混乱の京葉線ダイヤ改正 千葉県民にとって死活問題の「東京への迅速アクセス」減少

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東大先端科学技術研究センター准教授で軍事評論家の小泉悠が1月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。京葉線の快速をめぐり、異例の見直しとなったJRのダイヤ改正について解説した。

JR京葉線=2024年1月13日 写真提供:産経新聞社

JR京葉線=2024年1月13日 写真提供:産経新聞社

京葉線のダイヤ改正、異例の見直し ~早朝の快速2本復活へ

3月のJRダイヤ改正に伴う京葉線の快速縮小問題で、JR千葉支社は1月15日、早朝の上り快速電車2本の運行を継続すると明らかにした。東京都と千葉県を結ぶ京葉線をめぐっては3月のダイヤ改正でラッシュ時の通勤快速などを廃止すると発表し、反対の声が上がっていた。

千葉県民にとって東京へのアクセスが減少することは死活問題

飯田)蘇我から新木場までノンストップで、蘇我の先はJRの外房線・内房線と直通するものでした。小泉さんは千葉県出身ですが、どうご覧になりますか?

小泉)千葉県民はあまり千葉県内で移動しないのですよね。すべてが千葉から東京に行くことを前提にしていますので、東京に行くための交通は悪くないのです。

飯田)東京に行くには。

小泉)逆に言うと、東京に一発で行けるアクセスが少なくなるのは、千葉県民としては死活問題だと思います。私は京葉線ユーザーではなく、どちらかと言うと総武線快速を使っていました。東京駅から横須賀線に変わる路線です。それをよく使っていたのですが、急になくなると言われたら、生活スタイル自体が相当変わってしまうので、大きな問題だと思います。同時に、JRはもう国営企業ではないわけで、国営企業ではないところに人々の生活を激変させるようなものをずっと預けておくというのも、なかなか脆弱な状態だなと思いました。

経済合理性と安全保障のバランスをどう取るか

飯田)もともとは国鉄があり、さまざま政治的な影響を受け、非効率になって民営化されたわけです。その辺りのバランスが常に取り沙汰されている。

小泉)私は1982年生まれですので、まだギリギリ横柄な駅員がいたのを憶えています。あれはどうかと思う反面、まったくの営利企業として「お客様」などと言っている企業に、果たしてどこまで私たちの生活基盤を預けていいのか不安です。また、今回の能登半島地震もそうですが、経済合理性で動いている限りは、必ず非常事態に対する脆弱性が生まれてしまいます。パブリックに取り組まなくてはいけない安全保障の論理がある一方、そればかりを重視していると必ず非効率になります。神の見えざる手は絶対に働かせなければいけませんが、どうミックスしていくかが政治の役割だと思います。どこに線を引くのか、どこにミックスの境目を置くのかについて、最近とても考えますね。

飯田)一面だけをみて「こうするべきだ」ということは言えますが、その裏で「こちら側が不具合を起こしてしまう」ということも考える必要がある。「JRが全部言うことを聞いていたら、赤字続きでまた同じようなことになった」という状況が起きる可能性もあります。

安全保障の観点からは強いが、維持のために膨大な国家予算を費やす「ロシア鉄道」

小泉)私が研究しているロシアの場合で言うと、ロシアはまだ「ロシア鉄道(RZD)」という国鉄なのですよね。当然、軍事輸送も行いますし、ベラルーシに核弾頭を配備するとなれば、国鉄が核弾頭を運んで行くわけです。北朝鮮から送られてくる弾も国鉄が運ぶので、この体制を安全保障の観点からみた場合、強いと言えば強いです。ただ、もちろん黒字にはならず、膨大な国家予算で何とか維持しています。どちらを取るのかは、一種の哲学ですよね。

飯田)統治機構も含めての政治になってくる。

小泉)自然災害などに対応するとしたら、物資であればどのくらい貯蔵しておくのか。ロシアの場合は備蓄庁があり、膨大な予備物資を備蓄しています。砂糖から耕作機械、農業機械、燃料まである。日本もこれだけの災害大国ですから、備蓄庁があってもいいのではないかと思いますね。

飯田)確かにそうですね。自衛隊に全部任せていますから。

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