2025年ゴールデンウィーク、映画の舞台となった場所を旅しよう!

By -  公開:  更新:

Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1246回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

映像や文学などの作品にまつわる場所を探訪する旅、コンテンツツーリズム。映画やドラマのロケ地巡りは、地域の町おこし事業として以前から注目されています。近年では「聖地巡礼」と呼ばれ、作品の“ゆかりの地”をめぐる旅が盛んとなっており、観光業をはじめとする日本経済にも大きな影響をもたらしています。

そこで今回は、2025年ゴールデンウィークに訪れてみたい映画の撮影地をご紹介。普段、足を運んでいる場所で、あの映画が撮影されていた! せっかくのゴールデンウィークだから、少し遠出してでも出かけてみたい! そんなロケ地の魅力を、作品とともにクローズアップします。

(C)2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

画像を見る(全6枚) (C)2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

『花束みたいな恋をした』東京都調布市 2020年代ロケ地巡りの火付け役となった一作

東京・京王線の明大前駅で、終電を逃したことがきっかけで出会った大学生の山音麦と八谷絹。彼らの5年間にわたる恋模様を描いたラブストーリー『花束みたいな恋をした』。

菅田将暉と有村架純がダブル主演を務めた本作は「リアルに刺さる恋愛映画」と口コミが口コミを呼び、ロングランヒットを記録。主人公たちと同世代の若者をはじめとする幅広い年齢層に支持され、令和の王道ラブストーリーとして根強い人気を誇っています。

(C)2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

(C)2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

そんな『花束みたいな恋をした』のロケ地となったのが、東京都調布市周辺。麦と絹が初詣に訪れた道生神社。2人が初めてキスを交わした御塔坂橋交差点。そして、トイレットペーパーを抱えながら手を繋いで渡った、調布駅北口スクランブル交差点。劇中に登場する調布の街に繰り出すと、主人公が幸せに過ごすシーンを思い出す人も多いことでしょう。

ちなみに、2025年ゴールデンウィークの関東地方は、天気に恵まれるとの予報。映画に登場した老舗ベーカリー「木村屋」でパンを買って、多摩川サイクリングロード周辺でピクニックランチをするのもいいかもしれませんね。新緑の季節にぴったりなロケ地巡りコースです。

(C)2022 髙橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会

(C)2022 髙橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会

『天間荘の三姉妹』宮城県女川町 物語の舞台・三ツ瀬のモチーフとなった町

漫画家・高橋ツトムの代表作「スカイハイ」の同名スピンオフ作品を実写映画化した『天間荘の三姉妹』。天界と地上の間にある街・三ツ瀬にある老舗旅館を舞台に、そこに集う人々のエピソードを通じて、人は大きな悲しみにどう寄り添うべきなのかを問いかけるヒューマン・エンタテインメントです。

三ツ瀬という街は、異空間に存在すると同時に実在もしていて、かつては津波被害に遭っているという設定。劇中で明言はされずとも、否応なく東日本大震災を連想させられる人も多いことでしょう。本作は、東日本大震災に遭われた被災者の方々の“心の復興”も、テーマのひとつとなっているのです。

(C)2022 髙橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会

(C)2022 髙橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会

『天間荘の三姉妹』の撮影が行われたのは、宮城県。門番のイズコが、のん演じる主人公・たまえを三ツ瀬へと誘うシーンを撮影した仙台東照宮。たまえが見事なイルカショーを披露する、仙台うみの杜水族館。そして、宮城県の東・牡鹿半島基部に位置する港町、女川町。

女川駅前は、復興を遂げた三ツ瀬の街並みとして登場。東日本大震災以降、いち早く復興事業を開始し、新たなコミュニティを形成しているリアルな街づくりとリンクしている部分があります。

ちなみに、女川町から南三陸町、気仙沼市へと続く沿岸部はリアス式海岸となっていて、風光明媚な景色を楽しむことが出来ます。クルージングツアーもあるので、海風に吹かれながら島々を眺めるのもオススメですよ。映画の世界観に浸りながら、東北の自然を満喫してみてはいかが。

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会

『1秒先の彼』京都府・丹後半島

何をするにも1秒早いザンネンなイケメンと、どうしても1秒遅れてしまう女性の失われた1日を描いた『1秒先の彼』。日本でも大ヒットした台湾映画をリメイクしたタイムラグ・ラブストーリーです。

主演を務めたのは、岡田将生と清原果耶。周囲の人とテンポが合わない男女をチャーミングに演じ、「こんな岡田将生、そして清原果耶が観たかった!」と、映画ファンから絶賛の声が高い名作です。

