企業版ふるさと納税がつなぐ、未来のビーチへ―「MIURA FUN BEACH 三浦海岸」再始動と共創の広がり―

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「未来に向けたビーチの新しい在り方の共創を」――。

そんな想いのもと、三浦市(神奈川県)はかつての海水浴場の枠組みにとどまらない、新しいビーチのあり方を描き始めている。

2025年、2年ぶりに再開された三浦海岸海水浴場

2025年、2年ぶりに再開された三浦海岸海水浴場

三浦市の玄関口「三浦海岸」駅から徒歩5分の場所にある三浦海岸は、長年にわたり市民や観光客に親しまれてきた海水浴場である。しかし、コロナ禍による閉鎖、さらに2024年にはこれまで開設してきた地元団体の解散の意向を受け、海水浴場は休止を余儀なくされた。その出来事は「終焉」とも受け止められた一方で、市はこれを前例に縛られない新たなビーチ利活用の可能性と捉えた。

三浦海岸は、地元にとって単なる観光資源ではない。広大な海と砂浜は、誇りであり、憩いと楽しみを生む唯一無二の場所であり、多くの人々に愛されてきた地域の象徴である。この場所を次世代へつなぐため、三浦市は短期的なイベントではなく、中長期の視点で「通年型ビーチ」の構想を打ち出した。

その第一歩として、三浦市は賑わい創出をニッポン放送に委託。ニッポン放送プロデュースのもと、2025年夏、「MIURA FUN BEACH 三浦海岸」として海水浴場が再開された。7月12日から8月31日までの51日間で、「ニッポン放送 ラジオビーチ in 三浦海岸2025」という5時間に及ぶ公開生放送や、南アフリカ発祥の「ストレッチテント」の設置、ビーチヨガ、映画上映会など、これまでになかった施策を実施し、約10万人が来訪。2年ぶりの再開となったこの夏は、単なる“復活”ではなく、新しいビーチスタイルの幕開けとなった。

フジロックフェスティバルのデザインなども手掛ける渡辺明日香氏によるMIURA FUN BEACH 三浦海岸のロゴ

フジロックフェスティバルのデザインなども手掛ける渡辺明日香氏によるMIURA FUN BEACH 三浦海岸のロゴ

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パラソルデザインも海岸全体で統一されていることでフェスのような一体感を演出

パラソルデザインも海岸全体で統一されていることでフェスのような一体感を演出

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大盛況だったニッポン放送 ラジオビーチ in 三浦海岸2025 パーソナリティとリスナーとの集合写真

大盛況だったニッポン放送 ラジオビーチ in 三浦海岸2025 パーソナリティとリスナーとの集合写真

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朝のビーチヨガは計8回実施。日を重ねる毎に参加者数が増える人気イベントに

朝のビーチヨガは計8回実施。日を重ねる毎に参加者数が増える人気イベントに

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“映画館のない街に映画を届けよう”をコンセプトに2週にわたり開催し、多くの来場者が詰めかけた

“映画館のない街に映画を届けよう”をコンセプトに2週にわたり開催し、多くの来場者が詰めかけた

官民共創による新たなビーチモデル

この再始動を支えた大きな要素のひとつが、企業版ふるさと納税である。

三浦市では、そのマッチング支援業務を朝日放送テレビ株式会社に委託。単なる寄附の仲介にとどまらず、「寄附を通じた共創関係の構築」「再生後の継続的パートナーシップ」を目指し、市と企業をつなぐ役割を担っている。

この仕組みにより、共感する企業が単なる支援者ではなく、“共にビーチの未来をつくるパートナー”として関わる体制が整えられた。三浦海岸はまさに、企業と地域が協働し、新しい価値を生み出す共創の舞台となっている。

【企業版ふるさと納税について】
https://www.city.miura.kanagawa.jp/soshiki/seisakuka/seisakuka_seisaku/398.html

博品館の参画 ―立地と潜在力に着目し、三浦海岸の未来づくりに協力―

今回の企業版ふるさと納税を通じた協力企業の一社として、銀座で長く親しまれている玩具専門店「博品館」が名を連ねている。三浦海岸への協力の背景には、株式会社博品館 代表取締役会長 CEO・伊藤義文氏の“地域資源への率直な評価”と“未来への期待”がある。

