#34 T・キャベッジ(巨人)外国人初 代打HRで1-0勝利
公開: 更新:

◎2025年7月4日 東京ドーム
広島 0 0 0 0 0 0 0 0 0 =0
巨人 0 0 0 0 0 0 0 1 X =1
HR(巨人)キャベッジ8号
「(森下)第3球、投げた。直球、打ちました! ライトに上がった! ライト見上げた! ジャイアンツファン(で埋まった)オレンジの真ん中に入った! キャベッジ第8号、代打ホームラン! それも好投の山﨑伊織の代打! 1点、ジャイアンツ、ようやく入れました! 代打キャベッジ、大きなストライド。三塁を回って松本コーチとハイタッチ。そしてゆっくりと今、ホームに向かって来ます。十字を切って今、ホームイン!(実況:ニッポン放送 馬野雅行アナウンサー)」
昨季は主砲・岡本和真(現・ブルージェイズ)の負傷離脱が響いた巨人打線。そんな中、チーム最多の17本塁打・51打点を記録したのがトレイ・キャベッジだ。2024年は米メジャーリーグのアストロズでプレー。外野が本職だが一塁手もこなし、走攻守揃った左の強打者、という触れ込みで来日した。
入団会見で「歴史のあるジャイアンツの一員になれてうれしく思う。健康で、力強く、シーズンを通して頑張っていきたい」と宣言したキャベッジ。米国ではヒゲをはやしていたが、巨人軍の“習わし”に従って剃り「どのように起用されても全力を尽くしたい」とまで語った。来日1年目の昨季は、開幕戦でいきなりホームランを含む長打を3本放って鮮烈デビュー。開幕戦にアーチを放ったのは、巨人の外国人選手では初の快挙だった。さらに翌日にも2戦連続アーチ。早々と日本の野球に順応したキャベッジは、5月を終えた時点で打率.288、7本塁打と好成績を残し、岡本離脱後は代わって4番も務めた。
ところが……6月になると一転、月間打率.129とさっぱり打てなくなる。原因は本人によると「下半身の力がバットに伝わりにくく、バランスを崩してしまった」。ホームランもパタッと止まり、スタメンも外され、もがき苦しんでいたキャベッジ。月が変わり、なんとか流れを変えようとした7月1日の阪神戦では1点を追う7回、代打でヒットを放ったが二塁を欲張って憤死。指揮官から苦言を呈され、チームも阪神に3連敗を喫してしまう。
落ち込むキャベッジを励ましてくれたのは、米国に住む両親だった。聖書の言葉を引用し、悩める息子へこんなメッセージを送ってくれたという。「長いトンネルの先には、必ず光がある」。キャベッジはあらためて自分のフォームを見直し、早出練習でバットを振るなどの努力を続けた。
迎えた7月4日、東京ドームで行われた広島戦。直前、阪神に3タテされチームに重たいムードが漂う中、この日ベンチスタートだったキャベッジは“その時”を待った。阪神戦では2試合連続ヒットを放って、調子は戻って来ている。出番が来たら必ず勝利に貢献すると心に誓って、試合の行方を見守ったキャベッジ。
巨人の先発は山﨑伊織。8回までカープ打線を3安打無失点に抑える好投を見せたが、巨人打線も広島先発・森下暢仁の前に沈黙。試合は0-0のまま8回裏に突入した。1死後、打順が山﨑に回ったところで、巨人は代打を起用。打席に立ったのはキャベッジだった。「山﨑が素晴らしい投球を続けていたので、なんとか力になってあげたい」と力を込め、森下が投じた内角のストレートを振り抜くと、打球は右翼席上段へ。打った瞬間それとわかる“確信”の一発だった。
実況にもある通り、大きなストライドでダイヤモンドを回ると、天を仰いで十字を切り、神に感謝したキャベッジ。5月28日以来、実に1ヵ月以上の間が空いての一発はまさに「長いトンネルの先に見えた光」であり、復調を告げる一発だった。結果的にこれが決勝点となり山﨑に白星をプレゼント、チームの連敗も止めてみせたキャベッジ。代打ホームランで1-0勝利を収めたのはこの試合がプロ野球史上5例目で、外国人選手が打ったのは初めてだった。
今季はすでにホームランを2ケタ台に乗せ、巨人の新外国人、ボビー・ダルベックが早く日本の野球になじめるよう親身になってアドバイスしたキャベッジ。オールスターゲームの選手間投票で選ばれ、来日2年目で球宴に初出場することになった。
「他球団でリスペクトしている選手がたくさんいますし、そういう方々から評価してもらったことは自分としてもうれしい」と喜びを口にしたキャベッジ。他チームの選手たちと一緒にプレーできることも大きな喜びだが、「それ以上に彼らの考え方、姿勢を積極的に吸収したい」と語ったのが彼らしい。つねに周囲から学び、進化を目指す姿勢は、2年ぶりのペナント奪回を目指すチームにとって大きな力となるはずだ。
<チャッピー加藤>





