さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回の「しゃベルシネマ」では、スティーブン・スピルバーグ監督最新作『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』を掘り起こします。
孤独な少女と心優しい巨人の友情を描く、ファンタジー アドベンチャー
『E.T.』を幼少期に観た世代にとって、スティーブン・スピルバーグ監督が手がけるファンタジー映画には特別な感情と愛情を持ってしまう人も多いはず。
もちろん私もその一人で、この『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』を観た時、あの『E.T.』を初めて知った時の幸福と感動を覚え、なんとも言えない懐かしさに包まれたものです。
それもそのはず、巨匠スティーヴン・スピルバーグがロアルド・ダールの児童文学「オ・ヤサシ巨人BFG」を映画化した本作は、これまでもスピルバーグ作品を支えてきた熟練の《ドリーム・チーム》 が結集して製作されました。
中でも感慨深いのは、脚本を担当したのが『E.T.』を世に生み出したメリッサ・マシスンだということ。(彼女が昨年逝去し、本作が遺作となってしまったのは本当に残念。)
そしてスピルバーグ作品には欠かせない名匠ジョン・ウィリアムズが音楽を手掛けているのも、映画ファンにとっては嬉しいところです。
物語の舞台は、ロンドン。
児童養護施設に暮らす好奇心旺盛な少女ソフィーは、真夜中に窓から入ってきた“巨大な手”に持ち上げられ、突如「巨人の国」に連れて行かれてしまう。
ソフィーを連れ去ったのは、夜ごと子どもたちに「夢」を届ける、心優しい巨人、ビッグ・フレンドリー・ジャイアント(=BFG)。
ひとりぼっちだったソフィーは、自分と同じく孤独なBFGと心を通わせ、奇妙な友情と信頼関係を育んでいく…。
身長約7メートルのBFGを演じるのは、スピルバーグ監督の前作『ブリッジ・オブ・スパイ』で第88回アカデミー賞助演男優賞に輝いたマーク・ライランス。
10歳の女の子ソフィーを演じるのは、オーディションで大抜擢されたルビー・バーンヒル。
コワモテな見た目とは裏腹に子どものように無邪気な巨人と、しっかり者でおしゃまな女の子の凸凹コンビがやり取りは、とてもチャーミング。
ついつい頬が緩んでしまいます。
本作が初披露されたのは、今年のカンヌ国際映画祭。
その公式記者会見で、スピルバーグ監督はこんな言葉を残しています。
「我々はマジック(奇跡)を信じなくてはいけない。何故ならマジックは、人々に希望を与えるから。」
世界に目を向けると、貧困や難民問題、紛争、自然災害と各地で混乱が頻発している現代。
そんな世の中でも映画は人々に希望を与え、希望は人々を前向きにする…と語る、スピルバーグ監督。
この映画は、たとえ小さな女の子でも「夢」を持つことで、世の中を大きく変えることが出来る…という可能性を描いた物語。
そういった意味では、スティーブン・スピルバーグ監督の“原点”とも呼べる作品なのではないでしょうか。
BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント
2016年9月17日から全国ロードショー
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:ルビー・バーンヒル、マーク・ライランス、ビル・ヘイダー、レベッカ・ホールほか
©2016 Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.
公式サイトURL:http://www.disney.co.jp/movie/bfg.html
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/