こどもの頃、あなたの夢はなんでしたか?
生命保険会社が毎年行っている「全国の幼児・児童が大人になったらなりたいもの」のアンケート調査によりますと、今回の1位は、男の子がサッカー選手、女の子は食べ物屋さんでした。
私はごく身近な幼稚園の先生でしたが、世の中には一体どんな職業があってどんなことをするのかがわかっていたら、もっともっと選択の幅が広がり、将来への夢が膨らみます。そんな思いをちょっと叶えてくれるのがこの10月に10周年を迎えた『キッザニア』です。
『キッザニア』は、子ども達がいろいろな仕事にチャレンジし、楽しみながら社会のしくみが学べる「こどもが主役の街」。現実社会の約2/3のこどもサイズで作られた街には、デパートや銀行、病院、警察署など60ほどのパビリオンがあります。
こども達は好きなパビリオンを選んで、本格的な設備や道具で大人のようにいろいろな仕事やサービスを体験します。その種類は全部でおよそ100。リアルな職業・社会体験を通して、未来を生き抜く力を育むことができるのです。仕事ですからもちろん報酬がもらえます。専用通貨の「キッゾ」。そのお金で、買い物や習い事をしたり、銀行に預金したり、経済活動を体験することもできます。さあ!ユニフォームを着たら、いよいよ仕事体験のはじまりです!
ユニフォームを着た子ども達が一生懸命働く街は、夕方のように薄暗く大人っぽい雰囲気で、夢の国に紛れ込んだような気分になりました。ベーカリーにガソリンスタンド、動物病院、お菓子工場、劇場ではファッションショーなど…本当に多種多様です。ネールやメーキャップをしてくれるビューティーサロンまであって驚きました。興味津々キョロキョロ歩いていると、救急車が通り過ぎて行きます。さらには、バスガイドが案内してくれる観光バスまで走ってるんですよ。消防士の消火活動やガスの配管工事も行われていました。ここに来た子ども達はまさにその職業に就いている人に“なりきる”ことができるのです。
この“なりきる”という体験が、その後の子ども達に大きな影響を与え及ぼしているようです。『キッザニア』は3~15歳までの子ども達が仕事を体験できるのですが、10年前に来場した子が中学生だったらもう立派な社会人です。実際に『キッザニア』で体験した仕事をきっかけに、金融関係に就職した人もいるそうです。職業選択だけでなく、お父さんやお母さんの仕事を実際に体験することでその苦労がわかったり、お金を稼ぐことの大変さや社会に役に立つことの意味、コミュニケーションの大切さなどいろんなことを学んでいます。
そして去年、「キッザニアの魅力はどこにあるか」について、東京大学大学院との共同調査研究が行われました。その結果、この”なりきる”という体験が、親子関係にも大きく影響していることがわかりました。
「仕事」という共通の話題ができたことで、帰ってからも親子の会話が増えるという結果がでました。
さらにそれだけではなく、親子がお互いを認め肯定し合う、相互承認の関係が生まれることが明らかになったのです。キッザニアでは、保護者は直接参加せず、少し離れたところから子ども達を見守っています。保護者が一生懸命仕事に取り組む子ども達をしっかり受け止め肯定的なまなざしで見守ることで、子どもには自己肯定感をもたらし、保護者自身も満足感を得ているのです。それがまさにキッザニアの魅力なのではないでしょうか。声には出さなくても目が合った時にうなずいたり、体験後に「よく頑張ったね」など声をかけることで、子ども達も自分自身を好きになったり自信が持てるようになるのですね。そんなお子さんを見ることは保護者にとってはこの上ない喜びですよね。
この国の名前『キッザニア(KidZania)』は、「こども達」というドイツ語を短くした「キッド=Kid」と「~の国」を意味するラテン語の「アニア=ania」という2つの言葉を、「楽しい」という意味の「ザニイ」の「z」でつないでできた言葉。「楽しいこども達の国」という意味がこめられています。楽しいのはもちろん、もっと大きな何かを手に入れることもできる学びの国なのです。
キッザニア東京 ららぽーと豊洲 NORTH PORT 3F(キッザニア甲子園もあります)
不定休 営業時間 <第1部>9:00~15:00 <第2部>16:00~21:00 完全入れ替え制
対象年齢 3~15歳
入場料や予約方法など詳しいことは>
レポート:ひろたみゆ紀