ここまで変わった!仕事がはかどる、安全性も向上、最新・工事現場の保安用品 【ひでたけのやじうま好奇心】

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昼夜問わず、全国各地で行われている道路工事や建物の建設工事。
ふとその現場を見ますと、何やら見慣れない道具を使っていることに気づいている方も多いのではないでしょうか?

走行する車や歩行者が危なくないように区切るための「バリケード」。
夜間の工事で使用する「ライト」。
警備員代わりの「電光立て看板」。

これらは安全を保つための道具ということで「保安用品」と呼ばれていますが、このところ、この保安用品の進化が実に目覚ましく、工事現場の風景が変わってきています。
そこで今朝は、その開発秘話と、ニッチな目の付け所がどうやって全国の工事現場を席巻するにまで至ったのか、面白い話を色々紹介していこうと思います。

まずは、道路工事が行われている場所に沿って、「工事しているのでこっちには入るなよ!」という印として置かれているバリケード。腰の高さぐらいの、アレです。
これまでは黄色と黒のストライプの「いかにも工事現場!」という味気ない代物でした。

A型バリケード

A型バリケード W1200mm×H800mm 5台セット(amazonより

ところがここ数年、バリケードがキャラクターものに代わっているのです。サル、カエル、ゾウ、しか。一体いつから、なぜこうした可愛らしいバリケードが出てきたのか?最初に作り始めた大阪にあるバリケード製造会社「第一興産」に聞いたところ・・・
旭山動物園が大ブームの時、北海道の販売店(別会社)から『動物ものを作ってくれないか』というオーダーがあったのがきっかけでした。

そこで先ほどのサル、ゾウなどの動物バリケードを作ったら大好評。すると今度は群馬の販売店から群馬のゆるキャラ「ぐんまちゃん」で作ってほしい、と言われ、こちらも大ヒット。
続いて、千葉からの注文で「チーバくんガード」が出来て、今や県内の工事現場では赤いチーバくんのバリケードが増殖しています。

第一興産,バリケード

第一興産 バリケード商品の一部(第一興産HPより

動物もの、ゆるキャラ、そしてキティちゃんやワンピースのルフィ。従来品が3,000円ぐらいなのに対して、こうしたキャラクターものバリケードは、4,000円から6,000円と平均1.5倍の値段。
それでも売れているのは、メリットが大きいからです。まずドライバーからすれば、目を引いてスピードを落として慎重な運転になり、工事がもたらす渋滞に対してもイライラしない。一方、付近の住民の気持ちもほっこりさせ、騒音などに対するクレームが激減したそうです。

製造会社の売り上げなどはちょっと明かしてもらえませんでしたが、27種のキャラクターバリケードで、相当未来は明るそうな感じでした。

「進化する工事現場の保安用品」。
続いては、夜の現場でよく見かける、丸く白く辺りを照らす「LEDバルーン照明」。
従来通り、スポットライト型もあるのですが、バルーン型は非常に増えています。

LEDバルーン照明

西尾レントオール LEDミニムーンテラスター・LEDミニムーンテラスターリチウムイオン(HPより

LEDバルーン照明を日本で最初に作ったのは、大阪の「西尾レントオール」という建設機械のレンタル会社。しかし、工事用LEDバルーンの発想の大元は、なんとビックリ、フランスなのです。

西尾レントオールはイベント用品のレンタルも手掛けているのですが・・・1999年、国内で行われたイベント関連の展示会に行ったところ、フランスのルミエアー社がイベント用に作ったバルーンに出会ったのです。

このフランス製の白いバルーンは、ヨーロッパで、イベントやパーティ、撮影の照明器として広く導入されていました。ところが、実物を見た西尾レントオールの関係者はピンと来ました。
「コレは工事現場で使える!」

しかし、そのままでは使えない。
工事現場は長い時間屋外で続くというイベントは全く違う過酷な環境だからです。そこで、現場の荒い使い方と、雨と湿気が多い日本に合わせて、西尾レントオールが改良し、進化したLEDバルーン照明として生産。

その結果、様々な利点で現場に採用されるようになりました。
“バルーンなのでコンパクトでたためる”
“直接ランプを見ることがないので作業員が疲れが少ない”
“光が柔らかく360度全方向照らすので作業性が上がった”
という様々なメリットによって、今やあらゆる夜の工事現場で見かけるようになりました。
今や、テレビのニュース番組の夜桜や紅葉中継でも使われるほど。

値段は50万円からで、主流は120万円という価格帯。1日レンタルで6,000円から、という形で、この会社を支える屋台骨となっています。

最後に・・・
私が出勤してくる時に、霞が関の夜の工事現場で見かけて気になっている、「警備員の旗振り電光掲示板」について。

ガードマン

株式会社アスコ LEDGソーラーVⅡSLタイプ(HPより)

「LEDガードマン」という名前なんだそうですが、作ったのは兵庫県伊丹市にある「アスコ」という会社。
この会社では、バッティングセンターで、球を投げる投手の電光掲示板を作っていました。
ピッチャーが振りかぶって、穴から球が出てくる、あのモーションキャプチャです。
ところが、ご存知の通り、バッティングセンターは激減。
困った社長が、工事現場の旗振りはどうだろう?とアイデアを出し、自分自身が旗を振り、ビデオ撮影。それを、出たばかりのLEDパネルを初めて使って、モーションキャプチャの技術で電光掲示板に。
これを売り出したところ、「見やすい!分かりやすい!」「警備員の代わりになる!」とあっという間に普及したのです。

当時50代後半だった社長はすでに引退、今や70代になっています。小さいものでは30万円、大きいものでは180万円。最近は画面が大きいものほど売れる傾向にある「LEDガードマン」で、会社を立て直すことが出来ました。

ちなみに・・・
男だらけの工事現場を和ませるという目的で、降り方が柔らかい「女性ガードマン バージョン」もあるそうです。

小さな発想から、全国へと広がっていったアイデアものの工事現場用品。
今朝の裏話を思い出しながら、工事現場を眺めてみると面白いかもしれません。

10月4日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

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