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会

本作のロケ地となったのは、これまでも数々の映画・ドラマの舞台となっている京都。恋人たちの聖地・鴨川のほとりに、公立の総合植物園としては日本最古の歴史を持つ京都府立植物園。

平安神宮の朱色が目にも鮮やかな岡崎公園などの京都市内の有名スポットも魅力的ですが、私が激オシしたいのは、京都府北部に位置する丹後半島にある天橋立と伊根町。

日本海の宮津湾にある「天橋立」は、安芸の「宮島」、陸奥の「松島」とともに、日本三景のひとつ。また伊根町は、「舟屋」町並みで知られ、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。その景観の美しさは、古くから多くの人に愛されています。

まぁ、劇中では岡田将生演じるハジメに「洛中(京都市中心部)でない場所は京都じゃない」とバッサリ切り捨てられてしまうシーンもありましたが、最近は「海の京都」として観光客にも人気上昇中のエリアなんですよ。

“京都ツウ”も感嘆せずにはいられない。これまで知らなかった京都の魅力に、是非、触れてみて。

(C)2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

画像を見る(全6枚) (C)2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

<作品情報>
花束のような恋をした(2021年公開)
Blu-ray&DVD発売中 デジタル配信中

脚本:坂元裕二
監督:土井裕泰
出演:菅田将暉、有村架純、清原果耶、細田佳央太、韓英恵、中崎敏、小久保寿人、瀧内公美、森優作、古川琴音、篠原悠伸、八木アリサ、押井守、PORIN(Awesome City Club)、佐藤寛太、岡部たかし、オダギリジョー、戸田恵子、岩松了、小林薫

撮影:鎌苅洋一
照明:秋山恵二郎
美術:杉本亮
装飾:茂木豊
撮影効果:実原康之
録音:加藤大和
編集:穗垣順之助(J.S.E.)
音楽:大友良英
衣裳:立花文乃
ヘアメイク:豊川京子
スクリプター:加山くみ子
イラストレーション:朝野ペコ
VFXプロデューサー:赤羽智史
助監督:石井純
製作担当:宮下直也
企画:孫家邦、菊地美世志、那須田淳
プロデューサー:有賀高俊、土井智生
インスパイアソング:「勿忘」Awesome City Club(cutting edge)
製作:TBSスパークル、東京テアトル、テレビ東京、ジェイアール東日本企画、フラーム、CBCテレビ、MBS、朝日新聞社、KDDI、テレビ大阪、BSテレビ東京、TCエンタテインメント、フィルムメイカーズ、リトルモア
製作プロダクション:フィルムメイカーズ、リトルモア
配給:東京テアトル、リトルモア
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会

(C)2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

公式サイト https://hana-koi.jp/

(C)2022 髙橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会

(C)2022 髙橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会

<作品情報>
天間荘の三姉妹(2022年公開)
Blu-ray&DVD発売中 デジタル配信中

出演:のん、門脇麦、大島優子、高良健吾、山谷花純、萩原利久、平山浩行、柳葉敏郎、中村雅俊(友情出演)、三田佳子(特別出演)、永瀬正敏(友情出演)、寺島しのぶ、柴咲コウ
エグゼクティブプロデューサー:中島信也
プロデューサー:真木太郎、和田大輔
監督:北村龍平
脚本:嶋田うれ葉
音楽:松本晃彦
主題歌:玉置浩二 feat. 絢香「Beautiful World」(日本コロムビア)
原作:髙橋ツトム『天間荘の三姉妹-スカイハイ-』(集英社 ヤングジャンプ コミックス DIGITAL 刊)
配給:東映
(C)2022 髙橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会

公式サイト https://tenmasou.com/

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会

<作品情報>
1秒先の彼(2023年公開)
Blu-ray&DVD発売中 デジタル配信中

出演:岡田将生、清原果耶、福室莉音、片山友希、しみけん、笑福亭笑瓶、松本妃代、伊勢志摩、柊木陽太、加藤柚凪、朝井大智、山内圭哉、羽野晶紀、加藤雅也、荒川良々

監督:山下敦弘
脚本:宮藤官九郎
主題歌:「P.S.」幾田りら
撮影:鎌苅洋一
照明:永田ひでのり
編集:佐藤崇
音楽:関口シンゴ
原作:『1秒先の彼女』(チェン・ユーシュン監督)
制作プロダクション:マッチポイント
製作幹事・配給:ビターズ・エンド
(C)2023『1秒先の彼』製作委員会
公式サイト https://bitters.co.jp/ichi-kare/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

Page top