数量政策学者の高橋洋一と外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が1月30日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。大阪・関西万博をめぐる高市経済安保担当大臣と林官房長官、それぞれの発言について解説した。
林官房長官が高市氏の発言に対し、大阪万博の開催延期を否定
飯田)高市経済安保担当大臣が、能登半島地震の復興に影響があるので、大阪・関西万博の延期あるいは規模を縮小すべきと発言しました。それに対し、林官房長官は昨日(1月29日)の会見で「開会を遅らせる必要があるとは認識していない」と語りましたが、これはリソースを食い合うものでしょうか?
高橋)食い合わないと思います。ゼネコンの人たちも「全然関係ない」と言っています。高市さんはどのような立場で発言したのでしょうか。万博担当大臣が別にいますよね。
飯田)万博担当大臣は自見英子氏ですが、高市氏が総理に申し入れたことが明らかになりました。
高橋)今度、大阪で高市さんは総裁選に向け、確か大規模なことをするのです。各地区で1000~2000人ほどの大きな集会を行う。それらも含めて考えているのかも知れません。なぜなら、閣内不一致のようになってしまうではないですか。権限もないし、自分の担当でもなく、所掌でもないですから。
高市氏も林官房長官も政治論と行政論の違いで、同じコインの裏表の発言
飯田)高市さんは総理の決定には従う考えで、「閣内不一致ではない」と強調していますね。
宮家)私に言わせれば同じコインの裏表です。政治論と行政論でしょう。政治論から言えば、高市さんの意図は詳しく知りませんが、どう考えても液状化している自民党のなかで、今や派閥もなくなるわけです。高市さんはもともと派閥に所属していません。すべての自民党議員たちが生きるか死ぬかの状態です。ですから、それなりの政治発言をしているのだと思います。
飯田)なるほど。
宮家)他方、官房長官は行政です。行政であれば、高橋さんの言う通り「万博とは関係ない」とまでは言えませんから、このような形で答えたのだと思います。
経済を回すためにも大阪万博は延期すべきではない
飯田)この件について、市川市の“のんびり日和”さんからメールをいただいています。「能登半島地震の影響もあるのか万博を中止すべきという論調も多くありますが、私はいまこそ開催した方がいいと思います。東京オリンピックのときも、コロナ禍を考慮して中止すべきだという声が多かったけれど、開催したことでたくさんの感動と勇気をもらえたと思います。災害などがあるたびに自粛を言われますが、何でもかんでも自粛するのではなく、万博は開催して元気を与えられるようにした方がいいと思います」という意見です。
宮家)正論でしょうね。
飯田)確かに東日本大震災のときも、直後に自粛で花見が中止になったこともありました。経済としては回していった方がいいのでしょうか?
維新の会が「延期に賛成」となればアウト ~リスキーな行動に出た高市氏
高橋)そうですよ。もしも維新が延期に賛成だと言ったら、高市さんは政治的につぶれるでしょう。「向こうと通じているのか?」と言われてしまう。政治的にも際どいことをしたなと思います。
飯田)政治的にリスキーな部分もあるのですね。
高橋)リスキーです。本当に通じていたらアウトですし、通じていなくても、そのように思われたらアウトです。
飯田)維新サイドは維新サイドで、どんな球を投げるのかという選択肢が出てきますよね。
高橋)維新としては球があった方が楽です。どちらに転んだとしても、維新には不利にならないように行動できますからね。
飯田)何もないところで苦しくなり、「延期だ」「規模縮小だ」となれば、「何をしているのだ」となりますが……。
高橋)いろいろな球があった方が楽です。政府も「秋波が送られたのか?」と勘違いしてしまいますよね。本当は違うと思いますが。
みんな必死に政治の流れを見ている
飯田)いろいろと裏を読もうとしてしまう。このような時期だと疑心暗鬼のようなものもあるのでしょうか?
宮家)橋下徹さんもさまざま微妙な発言をされています。いまみんな必死に政治の流れを見ているのではないでしょうか。
飯田)どちらに転んでもいいように、みんな目を皿のようにしているのですね。
宮家)いくつか足場を固めておかないと、これから激震がくるかも知れません。
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