さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回の「しゃベルシネマ」では、就活のリアルを描いた話題作『何者』を掘り起こします。
就活生にとっては、ホラー小説?! 話題の衝撃作がついに映画化
就職活動の情報交換のため集まった大学生の拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。
海外ボランティアの経験やサークル活動、手作り名刺、業界の人脈など、さまざまな手段を駆使して就活に臨んでいた。
彼らはそれぞれ就活への思いや悩みをSNSで発信するが、互いの就活のやり方やスタンスに嫌悪感を覚えることもあり、次第に人間関係が変化していく。やがて内定者が出てくると、それまで抑えられていた妬みや本音が露になり、彼らは自分自身を見つめ直すようになる。
企業に入れば「何者」かになれるのか、自分は「何者」になりたいのか。
そして、自分は一体「何者」なのか…。
平成生まれの作家として初めて直木賞を受賞した朝井リョウの小説『何者』。
現代の就職活動のリアルと、その中で悩み成長していく学生の姿を鮮やかに映し出した青春ストーリーでありながら、あまりにも赤裸々すぎる描写に「リアルすぎて、まるでホラー」「就活中に読んでヘコんだ…」と、衝撃を受けた読者多数の小説が待望の映画化となりました。
キャストには、人気若手俳優たちがズラリ。
冷静分析系男子・拓人に佐藤健、天真爛漫系男子・光太郎に菅田将暉、地味素直系女子・瑞月に有村架純、意識高い系女子就活生・理香に二階堂ふみ、空想クリエイター系男子・隆良を演じる岡田将生。
そして拓人のサークルの先輩で、5人を冷静に観察している達観先輩系男子・サワ先輩に山田孝之と、まさに夢のキャスティング。
そんな主演クラスの俳優たちを束ねてメガホンを取ったのは、演劇界でも数々の賞を受賞している鬼才・三浦大輔。
人間の本質に鋭く斬り込んでいく演出が本作でも発揮されていて、「就活あるある」なドロドロの人間関係を痛烈に描いています。
原作小説が主人公・拓人による分析的な一人語りで綴られているのに対して、就活をめぐる若者たちの群衆劇といった印象が色濃くなった本作。
それによって個々のキャラクターがさらに際立ち、お互いに励まし合いながらも、嫉妬や焦りといった負の感情のスパイラルに巻き込まれていくサマがより鮮明に。
ひいては、就職活動中の学生に限らず、現代の日本社会に潜むヒエラルキーがくっきりと浮き彫りになっているのも面白いトコロ。
学校で職場で家庭で、日々奮闘する私たちが現代社会において、何者でもない“自分自身”を生きるために必要なものは何なのか。
それは映画の中から、あなたなりの答えを見つけ出して下さい。
何者
2016年10月15日から全国東宝系にてロードショー
監督・脚本:三浦大輔
原作:朝井リョウ『何者』(新潮文庫刊)
キャスト:佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之ほか
©2016映画「何者」製作委員会
公式サイト http://nanimono-movie.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/