政治資金パーティー“裏金疑惑” 安倍派の“まとまらなさ”が故に起きた問題

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キヤノングローバル戦略研究所主任研究員でジャーナリストの峯村健司と東京大学先端科学技術研究センター准教授で軍事評論家の小泉悠が12月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。自民党安倍派の政治資金パーティー問題について解説した。

松野博一前官房長官、西村康稔前経産相、鈴木淳司前総務相、宮下一郎前農相=写真提供:共同通信社

松野博一前官房長官、西村康稔前経産相、鈴木淳司前総務相、宮下一郎前農相=写真提供:共同通信社

清和会のまとまらなさが故に起きた問題

峯村)本を正すと、清和会のまとまらなさが故に起きた問題ではないかと思います。自民党関係者にきいたところ、最初のころ、地検特捜部が会計担当者に任意で事情聴取しているときも、弁護士をつかなかったため、検事の問われるままに洗いざらい供述しており、事件化につながったそうです。地検の関係者に話を聞くと、まさかここまで事件が広がるとは思っていなかったようです。派閥としてきちんとグリップしていれば、ここまでならなかったのではないでしょうか。

飯田)他の派閥の場合は、「政治資金収支報告書にきちんと書いておくように」と言っていたようですからね。

指示を出した人物が刑事訴追を受けることになりかねない宮沢防衛副大臣の発言

峯村)宮沢防衛副大臣の12月13日の会見では、かなり踏み込んだ発言をしている印象でした。「派閥の責任者から記載するなと言われた」というのはすごい発言だと思います。記載しないということは、犯罪意識があったということですから、宮沢氏が捜査当局に喋れば、その方は特定できるわけです。そうなれば複数の現役の国会議員の逮捕という事態になるでしょう。

飯田)あの発言は、「議員側は言われるままにやっていたので、犯意はない」というところを強調する意味もありますからね。

派閥の緩みから生じた事件

峯村)宮沢氏は「自分は被害者だ」と言いたかったところもあると思いますが、それも「緩い指示を出してしまっている」という派閥の緩みの1つだと思います。あのようなところで暴露されてしまったことを考えると、清和会の集団指導体制という責任の曖昧性がために起きた問題なのかなと思います。

汚職で得られる金額が違うロシアや中国

飯田)今回のようなことは、ロシアなどでもあるのでしょうか?

小泉)何千万円というお金で、こういうことにはならないですね。かの国の場合、汚職の桁が2つ、3つ大きいですから。こういうことで騒いでいる時点で、日本の民主主義はまだ機能していると思う一方、一有権者としては、「未だに昭和の古典的な汚職のようなことをやっているのだな」と失望した部分もあります。

飯田)「政治とカネ」の問題は、ここ30~40年ずっと言われていますものね。

峯村)日本では、よく賄賂の額で200万円や300万円などと言われるではないですか。中国の場合、「これは手数料か?」とよく聞かれるのですよね。

飯田)中国の人から。

峯村)かの国も、賄賂額は地方政府の役人でも数十億円がざらです。もちろん賄賂など絶対にいけないと思いますが、日本の場合、(200~300万円で)すべての政治生命が終わってしまうような人もいるわけです。もちろん悪いことですが、やりすぎてしまうのもどうなのかな、というところですよね。

小泉)舛添東京都知事の問題があった当時、義理のお母さんがモスクワの実家から日本に来ていて、「毎日テレビで何を騒いでいるの? この人はなぜ毎日出てくるの?」と聞かれたので説明したことがありました。すると、「えっ、そんな額のお金で?」と言うわけですよ。それを夜、電話で実家の旦那さんに話したら、「そいつはロシアに汚職のやり方を勉強しに来た方がいい。そんなケチな金を政治家が……。そいつはわかっていない」という話をしていました。

飯田)なるほど。

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