バイデン政権がインテルに財政支援する「もう1つの理由」
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経済アナリストのジョセフ・クラフトが3月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。バイデン大統領が発表した「インテル」への財政支援について解説した。
バイデン大統領が半導体メーカー「インテル」への財政支援を発表
アメリカのバイデン大統領は3月20日、半導体メーカー「インテル」に対し、最先端の半導体工場の建設費用など最大85億ドル(約1兆3000億円)の補助金を提供すると発表した。また最大110億ドル(約1兆6600億円)の融資も発表した。
飯田)半導体産業支援策「CHIPS and Science Act」(CHIPS法)に基づいて行われます。一方で中国は半導体ファンドを構想していますが。
クラフト)それだけ半導体が経済安全保障の中核になったということです。一連の記録的な株高も、半導体株の銘柄が主導して上がっており、国家を直接揺るがす産業になったのだと思います。
飯田)米中において、切り離していく分野になるのですか?
クラフト)インテルへの財政支援の背景の1つに、アリゾナでTSMC工場をつくる予定が難航している問題があります。思うように進んでいないので、もう1つアメリカメーカーに財政支援するという戦略に出たのではないでしょうか。
日本は国内メーカーの支援を強化するべき
クラフト)米中で半導体競争を行っていますが、日本にとっても大きな問題です。日本政府が外国企業を誘致するため補助金を出すのは懸命な策ですし、決して悪いことではありません。しかし、一方で日本政府は国内メーカーへの支援も強化する必要があります。外国メーカーを誘致しても、国内メーカーは育っていかない。「ラピダスがあるではないか」と言うかも知れませんが、IBM(との提携)なのです。その他の半導体メーカーとしてはルネサスやソニーもありますので、国内メーカーのサポートが大事だと思います。
海外メーカーを誘致する際、インフラ設備もつくらなければならない
飯田)水質がいいなど、日本は半導体に関して環境面で恵まれている地域が多くあります。
クラフト)熊本がその象徴です。TSMCが工場をつくる流れで、熊本の経済はとても発展しています。実は2月にTSMCの工場に行ったのですが、工場は立派だけれど、工場に行くまでに細い一本道しかないのです。あれだと朝の渋滞がすごいと思うのですよ。地方はみんな車で出社しますので、工場を誘致する際は地域のインフラ設備も整える必要があります。熊本のTSMCの場合、台湾の人が600人ぐらい来ますから、英語をどうするのか、病院や学校はどうするのか、マンションは……など、「インフラ設備もつくらなければいけない」と痛感しました。
飯田)ただ工場を誘致するだけでは足りない。
クラフト)地方、企業、国・政府が一体となって連携しなければ、うまくいかないという印象でした。
海外企業、国内企業を誘致して地域の発展につなげるためにも政府の支援が重要
飯田)熊本では、既に周辺の産業も含めて人の取り合いになり、景気が相当いいという話も聞きます。
クラフト)初任給も上がって、熊本の景気は間違いなくよくなっていると思います。人材不足はまさに深刻です。中長期的な戦略として人材不足を補うために、例えば熊本大学では半導体の研究を進めており、人材を呼び込もうとしています。いろいろと裾野が広がっていくので、経済誘致は重要です。インフラの問題はありますが、特に地方の経済活性化のためには、TSMCのような海外企業や国内企業を誘致し、発展をつなげていく。そのために政府のいろいろな支援が必要だと思います。
人口減のなか、海外企業を誘致することは重要
飯田)先日、経産省の人に話を聞いたのですが、台湾に対する見方や社会全体の受け入れが進んでいるそうです。アンケートを取ると、九州各県は「何かあったときは我々で受け入れよう」とウェルカムだと言うのです。
クラフト)地方ではインバウンドがあっても、その地域に根付く外国人が少ない。外国人は少し遠い存在に見られてしまいます。しかし、今回の件で台湾の方々とも交流が深まって、より日本と台湾の関係がよくなるかも知れない。他の国ともそういう関係を結び、半導体だけでなく他の産業についても誘致を増やしていく。それが人口減もあるなかで、日本の将来にとって重要なことではないかと思います。
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