さきのリオ五輪で実に112年ぶりに正式種目として復活した「ゴルフ」!
男子のほうは、イギリスのジャスティン・ローズが金メダルを獲得。
日本勢はというと、池田勇太選手が21位と善戦したものの、ベテランの片山晋呉選手は54位に沈みました。
さて… 皆さんは、鳴物入りで復活したゴルフを、どのようにご覧になりましたでしょうか?
確かに世界的な強豪、ジャスティン・ローズの奮戦で一定の盛り上がりを見せはしました。
でも、112年ぶりに復活した割には、ちょいと期待ハズレだったという声も多いく、加えて当初は思いもよらなかった、さまざまな課題点が浮き彫りになりました。
まず、課題点の一つとして俎上にあがったのが「競技方式」。
リオ五輪のゴルフは、普通のツアー大会と同じように、個人戦の合計4日間72ホールのストロークプレーで行われました。
でも、これじゃあ「祖国の為に、国を背負って戦う」という、五輪ならではの雰囲気が出ません。
ゴルフというのは、「自分との闘い」と言われるほど、個人競技としての性格が強い競技。
ですから、ジャスティン・ローズが、どんなに長いパットをネジこんだとしても、「お~~っと!イギリスのロングパットが入った~~~!」とはなりません。
どうしても、「ジャスティン・ローズのロングパットが入った~~!」となるわけです。
しかも、リオ五輪のゴルフの場合、予選の足切りがありませんでした。
普通のツアー大会ですと、初日と二日目の成績如何で多くの選手たちが予選落ちとなります。
ところが今回の場合、主催者側が妙に気を遣ったのか…
たとえ初日と二日目でメタメタに叩いたとしても、そのまま続行すべし!というルールだったのです!
考えてみればコレ、誇り高きプロの選手にとってみればかなり酷なルールだと思いませんか?
たとえば片山晋呉選手は、棄権したひとりを除いた出場59選手中、3日目まで最下位の59位。
最終日に順位をあげて54位になりましたが…
片山選手のプライドを考えると、なんともお気の毒。
でも、今回浮かび上がった「五輪ゴルフ」の課題点は、「競技方式」ばかりではありません。
最大の課題点とは… ズバリ!「一流プロの辞退者が続出したこと」でした。
今回、世界ランキングのトップテンに名を連ねる選手たちは、どうしたか?
1位のジェイゾン・デー(オーストラリア)、出場辞退!
2位、ダスティン・ジョンソン(アメリカ)、出場辞退!
3位、ジョーダン・スピース(アメリカ)、出場辞退!
4位、ロリー・マキロイ(北アイルランド)、出場辞退!
なんと世界ランクの1位から4位まで、み~んな、出なかった!
選手によって出場を辞退した理由は、さまざまでした。
「治安の悪化」を理由に挙げた選手もいました。
「過密スケジュール」を挙げた選手もいました。
実際、メジャーの「全英オープン」と「全米プロ」が7月に開催されたばかりでしたね。
でも… いちばん多かった辞退理由は、「ジカウイルス感染症(ジカ熱)への不安」だったんです!
でも… この「ジカ熱」騒ぎ。
実際には「辞退の理由になっていない」という識者も多いんです。
蚊が媒介する「ジカ熱」ですが、感染しても8割は症状が出ないのだそうで、重症化することは、「ほとんどない」とされています。
リオ州によると、今年のジカ熱による死者数は、5月末時点で「ゼロ」。
しかもリオは、日本からしてみれば地球の反対側ですから、6月からは「冬」です。
つまり、ジカ熱を媒介する「蚊」そのものが、ほとんど出ないシーズン。
事実、五輪開幕直前の6月、世界保健機関(WHO)は、
「リオ五輪でジカ熱の感染が拡大するリスクは極めて低い」との見解を発表していました。
それでも、次から次へとジカ熱を理由に辞退するトッププロが続出しました。
こうした事態を受けまして、リオ五輪組織委員会の会長は恨めしそうに、こう語りました。
「出場を辞退した彼らは、ジカ熱のせいにしようとしているが、それはおかしい。そもそもジカ熱は、ブラジルよりフロリダの方が深刻のはずだ。彼らはフロリダではプレーしているのに… なんとも不思議な話じゃないか。」
実際、片山晋呉選手は、4日間の競技を終えたあと、こう言ってます。
「蚊もいない、涼しい、実に安全でした。いったい、なんだったんですかね。あの騒ぎは?」
じゃあ、仮に「ジカ熱」が「表向きの理由」だとしたら…辞退が続出した本当の理由とは、なんだったのでしょうか?
キーワードは、「ふたつ」あると言われています。
ひとつめのキーワードは… ズバリ「賞金」
世界ランク4位のロリー・マキロイは、今回、五輪を辞退した理由を、ハッキリと語りました。
「ゴルフという競技を盛り上げることは、賞金で生活をしている自分の仕事ではない。自分の仕事は、あくまで試合に勝つことだ。」
要するに、誇り高きプロだからこそ賞金の出ない五輪には出ない… というわけです。
これはこれで、頷ける部分がありますよね。
たとえば、マスターズの格式たるや、五輪よりもはるかに上ですし、莫大な賞金が出るわけですから…。
では、「もうひとつのキーワード」とは、いったい何か?
これは、意外と報じられていないのですが…
ふたつめのキーワードは、ズバリ、「ドーピング」だと言われているんです!
つまり…「一部のプロゴルファーは、ドーピング検査を嫌がっているのではないか」というワケ!
現在のゴルフ界は、完全にパワーゴルフにシフトチェンジしています。
300ヤード以上のロングドライブをみせる選手など、ザラにいます。
ところが… 「紳士のスポーツ」だからでしょうか?
実は、ゴルフのドーピング検査は、意外にも、ちょいと「ゆるい」んです!
メジャーリーグ(MLB)では、はるか前、2003年にドーピング検査を導入しました。
ところが、ゴルフのPGAツアーがドーピング検査を開始したのは2008年と、かなり遅い。
しかも、MLBのほうでは、毎年のようにドーピングの違反者が続出しているにもかかわらず、PGAツアーのゴルファーが処分されたことは、ほとんどありません。
去年、アメリカのストーリングズという選手がドーピング違反で処分されたのですが…
なんと、ドーピング検査導入後の8年間で、たったの3人目!
しかも、処分がどうみても軽く、ストーリングズの場合「出場停止3か月」という、なんとも大甘な処分でした。
実際、歯に衣着せぬロリー・マキロイは、ゴルフのドーピング検査の甘さについても、おおいに語っています。
「ボクの場合、今年はまだたったの1度しか、ドーピング検査を受けていないんだ。しかも、簡単な尿検査だけだったんだぜ?これじゃあ、ドーピングに使われるHGH(ヒト成長ホルモン)を検出することはできない。こんな有様だから、薬物を使おうと思えば使えるんだけど、ボクは絶対に使っていない。でも… ゴルフを五輪競技にするのなら、当然、ドーピング検査の改善が必要となるんじゃないのか?」
もちろん、今回出場を辞退した選手に明白なドーピングの疑惑があるわけではありません。
でも、今後五輪でゴルフを続ける以上、無用の軋轢を避ける必要性は出てくることでしょう。
東京五輪でゴルフを胸を張って開催するためには、なんらかの方策が必要となってくる…。
競技方法やドーピング検査のあり方については、来年のIOC総会でなされる予定だということです。
8月31日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より