スゴい男がいた!『海賊とよばれた男』【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第113回】

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さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、『海賊とよばれた男』を掘り起こします。

戦後の日本に大きな勇気と希望を与えた、壮大な大河エンターテインメント

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1945年、東京。
主要燃料が石炭だった時代から石油の将来性を信じて石油業に邁進してきた、国岡商店を率いる国岡鐵造は、日本人としての誇りを持ち、復興に向けて突き進もうと従業員を激励。
石油の販売ができない環境下にありながらも誰一人クビにすることなく、ラジオ修理などあらゆる業種に仕事を見出しながら店員たちと奮闘していた。
GHQや官僚的な石油公団にも屈することなく独自の経営哲学とその行動力により、石油販売網を着実に拡大していく。

しかしアメリカ石油資本のメジャーは鐡造を警戒し、敵視するように。
やがて圧倒的な包囲網で、国岡商店の石油輸入ルートはすべて封鎖されてしまう。

そんな中、鐵造は唯一保有する巨大タンカー「日承丸」を秘密裏にイランに派遣するという大胆な行動に出る。
それは当時のイランを牛耳るイギリスを完全に敵に回す行為でもあったが、イギリスの圧力により貧困にあえぐイランと自らを重ね合わせ、既得権益に胡坐をかく米英メジャーとの本当の意味での戦いに突入する。
果たして日承丸は、英国艦隊の目をかいくぐり無事に日本に帰還することが出来るのか…。

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第10回本屋大賞を受賞した百田尚樹のベストセラー小説を、同じく百田氏原作『永遠の0』の監督&主演コンビ、山崎貴と岡田准一のタッグで実写映画化。

国内外の圧力に屈せずに、石油事業を通して日本人の誇りを追求する情熱を持ち続け、自らを支える仲間たちとの絆を何よりも大切にした熱き男の姿を描き、原作本の発売時「すべてのビジネスマンに捧ぐ」と謳われた本作は、ビジネスマンだけでなく幅広い層に支持されました。

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主人公・国岡鐵造役は、岡田准一。
“海賊”と呼ばれた青年期から、数々の困難を乗り越え、“侍”と恐れられた老年期までを熱演しています。
共演には、言わば山崎監督作品を彩ってきた吉岡秀隆、染谷将太、堤真一に加え、山崎組初参加となる綾瀬はるか、鈴木亮平、野間口徹、ピエール瀧、國村隼、小林薫らが作品の骨格をしっかりと支えています。

山崎貴監督と言えば、日本映画界を代表するVFXの旗手。
本作でもその技術を最大限に駆使しており、空襲により廃墟と化した東京や、イランへと向かう日承丸の勇姿など、圧倒的な映像美にも注目です。

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“戦前から戦後にかけて奔走する男の一代記”として、非常に見応えのある本作。
同時に主人公の生き方そのものが、日本という国がいかにしてどん底から立ち上がったか…という昭和戦後史とリンクする部分もあります。

石油事業を通して日本人としての誇りを追求し続け、自らを支える仲間たちとの絆を何よりも大切にした男の生きざまは、現代を生きる私たち日本人に勇気と希望を与えてくれることでしょう。

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海賊とよばれた男
2016年12月10日から全国東宝系にてロードショー
監督・脚本・VFX:山崎貴
原作:百田尚樹「海賊とよばれた男(上下)」(講談社文庫)
出演:岡田准一、吉岡秀隆、染谷将太、鈴木亮平、野間口徹、ピエール瀧、黒木華、浅野和之、光石研、綾瀬はるか、堤真一、近藤正臣(特別出演)、國村隼、小林薫 ほか
©2016「海賊とよばれた男」製作委員会 ©百田尚樹/講談社
公式サイト http://kaizoku-movie.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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