#53 中村紀洋(近鉄)天王山で松坂大輔(西武
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◎2001年9月24日 大阪ドーム
西武 0 0 3 0 1 0 0 1 1 =6
近鉄 0 0 0 2 1 1 0 0 3X =7
HR(西武)マクレーン39号
(近鉄)ローズ55号 北川5号 中村45号
2004年オフ、オリックスブルーウェーブと球団合併を行い、チームが消滅してしまった「大阪近鉄バファローズ」。名選手を多数輩出、個性派揃いでパ・リーグを盛り上げてきた近鉄が突然なくなってしまったことは大きな衝撃だった。2004年のシーズン中に突然浮上したこの合併話と、さらなる合併による1リーグ制移行への動きに対して選手会も反対の声を上げ、日本プロ野球史上初のストライキに発展。最終的に新球団・東北楽天ゴールデンイーグルスが誕生し、12球団による2リーグ制が維持されたのはご存じの通りだ。
合併球団の名称については、存続球団のオリックスが「バファローズ」の名前を引き継いで「オリックスバファローズ」となったが、昔から近鉄を応援してきたあるファンはこう言った。「あれは“オリックス”やろ。俺の思うてるバファローズとちゃう」。もちろん、新生バファローズを応援する旧近鉄ファンもいたが、あるファンは「贔屓の選手たちもたくさん残ってくれたけれど、着ているユニフォームは“オリックス”ですからねぇ……やっぱり複雑ですよ」とこぼしていた。どちらの気持ちもよくわかる。
南海→ダイエー→ソフトバンクのように、オーナーが代わる球団売却と違って、チームそのものがなくなってしまう球団合併。ずっと応援してきたファンとしては受け止め難い出来事だ。こういう悲しいことが二度と起こらない野球界であってほしい、と思う。
近鉄が最後にリーグ優勝を飾ったのが、21世紀最初のシーズン・2001年である。球団が消滅するわずか3年前の話だ。早いものであれから四半世紀が過ぎた。近鉄バファローズの記憶を伝えるためにも、今回と次回の2回にわたって、「近鉄最後のリーグ優勝」に貢献した2本のホームランを取り上げてみたい。
当時の近鉄の状況は、1999年の最下位を受けて、OBで二軍監督の梨田昌孝氏が一軍監督に昇格。しかし主力に故障者が相次ぎ、2000年はまたしても最下位に沈んだ。チームとしてはどん底の時期だったが、救いは「ノリ」こと中村紀洋が本塁打・打点の2冠王に輝いたことである。1999年に本塁打・打点の2冠王となったタフィ・ローズと中村が中軸に並ぶ「近鉄いてまえ打線」は他球団の投手にとって大きな脅威だった。
2001年は、この「いてまえ打線」が、チーム防御率4点台(2001年は4.98)の投手陣をカバー。「点は取られても、それ以上取り返す」という戦い方で、前半戦を首位で折り返す。この年のパは稀に見る大混戦で、近鉄は西武・ダイエーと激しいデッドヒートを繰り広げていたが、9月に一歩抜け出し、23日の時点で優勝マジックを「3」としていた。
9月24日、近鉄の本拠地・大阪ドーム(現・京セラドーム大阪)で迎えた西武との直接対決。近鉄が勝つとマジックが「1」となり優勝に大きく前進する。どちらも負けられないこの試合、西武はエース・松坂大輔を立てて臨み、3回に3点を先制する。近鉄も中盤に反撃。5回、ローズが王貞治に並ぶNPBシーズンタイ記録の55号ソロを放つと、6回には同点に。しかし西武が再び突き放し、近鉄は4-6と2点のビハインドを背負って最終回の攻撃を迎えた。松坂はそのまま続投。
この回、近鉄は先頭の代打・北川博敏が左翼スタンドにソロアーチを放ち、これで1点差に迫った(北川はこの2日後に大仕事をするが、それは次回に)。1死後、水口栄二が四球を選び、ローズに打順が回る。ここで一発出れば、王を抜くシーズン新記録の56号&逆転サヨナラとなり、大阪ドームは俄然盛り上がった。しかし、さすが松坂。フルカウントからローズを空振り三振に仕留め、2死一塁に。ここで打席には中村。
松坂は初球・2球目とカットボールから入り、いずれも外れて2ボール。最初から真っ直ぐ狙いだった中村は、「そろそろ真っ直ぐが来るだろう」と考えたが、松坂が投げる際、体がちょっとだけ開いていたのを見て「あ、またカットボールや!」と気づいたという。しかしもう遅い。空振り覚悟で振り抜いたバットは、松坂の144キロ・外角へのカットボールをとらえ、打球は右中間スタンドへ。打った瞬間に行ったとわかる一撃で、中村は両手を挙げて快哉を叫んだ。
近鉄ナインは中村をもみくちゃにし、ホーム上はお祭り騒ぎ。これでマジックを「1」とした近鉄は「前年最下位からのリーグ優勝」にリーチを掛けた。一方、優勝が絶望的になった西武。松坂は打たれた瞬間、彼にしては珍しくヒザに手をつきガックリとした表情を見せた。この一発は松坂にとって投手人生唯一のサヨナラ被弾である。この年、中村は本塁打46本・132打点で打点王、ローズは本塁打55本(王の記録は更新できず)・131打点で本塁打王に輝いた。2人合わせてホームラン101本・263打点は、いてまえ打線の破壊力を象徴する驚異的な数字だ。
<チャッピー加藤>