「都心から近く、駅からも徒歩圏内の良い立地に加え、素晴らしい海岸や砂浜があるのに海水浴場が開かれていないのは、もったいないと思い、何かできることがないかと協力させていただきました。また、他の地域と比べてお子様が多いと感じたので、当社の玩具等にも良い影響があれば嬉しいと思います。

今後、より賑わいが増え、宿泊施設が充実し、三浦海岸の滞在時間がさらに長くなることを期待しています。海の幸や野菜も豊富で、これから人気が高まるポテンシャルを持つエリアだと思いますので、これからも協力させていただき、三浦海岸の賑わいが続くことを願っています」

【博品館 公式サイト】
https://www.hakuhinkan.co.jp/

安全で安心なファミリービーチを標榜する三浦海岸は、家族連れが多いのも特徴

安全で安心なファミリービーチを標榜する三浦海岸は、家族連れが多いのも特徴

進化し続ける三浦海岸プロジェクト

三浦海岸の挑戦は、1年限りではない。

朝のヨガ、夕方の焚火イベント、ビーチスポーツ大会、アートイベント、地元産品のキッチンカー、商店街との連動企画など、2025年の夏に実施された施策は多岐にわたる。日中だけでなく、朝・夕・夜と時間帯を広げ、夏以外も賑わう「滞在型ビーチ」を今後も目指している。

街全体で開催された「MIURA KAIGAN Art Festival」とコラボし、象徴的なアート作品群が海岸に設置された

街全体で開催された「MIURA KAIGAN Art Festival」とコラボし、象徴的なアート作品群が海岸に設置された

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2013年に日本では三浦海岸から始まったブラジル発のスポーツ“フレスコボール”の記念大会も開催

2013年に日本では三浦海岸から始まったブラジル発のスポーツ“フレスコボール”の記念大会も開催

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“FUNダイニング”エリアとして地元・三浦産の食材を使った様々なメニューが楽しめるキッチンカーによるフードエリア

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夜はストレッチテントに照明が灯り、ムードのある大人のスポットに変わっていく

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恒例の三浦海岸納涼まつり花火大会は、打上げ台船が海岸からほど近く大迫力で楽しめる

恒例の三浦海岸納涼まつり花火大会は、打上げ台船が海岸からほど近く大迫力で楽しめる

都心から最も近いリゾートへ、そして一年を通じた滞在の地へ

三浦海岸は品川から約70分、駅から徒歩5分という抜群のアクセスを誇る。約360台分の駐車場を備え、全長8kmに及ぶ広大な砂浜は県内有数の規模であり、夏の海水浴に限らず、散策やイベントなど、季節や目的に応じた多様な過ごし方ができる場所である。

広大なエリアの中に溢れるポテンシャルが詰まっている三浦海岸

広大なエリアの中に溢れるポテンシャルが詰まっている三浦海岸

三浦市では、こうした立地と自然環境を背景に、海岸を起点とした一年を通じた賑わいが、地域に根付く行事として積み重ねられてきた。2026年も以下のような年間行事が予定されており、季節ごとに異なる表情が街に現れる。

主な年間行事(2026年予定)
• 1月1日:初日の出(三浦海岸・城ヶ島)
• 1月15日:チャッキラコ(海南神社) ※ユネスコ無形文化遺産
• 1月中旬~2月中旬:城ヶ島水仙まつり(県立城ヶ島公園ほか)
• 2月11日~3月3日:三浦海岸桜まつり(三浦海岸駅~小松ヶ池公園)
• 3月1日:三浦国際市民マラソン(三浦海岸~城ヶ島)
• 7月上旬:海開き
• 7月中旬:海南神社 夏の例大祭
• 8月上旬:三浦海岸納涼まつり花火大会
• 10月上旬:みうら夜市(三崎下町商店街)
• 10月中旬~11月下旬:三浦みかん狩り(三浦市内各所)
• 11月(日曜):三崎港町まつり
• 12月29日・30日:年末特別セール(三崎朝市)

三浦海岸は、こうした地域に根付いた行事や日常の営みと呼応しながら、夏だけでなく通年で人が訪れ、滞在する拠点となることを目指している。

企業版ふるさと納税は、そのための環境づくりであり、三浦海岸を舞台に新たな関係性を育てていくための一つの手段だ。地域と企業、そして訪れる人々が重なり合いながら、海辺の時間を更新していく。その挑戦は、すでに日常の延長線上で静かに、しかし確実に動き始めている。

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