外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が1月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。派閥における「カネと人事」の問題について解説した。
通常国会召集
飯田)1月26日は通常国会の召集日ですが、「政治とカネ」の問題、また小渕優子さんが派閥を出るなど、いろいろ動いていますね。
宮家)長期の海外出張から帰ってきたので、今はまるで浦島太郎状態です。先日、「派閥はなくならない」という原稿を書いたばかりなのに。
飯田)なくならない派閥もあるようですが。
宮家)驚くことばかりです。
政治だけでなく、さまざまな組織の崩壊もあり、感じる「昭和の終焉」
飯田)昔から派閥解消と言われても、なかなか解消されなかったけれど。
宮家)「昭和が終わっていく」と感じます。自民党の派閥だけでなく、例えば大手芸能事務所や歌劇団の話もあったし、アメリカンフットボール部の問題も含めて、たくさんあるではないですか。自民党の派閥も1955年(昭和30年)にできたものですから、徐々に「昭和」的な慣行が壊れていくのでしょうか。90年代に1回政変があって、2007~2008年にもありましたね。
飯田)そうですね。
宮家)自民党の信用、つまり政治の信用が失われていく。しかし、そのなかで野党にどれだけ強い力があるかと言えば、ありません。だから政治は変わらない。変わらないとまた戻ってしまって、そのまま進む。あるとき国民がもう我慢できなくなって、「バターン!」と倒れそうになるけれど、また進むうちに同じようなことになる。今後も「それを繰り返すのか……」と思うのです。
昭和も99年、そろそろ、集団での「カネと人事」は切り離すべき
宮家)もちろん改革するのはけっこうですし、それに水をかけるつもりはないけれど、金に「色」はありません。お金を「綺麗」にして「企業・団体献金をやめましょう」と言っても、完全な透明性などアメリカにもないのですよ。確かに組織による献金は禁止されています。他の国でもそうです。しかし、「アメリカの政治資金が透明か」と言うと、まったく透明ではない。何しろ「企業献金はダメ」と言われたらPAC(政治活動委員会)をつくり、従業員から金を集めてそれを使うのです。それを透明にしたら、今度はスーパーPAC(特別政治活動委員会)ができてしまう。それも実は不透明なものなのです。
飯田)なるほど。
宮家)領収書がいらない金を欲しい人たちがいる限り、そして自分が「お金を払った」と知られたくない人がいる限り、政党や政治家への献金はなくならないと思います。国民が納得するような政治献金の透明化は非常に難しいと思う。しかし、いまは昭和が壊れていく過程なのだから。
飯田)今年(2024年)は昭和に直すと99年だそうですね。
宮家)来年は100年です。もうそろそろ昭和はやめましょうよ。もう少し個人が自由になり、強くなって、言うべきことを言う。内部での自浄作用をしっかりつくらなければいけないと思います。
飯田)集団で「カネと人事」をやってきたところを切り離す。
宮家)そういうことです。
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