今年もこの季節がやってまいりました。
毎年11月の酉の日に開かれる酉の市。今年は11日と23日、ニの酉まで開かれます。
現在は都内の10数カ所で開かれていますが、江戸時代から続いているのは、足立区花畑の大鷲神社と浅草の鷲神社の2カ所です。
今回は鷲神社に行ってきました。
酉の市は、日付が酉の日に変わると響き渡る一番太鼓を合図に0時から24時まで。
「おとりさま」として親しまれている鷲神社の酉の市には、毎年70~80万人の方が訪れ、商売繁昌をお願いするそうです。
私が行った時も凄い人で、神社の境内に入るのに30分ほど並びました。
押すな押すなで辿り着いた境内には150程の店が並び、色とりどりの飾りが着いた熊手が所狭しと並んでいます。
赤・青・白・黄色・紫・緑・ピンクに金銀…なんと華やかなことでしょう。鷲神社の境内は色の洪水です!
私が見た中で一番安いのは2,000円くらいでした。大きく高いものは何10万円もするそうです。
売れ筋は2万~5万円だとか。
お飾りは、縁起物のお多福・七福神・招き猫・鯛・小判などのほか、来年の干支である酉が多かったです。
そして今年の世相を反映してか、とにかく猫が目に付きました。
他にも熊手ではなく枡に入ったものなど置き型も人気で、有名人が予約した名札の付いた熊手や、アメリカ大統領選の熊手までありました。
酉の市は、音でも楽しめますよ。お買い上げが決まると、ご家庭や会社の弥栄を祈願する三本締めと威勢のいいかけ声があちらこちらから聞こえてくるのです。
パンパンパン、パンパンパン、パンパンパン、パン!賑やかな江戸の音の風景に出逢うことができます。
今年はニの酉までですが、よく「三の酉の年は火事が多い」と言われますよね。
はっきりした理由はわかっていないのですが、鷲神社によりますと、いくつか説があるようです。
当時の江戸は火事が大敵で、空気が乾燥する三の酉の時期に火への戒めを喚起したという説。
そして、酉の市に乗じて吉原に出かけようとする旦那さんを足止めしようと奥さんが「三の酉の年は火事が多いから夜遊びはほどほどに」と広めた説。
また、地方などで宵に鳴かない鶏が鳴くと「火事が出る」と言われたことから出た説…と多々あるようです。
どれが本当かはわかりませんが、空気が乾燥し寒くなって火を使うことも多くなるこの時期には理にかなった言い伝えなのかもしれません。
この季節にある酉の市、松尾芭蕉の門弟・宝井其角は「春を待つ 事のはじめや 酉の市」と詠んでいますが、まさしくお正月を迎えるための最初のお祭りだったのですね。
縁起物の熊手を飾って、良い年を迎えたい…いつの時代も願いは同じです。来年もいい運と福をかっ込みましょう!
レポート:ひろたみゆ紀