キャスターの辛坊治郎が3月26日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長が25日、岸田文雄首相ができるだけ早い時期に金総書記と会談したいという意向を伝えてきたことを談話で明らかにしたことを巡り、「岸田政権には拉致被害者が1人でも多く帰国できることを何よりも大切にしてほしい」とする一方、「焦って日本の国益を害するような交渉はしてほしくない」と指摘した。
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2021年6月29日に行われた北朝鮮の朝鮮労働党政治局拡大会議で演説する金与正党副部長。翌30日付の労働新聞が掲載した(コリアメディア提供・共同) 写真提供:共同通信社
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長は25日、岸田文雄首相ができるだけ早い時期に金総書記と会談したいという意向を伝えてきたとする談話を発表した。拉致問題について解決済みだとする立場を改めて示した上で、岸田首相の政治的決断を求めていて、日本側に譲歩を迫る狙いがあるとみられる。
辛坊)拉致被害者の帰国は、日本としては存命中に実現させなければなりません。一方、北朝鮮にとっても同様にタイムリミットがあります。拉致被害者が北朝鮮国内に生存していてこそ、対日交渉カードに使えるからです。
最近、北朝鮮から発せられるさまざまなメッセージのニュアンスを勘案すると、岸田政権が水面下で北朝鮮と交渉しているのは間違いないと思います。支持率が低迷する岸田政権が起死回生の起爆剤として、日朝首脳会談や拉致被害者の帰国を利用したいと考えていることは容易に想像できます。
岸田政権としては、1人でも多く帰国させたいという思いがあるはずです。一方の北朝鮮も、拉致被害者を対日交渉カードとして使いたいという狙いがあるはずです。そういう意味では、日本側の思惑と北朝鮮側の思惑が水面下で一致し始めているという推測も含め、岸田政権が近々、この問題で動く可能性はそれなりに高いだろうと思います。
岸田政権には拉致被害者が1人でも多く帰国できることを何よりも大切にしてほしいです。ただ、焦って日本の国益を害するような交渉はしてほしくないとも思っています。