)本屋大賞を受賞された『汝、星のごとく』の続編と言っていいのでしょうか、『星を編む』が講談社から刊行されましたが、私は続編ではなく『汝、星のごとく』との上下巻だと思っているのです。
凪良)それは嬉しいです。どう捉えていただくかは読んでくださった方にお任せするのですが、気持ち的には本編の『汝、星のごとく』で書ききれなかったところを書いていく「補完」というよりも、「2冊で1冊だ」と思っていただけると嬉しいですね。
黒木)この2冊で完結している上下巻として受け取り、読ませていただきました。凪良さんが言いたいこと、訴えたいこと、伝えたいことなどが、すべて押し寄せてきました。
凪良)前作『汝、星のごとく』では、重要なところに北原先生という、主人公2人の高校時代の先生が出てくるのですが、『星を編む』では北原先生の過去を少し書かせていただきました。これが「春に翔ぶ」という一遍なのですが、本編は暁海(あきみ)と櫂(かい)の物語なので、そこに北原先生の過去を入れると、物語として少し贅肉というか余分なものになってしまうのです。『汝、星のごとく』は、あくまで暁海と櫂の物語であると。でも、やはりあれを読まれた方は、「どうして北原先生はこんな人になっているの?」と思われるのではないかと。少し謎めいた過去が前作でもあまり明かされていなかったので、そこはきちんと……。
黒木)それはそれで成立しているけれど、『星を編む』を読ませていただくと伏線が全部回収されて、「すごいな、ここまで書かれたのだ」というところに感動しました。
凪良)ありがとうございます。1冊の小説のなかで書かれていないことでも、設定としては、やはりいろいろバックボーンを考えています。「どのような過去があって、この人はこういう人物になったのか」という積み重ねがないと人物が書けないので、小説のなかで書いたのは氷山の一角のようなところがあります。普段は外に出さない海面の下に隠れているところを書けたことが嬉しかったです。
凪良ゆう(なぎら・ゆう)/小説家
■2007年、『花嫁はマリッジブルー』で著書デビュー。
■2014年、『美しい彼』を刊行。2021年には連続ドラマにもなった人気シリーズ。
■2017年、BL作品ではない『神さまのビオトープ』が非BL作品として高い評価を受ける。
■2019年に『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。2020年には『流浪の月』で第17回本屋大賞を受賞。2022年には実写映画化。2020年刊行の『滅びの前のシャングリラ』で2年連続で本屋大賞にノミネート。2023年、『汝、星のごとく』で第20回本屋大賞受賞。直木賞候補となった。
■2023年11月、『汝、星のごとく』の続編となる最新作『星を編む』を刊行。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