こんな地獄なら行ってみたい?!『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』 しゃベルシネマ【第26回】

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さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

洋画邦画を問わず、数多くの話題作が公開される今週末。
今回の「しゃベルシネマ」では、その中でも異色のエンターテインメント作品をクローズアップ。
「宮藤官九郎のオールナイトニッポンGOLD」でおなじみ、宮藤官九郎さん監督・脚本のハイテンション・コメディ『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』を掘り起こします。

いろんな意味で奇想天外、これぞクドカンワールド。

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ごくフツーな高校生の大助は、クラスメイトのひろ美ちゃんのことが大好き。
修学旅行のバスの中で無理矢理隣の席を死守するけど、思い切って告白!…とまではいかない。
しかも旅行中の交通事故に巻き込まれ、大助はひとり死んでしまう。

目が覚めるとそこは、深紅の空と炎、ドクロが転がる地で人々が責め苦を受ける、ホンモノの【地獄】。
えっ、なんで俺だけ!? まだキスもしたことないのに、このまま死ぬには若すぎる!!
戸惑う大助を待ち受けていたのは、地獄農業高校の軽音楽部顧問で、地獄専属ロックバンド・地獄図を率いる赤鬼のキラーK。

キラーKから現世によみがえる方法があることを聞いた大助は、ひろ美ちゃんに告白するため、キラーKの厳しい指導のもと、地獄めぐりを開始。

果たして大助は、無事に現世に戻ることが出来るのか…。

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映画『謝罪の王様』やNHK連続テレビ小説「あまちゃん」など話題作の脚本を手がけ、日本のエンターテインメント界を牽引する宮藤官九郎が完全オリジナル監督作品の舞台に選んだのは、ズバリ【地獄】。
17歳という若さでこの世を去った男子高校生が大好きな女の子にキスしたい一心で地獄からの生還を図る…という、なんとも宮藤官九郎監督らしいバカバカしさと清々しさが入り混じったエンターテインメント作品。

地獄の赤鬼・キラーKを演じるのは、長瀬智也。
約90分かけて施すという特殊メイクで、超ハイテンションでロックな赤鬼に大変身。
このキラーK、「手はジミヘンとカート・コバーン、下半身はマイケル・ジャクソン、声は忌野清志郎」をイメージしているんだとか。
ビジュアルだけでなく、設定もぶっ飛んでます!

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地獄送りとなってしまった大助に扮するのは神木龍之介。
好きな女の子のために奔走する、ジコチューだけど根性はあるおバカな高校生役で新境地を開拓。
いつもの爽やか&二枚目キャラは封印し、超ド級のウザキャラに変身した神木さん。
出てくるだけでイラッとさせられる、演技巧者ぶりを発揮しています。

ほかにも本作には、“個性的”という言葉を超えたキョーレツなキャラクターたちが続々登場。
キラーK率いるロックバンド“地獄図(ヘルズ)”のメンバー、ドラム担当のCOZY役に桐谷健太、ベース担当の邪子役には清野菜名。
「死神」とあだ名されるキラーKの元カノ・なおみ役は、尾野真千子。大助が憧れるひろ美役に、森川葵。
さらに、宮沢りえ、古田新太、皆川猿時、古館寛治といった個性派俳優たちがズラリ出演。

ちなみに、地獄の住人たちはその思い切りの良すぎる特殊メイクのおかげで(?!)、もはや誰が誰だか見分けがつきません。
そんな振り切ったキャラクターを、嬉々として演じている俳優陣。
人気俳優たちにここまでやらせてしまうのも、クドカンマジックでしょうか。

地獄で鬼がロックを奏でる、ホンモノのデスメタル!?

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奇想天外なストーリーも魅力的な本作ですが、音楽がフューチャーされているのも本作の最大の特徴。

オープニングで地獄図(ヘルズ)が演奏する「TOO YOUNG TO DIE!」を始め、映画全編を彩る楽曲はすべてオリジナル曲。

クランクイン前にレコーディングが行われ、現場ではそれぞれの曲を流しながら撮影が進められたということで、映像と音楽のハマリ感が心地よく、地獄の世界観へとガンガン引き込まれていきます。

劇中でも度々登場する地獄図(長瀬智也、桐谷健太、清野菜名)による息ぴったりのパフォーマンスは圧巻。
ストーリー上は「ギターが苦手」となっている大助役の神木さんも、猛特訓したギターパフォーマンスと歌声を披露。

しかもこの地獄のロックバンド”地獄図(ヘルズ)”、単なる劇中バンドでは終わらず、なんと実際にCDデビューまで果たしてしまったというからオドロキ。

映画の公開に先駆けリリースされたサウンドトラック「TOO YOUNG TO DIE!地獄の歌地獄」には、”地獄図(ヘルズ)”が劇中で演奏する楽曲の数々を収録。
それだけでは飽き足らず、スクリーンから飛び出して野外ロックフェスにも出演。会場をおおいに盛り上げました。

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音楽的観点からも完成度の高い本作。

実は、この映画、一流ミュージシャンたちも数多く参加しているんです。
”地獄図(ヘルズ)”のライバルバンド“デビルハラスメント”のメンバーに、シシド・カフカ、清。
そして、Char、野村義男、マーティ・フリードマン、ROLLY、快速東京、憂歌団・木村充揮etc…。

どのシーンに、どんな姿で登場するか…。
見つけられたら、かなりのロック通ですよ。

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2016年6月25日から全国ロードショー
監督・脚本:宮藤官九郎
出演:長瀬智也、神木龍之介、尾野真千子、森川葵、桐谷健太 ほか
©2016 Asmik Ace, Inc./TOHO CO., LTD./J Storm Inc./PARCO CO., LTD./AMUSE INC./Otonakeikaku Inc./KDDI CORPORATION/GYAO Corporation
公式サイト http://tooyoungtodie.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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