海に浮かぶ、幻想的な光の城……ではなく海の上からスマートフォンで撮影した神奈川県川崎市の工場です。
ニッポン放送アナウンサー内田雄基です。
工場夜景を観に行ったことはありますか? 工場夜景とは、夜を迎えると闇の中で灯る作業用の明かりと、工場という巨大な建造物が作る幻想的な風景のことで、2000年代後半から認知度が上がり、人気を博しています。
現在は、全国各地の工業地帯・地域で、この工場夜景を楽しむツアーなどが行われています。中でも発祥の地ともいわれる川崎の工場夜景は、工場が集まる7つの島とそれを取り囲む16の運河で構成され、陸上ではバス、海上では船に乗って観賞できるなど様々なアプローチで鑑賞できるようになっています。
と、言いながら、私自身、個人的に観に行くことはあってもツアーに参加したことがなかったので、今回、海上で工場夜景を楽しむ、「川崎工場夜景屋形船クルーズ」に参加してきました。川崎市臨海部の運河を屋形船で進み、同行する「川崎市工場夜景ナビゲーター」の解説を聴きながら迫力満点の工場夜景を鑑賞することができるツアーです。
生で観る工場夜景の良さは、「音」と「匂い」。水蒸気を上げ、大きく低く響く音を鳴らしています。製油所のフレアスタックと呼ばれる余剰ガスを燃やす塔の近くでは、炎の燃え上がる様子と共に、ガスストーブを家で使用した時のような少し懐かしい匂いと、その熱が感じられます。陸から見るときよりもより工場の近くから観賞できるため、写真では味わうことが出来ない工場の臨場感を楽しめました。
もちろん、景色も素晴らしく、川崎市の臨海部は石油関係の工場が多い為、背の高い迫力満点の工場を次々と観賞することが出来ます。無数のパイプが複雑に絡み合った巨大な工場の影と、光のコントラストに見とれてしまいました。
川崎市工場夜景ナビゲーターの方によると、「毎回乗るたびに工場夜景は発見があり、表情が違います。昨日動いていたクレーンが今日は畳まれていたり、工場そのものが新しく作られたり、立て直されたり。だから面白いですし、毎回一番興奮しているのはナビゲーターかもしれません」とのこと。
初めてみるときの感動を何度見ても味わえる素晴らしい景色だと話されていて、私ももっと早く観に来ればよかったと後悔しました。
さて、工場夜景ですが実は今、川崎市が観光の面でとても重要視しています。川崎市は、市の主要観光施設の年間観光客数では毎年1000万人を超えています。2018年には1628万人を記録しました。一方、現在川崎市の工場夜景ツアーは、「川崎工場夜景屋形船クルーズ」の他にも、バスやタクシーで名所を回るツアーや、開閉式オープンルーフのレストランバスでフレンチのフルコースとお酒を堪能しながら回るプランまでさまざまなツアーが設定されており、非常に人気がありますが、年間のツアー参加者は1万人ほどであり、主要観光施設の年間観光客数と人数を比較すると0.1%以下の人数となっています。
では、なぜ川崎市が工場夜景を重要視しているのか。川崎市観光協会の方にインタビューしました。その模様はPodcast番組「ニッポン放送報道記者レポート2025」で是非お聴きください。
https://omny.fm/shows/hodo-report/206-100-1
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