今週のレディース・デイは、監督・出演者もモンスター級のマネー・エンタテインメントを…。 しゃベルシネマ【第22回】

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さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

ハリウッド映画を観る時、おなじみの名前がズラリとクレジットされている作品は、やはり胸がときめくモノ。
そこで今回の「しゃベルシネマ」では、監督・出演者ともにモンスター級のスターがズラリ。
『マネーモンスター』を掘り起こします。

生放送中にスタジオがジャックされた!あなたなら、どうする?

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司会者リー・ゲイツの軽快なトークと財テク情報で高視聴率を稼ぐ人気テレビ番組「マネーモンスター」。
今日も番組ディレクターのパティの指示を無視して、アドリブ全開で番組を進行するリー。
その生放送中、拳銃を手にした男、カイルがスタジオに乱入してくる。
番組が“買い時”とした紹介した投資会社の株が暴落し多額の損失が発生したと憤慨するカイルは、番組をジャック。
リーに爆弾を仕込んだベストを着せて人質とし、暴落した株の全損失額である8億ドルを要求する。
さらに損失の真相を生中継で明らかにするよう、リーとパティを脅迫する…。

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金融とメディアをテーマに、ウォール街の闇を暴いていくサスペンス・エンタテインメント。

リー・ゲイツを演じるのは、ハリウッド随一の伊達男、ジョージ・クルーニー。
視聴率のためならなんでもやる人気経済番組のMCという役どころ、シブい魅力だけではなく、B-BOYスタイルで歌って踊る…という、これまでにはないファンキーな一面も。

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敏腕テレビディレクター、パティを演じるのはジュリア・ロバーツ。
知的で常に冷静沈着なクールビューティーなキャラクターは、ジュリア・ロバーツにぴったり。
ちなみに、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツの共演は『オーシャンズ12』以来、なんと11年ぶり。
息の合った演技を見せる二人の並びは、映画ファンとしては嬉しい限りですね。

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番組をジャックするカイル役には、アンジェリーナ・ジョリー監督の『不屈の男 アンブロークン』で主演に抜擢された期待の若手俳優、ジャック・オコンネル。
モンスター級のハリウッド・スター二人に負けない存在感を見せています。

そして監督を務めるのは、子役時代からハリウッド女優としての隆盛を極め、さらには映画監督・プロデューサーとしても手腕を発揮するジョディ・フォスター。
本作は『リトルマン・テイト』『それでも、愛してる』などに続く、4本目の監督作品となります。

予測不能な展開に隠された“秘密”とは…。

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本作の魅力は、そのリアルタイム性。
上映時間は約100分、映画内での時間の経過もほぼ同じタイムラインで進行する“リアルタイム劇”の手法を取っています。
ジョディ・フォスター監督は、テレビ放送用のカメラ4台と映画用のカメラを使い分けることで、リアルタイムでひとつの出来事を追いかけている臨場感を映し出すことに成功。
サスペンスフルかつスピーディーなストーリー展開は、否応無しに観客をスリルへ駆り立てます。

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私が特に注目したのが、映画の後半戦。
「生放送のスタジオをジャックする」という特性から「これは密室劇なのだろうか…」と頭をかすめた瞬間、状況が急変。
リーとカイルは拳銃を手にしたまま、野次馬が密集するニューヨークの街中へ。
それをカメラを肩に担ぎ、追いかけるカメラマン。
そして中継車で出動し、生放送を続けるパティら制作クルー。
スタジオを飛び出した“命がけのリアリティショー”は、いつしか経済をテーマにしたエンタテインメント作品から人間ドラマへと昇華を遂げています。
そう、この映画に登場する人物はみな、自分の人生や存在意義に価値を見いだせずにいる人ばかり。
それゆえ、自暴自棄になる者。
お金や名声にすがろうとする者…。
そんな彼らが事件の結末に、どのような結論にたどり着くのか。
そこは是非、映画館でリアルタイムに感じ取ってみてください。

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2016年6月10日(金)からTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
監督:ジョディ・フォスター
出演:ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツ、ジャック・オコンネル、ドミニク・ウェスト、カイトリオーナ・バルフェ ほか
公式サイト http://www.moneymonster.jp/splash/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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